著者
北垣 郁雄 大膳 司 永岡 慶三 匹田 篤 村澤 昌崇
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

ファジィ理論の一つであるファジィ測度は、評価問題の解決への応用が期待されていた。当時、理論的な進展は見られていても、システム開発への応用や評価対象ごとの評価の特質や応用時の課題の検討が進んでいなかった。標記の課題名に含まれる「複眼評価」とは、評価対象の性質、評価の観点・基準など、評価を取り巻く諸要素の変動によって「評価値」が変わり得るという状況を想定し、評価値に幅が存在するという特徴を活かした評価方法を指している。そのような評価は、物理量よりも心理量の計測で関心が持たれることが多い。なぜならば、心理量としての評価値には、本来的にあいまいさが存在するからである。アンケートに即して述べるならば、客観的な事実調査よりも意識調査の分析において、複眼的な要素が多分に含まれると思われる。以上のような背景のもとに、本研究課題では、複眼評価の特質をまとめている。一つの評価対象に対しても、当該評価システムの構築にあたって複眼的な評価の数理を開発するとともに、評価の領域を広げて複眼評価自体の特質をつかむことを目的とする。複眼評価の研究は、「捉えなおし」の研究と呼んでも良い。そのような観点から、複眼評価という特徴を生かした電子アンケートの構築・分析論理をまとめた。その論理では、評価論理にファジィ理論を導入し、アンケート処理システムに資する複眼的アルゴリズムを用いた。また、これまでの諸研究成果を複眼評価という点で捉えなおすという工夫も試みた。そして、評価行為を伴う種々の研究素材(高等教育研究、グループウェア、e-learning、メディア研究など)において、複眼評価の可能性と問題点を整理した。
著者
土井 徹 匹田 篤 林 武広
出版者
日本地学教育学会
雑誌
地学教育 (ISSN:00093831)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.41-52, 2015-05-31 (Released:2016-07-20)
参考文献数
19

小学校6年生を対象に,大気中の二酸化炭素濃度の日変化をどう考えるかについて調査した.その結果,以下の2点が明らかになった.(1)燃焼,生物の呼吸,植物の光合成による二酸化炭素の出入りについての学習を行う前は,「大気中の二酸化炭素が日中に濃く,夜は薄い」と考える児童が最も多く,学習後は「大気中の二酸化炭素が夜に濃く,日中は薄い」と考える児童が最も多くなる.(2)大気中の二酸化炭素濃度の日変化の仕方とその理由を考えさせる授業後は,多くの児童が二酸化炭素濃度の日変化の理由について既習内容と関係づけて理解するようになる.