著者
山内 悠輝 永岡 慶三
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.453, pp.27-32, 2011-02-25

iPadと雑誌の両方で漫画を読んでもらい,情報習得スピードと主観評価で両者を比較する.スピードとは漫画全体の文字数を読むのにかかった時間で除したものである.ビジュアルイメージが大部分を占める漫画をiPadで読む場合,従来の紙に印刷された漫画雑誌より,平均で17%読書(情報取得)スピードが速く,統計的にも有意な差がでた.主観評価項目である「持ちやすさ」,「操作性」,「自由度」,「内容理解」,「画質」の項目の数値の平均は,「内容理解」を除き,iPadが紙の主観評価を上回っていた.また,「画質のよさ」と「ページのめくりやすさ」の項目で統計的に有意な差で上回った.
著者
藤原 康宏 大西 仁 永岡 慶三
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.29, no.Suppl, pp.109-112, 2006-03-20 (Released:2016-08-02)
参考文献数
7
被引用文献数
4

情報処理入門科目において,オンライン個別学習システムを利用した授業実践を行った.今回開発したシステムは,個々の学習者にあった教材の提示及び練習問題と,教師に学習者の理解状況を提供することができる.システムを使って個別に学習し,必要に応じて教員が個別に説明することで,能力のばらつきが大きい集団に対して,学習効果が確認された.しかし,下位の学習者に対しては,学習に必要とされる時間が多くなるため,より効率よく学習できるアルゴリズムが必要であると考えられる.
著者
永岡 慶三 赤堀 侃司
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.199-206, 1997-03-20
被引用文献数
7

本報告は,過去10年間における教育工学研究における「教育評価」に関する研究動向をまとめたものである.教育評価はすべての研究分野にかかわるものであり,この意味において対象とする研究分野は幅広い.そこで,筆者らは,測定方法,評価手法,授業評価,映像・ソフトの評価などのいくつかのカテゴリーに分類して,その動向をまとめた.全体的な傾向として,コンピュータの普及による影響が大きいこと,初期のCAI,CMI等の評価研究から,実際の教育を目指したより使いやすく実用的な手法の開発などに移行していったことが挙げられる.また授業評価やメディア等の評価研究は,地道ではあるが継続して研究されてきた.さらに,今後の方向として,従来型の教育評価はある意味では下火の傾向にあるが,コミュニケーション端末としてのコンピュータ利用が本格化するにしたがって,質的評価法などの新しい評価法が注目されるであろう.現在は将来に向けての変革の途上にあるといえよう.
著者
木村 哲夫 荘島 宏二郎 永岡 慶三
出版者
新潟青陵大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

小規模であってもコンピュータ適応型テスト(CAT:受験者の解答が正解か不正解かによって、次の設問の難易度をコンピュータが調整して出題するテスト)を,複数の教員や学校が協働作業をすることによって、開発し実施できることを示すとともに、その結果を能力記述文と対応付けることを目指した。あわせて、学習管理システム(LMS:コンピュータ上で行われる学習を管理するシステム)で簡単にCATを実施可能にするプログラムの開発を行い公開した。
著者
北垣 郁雄 大膳 司 永岡 慶三 匹田 篤 村澤 昌崇
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

ファジィ理論の一つであるファジィ測度は、評価問題の解決への応用が期待されていた。当時、理論的な進展は見られていても、システム開発への応用や評価対象ごとの評価の特質や応用時の課題の検討が進んでいなかった。標記の課題名に含まれる「複眼評価」とは、評価対象の性質、評価の観点・基準など、評価を取り巻く諸要素の変動によって「評価値」が変わり得るという状況を想定し、評価値に幅が存在するという特徴を活かした評価方法を指している。そのような評価は、物理量よりも心理量の計測で関心が持たれることが多い。なぜならば、心理量としての評価値には、本来的にあいまいさが存在するからである。アンケートに即して述べるならば、客観的な事実調査よりも意識調査の分析において、複眼的な要素が多分に含まれると思われる。以上のような背景のもとに、本研究課題では、複眼評価の特質をまとめている。一つの評価対象に対しても、当該評価システムの構築にあたって複眼的な評価の数理を開発するとともに、評価の領域を広げて複眼評価自体の特質をつかむことを目的とする。複眼評価の研究は、「捉えなおし」の研究と呼んでも良い。そのような観点から、複眼評価という特徴を生かした電子アンケートの構築・分析論理をまとめた。その論理では、評価論理にファジィ理論を導入し、アンケート処理システムに資する複眼的アルゴリズムを用いた。また、これまでの諸研究成果を複眼評価という点で捉えなおすという工夫も試みた。そして、評価行為を伴う種々の研究素材(高等教育研究、グループウェア、e-learning、メディア研究など)において、複眼評価の可能性と問題点を整理した。
著者
中原 淳 西森 年寿 杉本 圭優 堀田 龍也 永岡 慶三
出版者
放送大学
雑誌
メディア教育研究 (ISSN:13441264)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.61-74, 2000

