著者
喜多村 和之 大膳 司 安原 義仁 手塚 武彦 潮木 守一
雑誌
海外学術研究
巻号頁・発行日
1987

日本の高等教育の改革と質的水準の向上にとって, 高等教育機関とくに大学の設置認可のありかた, 設置のための基準の弾力化, 適切な大学評価の方法に関する知織は緊要の課題である. しかるにこの問題に関しては, 日本国内の実態はもとより, 諸外国の事例についても情報が欠如しており, 改革実施の障害になっている. この研究は, 主要先進諸国における大学設置および大学評価の方法と実態について外国の教育情報に詳しい専門家による現地調査を行ない, 今後の日本の高等教育の改革と水準向上の施策のために資することを目的とする.(1)アメリカ合衆国の高等教育機関の設置認可は, 従来は大学の自由設立の原則にもとづき, その認可機関たる州政府の関与はゆるやかで, 認可の基準や手続きも簡素であったが, 近年では学位の乱造の防止や消費者保護の見地から, 州政府の関与の度合いもつよまり, 規制が厳格化される傾向にある. いくつかの州では設置認可基準の厳格化や法制度の整備, さらには新設大学の視察・監督の強化が進行しつつある.(2)アメリカ合衆国においてはすでに1930年代より民間の基準協会が一定の質的基準に到達した大学のみを会員校としてみとめ, 一定期間の実地調査や事後審査にもとづいて大学の質的向上をはかる基準適用活動(Accreditation)を行なっている. 連邦政府や州政府は, 基準協会の認定をうけた会員校のみに公費援助の受給資格を認めており, このことが更には大学内部に自己点検と自己改善を刺激する源泉ともなっている.(3)今年度においては, アメリカ合衆国における大学設置と大学評価システムの実態調査を実施し, 収集情報およびデータの分析は次年度において行なわれる. なお新年度にはさらにヨーロッパ諸国(イギリス, 西ドイツ, フランス)の実態調査と分析を行う予定であり, 以上の欧米諸国の関連情報とデータの比較・分析をふまえて, 日本の土壌にふさわしい大学設置と大学評価システムのありかたを考察する予定である.
著者
北垣 郁雄 大膳 司 永岡 慶三 匹田 篤 村澤 昌崇
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

ファジィ理論の一つであるファジィ測度は、評価問題の解決への応用が期待されていた。当時、理論的な進展は見られていても、システム開発への応用や評価対象ごとの評価の特質や応用時の課題の検討が進んでいなかった。標記の課題名に含まれる「複眼評価」とは、評価対象の性質、評価の観点・基準など、評価を取り巻く諸要素の変動によって「評価値」が変わり得るという状況を想定し、評価値に幅が存在するという特徴を活かした評価方法を指している。そのような評価は、物理量よりも心理量の計測で関心が持たれることが多い。なぜならば、心理量としての評価値には、本来的にあいまいさが存在するからである。アンケートに即して述べるならば、客観的な事実調査よりも意識調査の分析において、複眼的な要素が多分に含まれると思われる。以上のような背景のもとに、本研究課題では、複眼評価の特質をまとめている。一つの評価対象に対しても、当該評価システムの構築にあたって複眼的な評価の数理を開発するとともに、評価の領域を広げて複眼評価自体の特質をつかむことを目的とする。複眼評価の研究は、「捉えなおし」の研究と呼んでも良い。そのような観点から、複眼評価という特徴を生かした電子アンケートの構築・分析論理をまとめた。その論理では、評価論理にファジィ理論を導入し、アンケート処理システムに資する複眼的アルゴリズムを用いた。また、これまでの諸研究成果を複眼評価という点で捉えなおすという工夫も試みた。そして、評価行為を伴う種々の研究素材(高等教育研究、グループウェア、e-learning、メディア研究など)において、複眼評価の可能性と問題点を整理した。