著者
前田 和彦 小池 歩 越智 友也 向山 博之 寺下 隆夫 北本 豊 会見 忠則
出版者
日本きのこ学会
雑誌
日本きのこ学会誌 (ISSN:13487388)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.105-108, 2008
参考文献数
19
被引用文献数
2

ホンシメジと称されるきのこの二核株12菌株とハタケシメジの2菌株のmt SSU rDNAのV4領域の塩基配列を用いた分子系統解析を行ったところ,ホンシメジと称される菌株が,2つのクラスターに分別された.これらの,異なるクラスターに属する菌株のmt SSU rDNAのV4領域の塩基配列の違いが生物種の違いによるものなのかどうかを調べるため,二核菌糸体をプロトプラスト化し,それを再生することにより,一核株の取得を試みた.その結果,Cluster 1に属する菌株から5種類,Cluster 2に属する菌株から2種類の交配型の異なる菌株を分別した.それらを相互に交配させたところ,Cluster 1に属する菌株とCluster 2に属する菌株は,いずれの組み合わせにおいても不和合であった.以上の結果から,mt SSU rDNAのV4領域の塩基配列の違いは,生物種を反映しており,ホンシメジと称されるきのこの中に形態が非常に似通った2つの生物種が存在する可能性が示唆された.
著者
北本 豊 葛西 善三郎
出版者
Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.260-266, 1968
被引用文献数
14 2 3

アミスギタケの子実体形成に対する化学的環境条件一栄養について検討した.この菌は種々の基質に対し広範な適応性を示し,炭水化物および有機,無機態の窒素源を利用して子実体を形成した.チアミンは生長,子実体形成1こ必要であり,Ca<sup>2+</sup>,Mn<sup>2+</sup>,Cu<sup>2+</sup>がこの過程を促進した.<br> 子実体形成はC/N比に顕著に影響された.CIN比は30:1程度が適当であり,低C/N比では原基形成およびその後の発育が阻害された.窒素源濃度が一定のとき,炭素源濃度を高くすると収量が減少した.<br> 子実体形成は栄養条件のみでは誘導されず,光その他が関与するものと考えられる.
著者
北本 豊
出版者
日本木材学会
雑誌
木材学会誌 (ISSN:00214795)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.1-7, 2006-01-25
著者
北本 豊
出版者
一般社団法人 日本木材学会
雑誌
木材学会誌 (ISSN:00214795)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.1-7, 2006 (Released:2006-01-31)
参考文献数
28
被引用文献数
3 3

食用・薬用きのこの生産では,優良種菌と高度な栽培技術により高品質きのこを安価に生産することが求められる。きのこの育種,すなわち種菌開発は,野生きのこの子実体からの組織分離による二核菌糸体の栽培品種化と,栽培中に発生する優良な子実体を選抜する品種改良,それにつづく交配による品種改良が主な流れである。きのこの新品種開発のプロセスは,育種に用いる親株の選定,交配のための一核株作出,交配,交配後の数段階の栽培試験による優良交雑株選抜である。本稿では,まず,きのこの極めてユニークな生物学的特徴を解説し,つづいて,きのこの育種プロセスについて,最近の展開を概論する。