近年、教師教育において情報技術を用いた学習環境が注目されており、その中のひとつの可能性としてCSCL(コンピュータを用いた協調学習支援)がある。本論文では、教師を対象としたCSCL環境を具体的にどのようにデザインすればよいのか、という問いに対して、状況的学習論とCSCLの先行実践、教師教育の知見を理論的に考察することを目的とする。より具体的には、CSCL上で展開されるべき教師同士の相互作用の室と、そうした相互作用を支援するインタフェースの2点に言及する。教師教育を目的としたCSCLは、学習者としての教師が自らの教育実践を他の教師と語り、批評しあい、それをもとに教育実践に対して内省を深めることができる環境としてデザインされるべきである。
著者
望月 俊男 小湊 啓爾 北澤 武 永岡 慶三 加藤 浩
出版者
放送大学
雑誌
メディア教育研究 (ISSN:13441264)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.25-37, 2003
被引用文献数
9

本研究の目的は、ポートフォリオ評価法の理論的枠組みと、ポートフォリオ評価法をe-Learningに導入した研究の知見を概観し、ポートフォリオ評価法を応用したe-Learning環境のデザインについて考察することにある。ポートフォリオ評価法の研究は勃興期に位置づけられる。多くの研究が学習者中心型アプローチの立場から、ポートフォリオ評価法をe-Learning環境に導入するフレームワークを検討し、一部の研究はその効果を検証している段階にある。ポートフォリオを作成することや、そのための支援ツールの実装に注目が集まっている。ポートフォリオ評価法の理念に立ち返れば、学習者と熟達者間、あるいは学習者相互によるポートフォリオの検討やその評価、学習活動の改善に向けた内省や計画立案といった学習活動を行うためのコミュニケーション環境を充実させることが重要である。また、様々な学習方法に対応して、その学習プロセスに対する内省を促進するようなポートフォリオ作成を支援することが、e-Leamingにおける学習環境デザインに必要である。
著者
中原 淳 前迫 孝憲 永岡 慶三
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.259-267, 2002-03-20
被引用文献数
15

コンピュータによる協調学習支援(CSCL)研究は,コンピュータを用いて,複数の学習者間の相互作用を通した知識構築を支援することをめざしている.学習者の相互作用は,知識構築の必要条件であり,それを誘発し,促進するための機能やインタフェースなどの実装が不可欠である.これまでCSCL研究においては,数多くのシステムが開発・評価されている.それらの研究知見は,研究者がシステムデザインを行う際に参照可能であるように,デザイン対象項目ごとに整理されることが望ましい.本稿は,まずはしめに先行するCSCLの研究知見を,可視化,キューイング,コンテンツの3つの観点から検討・整理し,最後に今後のシステムデザインの課題を指摘する.
著者
永岡 慶三 竹谷 誠 北垣 郁雄 米澤 宣義 赤倉 貴子 植野 真臣
出版者
早稲田大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

本研究の目的は,複数の人間により形成されるグループに対して「グループの学力」を定義し,その評価法を開発することにある.今後のネットワーク社会のさらなる進展を考えれば,社会の各分野においては個人的活動は限られ束面となり,ほとんどがプロジェクトなど複数の人間の協力する活動が多くを占めることになると思われる.そこでは,個人個人の能力の高さだけでなく,いかに複数のメンバーの協同によるグループとしての能力の高さが要求されるものと考えられる.その評価法の開発・実用は,特定の人材の集合からどのように効率的なプロジェクトメンバー構成をすればよいかという人材活用の方法論としての価値を持つものと考える.さてテストを科学的に、計量的に扱うもっとも根本的な主要概念は信頼性である.信頼性(の推定方法)は考え方により多くの定義があるが,理論的明快さや実用性など種々の利点から最も多く用いられるのはCronbachのα係数である.本研究においても信頼性といった場合,Cronbachのα係数をさすものとする.研究実績の成果は,これまでのテスト理論では扱われていなかった受検者側の内部一貫性の特性・概念を導入したことといえる.さて有力な応用目的として,たとえば,N人の受検者集団から構成員数2のグループを構成するとする.すなわち二人ずつのペアを組むとする.Guttmannスケールの項目群を仮定すれば,個別学力の大きい順に第1位から第N/2位までのN/2人を異なるグループに配すればよく,いささか自明解である.ここに受検者側に内部一貫性の特性を導入すれば,話は別で,グループ(ペア)内のθ値の大小だけでは決まらないのである.すなわちペアで考えれば,お互いがお互いの弱点を補い合うような組合せ,すなわちその2名の1,0得点パターンの排他的論理和が全体で最大化するような組合せを行うことで最大化が見込まれる.
著者
大西 仁 田中 健二 永岡 慶三 松川 正樹 高津 直己 佐々木 正實 鈴木 龍太郎 川村 洋介
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.96, no.578, pp.33-39, 1997-03-15
参考文献数
4
被引用文献数
1

光ファイバーケーブル等の通信基盤が各家庭まで整備され、各家庭と講師が映像、音声、データを双方向で自由にやりとりできる時代を想定し、その時代における在宅学習のモデルとして、双方向教育番組の制作実験を行った。制作は、放送教育開発センターに講師、通信総合研究所、新世代通信網実験協議会、大阪産業大学に学生を配し、ATMネットワークにより接続し、映像、音声、計算機データの交換を可能にすることにより実現された。番組は、「住空間における断面図」をテーマとし、講師と学生が映像、音声による質疑応答、共有CADソフトを用いての演習等のインタラクションが盛り込まれた。