20 0 0 0 OA 磁極と地磁気極

著者
星 博幸 山本 裕二 渋谷 秀敏
出版者
日本地学教育学会
雑誌
地学教育 (ISSN:00093831)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.197-203, 2016-06-30 (Released:2017-05-31)
参考文献数
30

教科書等で混同されることがある「磁極」と「地磁気極」について解説する.磁極は地磁気の伏角が+90°(磁力線が鉛直下向き)または-90°(磁力線が鉛直上向き)の地点のことである.一方,地磁気極は磁軸(地磁気の姿を最もよく近似する双極子を地球中心に仮定した場合の双極子軸の延長)が地表と交わる地点を言う.似た用語は紛らわしく混乱の元にも思えるが,その違いは地磁気の本質と深く関わっている.
著者
廣木 義久 藤井 宏明 平田 豊誠
出版者
日本地学教育学会
雑誌
地学教育 (ISSN:00093831)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.119-128, 2016-03-31 (Released:2017-05-31)
参考文献数
18

岩石の風化作用による土砂の形成の理解における土に関する学習の効果を,中学生を対象に検証した.土には花崗岩の風化物である粘土質のマサを用いた.授業では,生徒は次の二つのことを学んだ.土はさまざまな粒径の粒子,すなわち,礫・砂・泥(粘土を含む)の混合物であること,土は岩石の風化作用により形成されること,である.単元終了直後には,89.3%の生徒が砂の形成を風化モデルで説明し,その割合は,単元終了から3カ月後でも70.7%と高い値を維持していた.
著者
廣木 義久
出版者
日本地学教育学会
雑誌
地学教育 (ISSN:00093831)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.97-107, 2019-02-28 (Released:2019-11-13)
参考文献数
42
被引用文献数
5

流水による砕屑物からなる地層の形成を理解する上で非常に重要なユールストロームダイアグラムを解説した.ユールストロームダイアグラムは今から約80年前の1939年に発表されたダイアグラムであるが,水中における砕屑物の堆積を理解するのに,今でも有効である.このダイアグラムは堆積や侵食が起こるときの流速と堆積物の粒径との関係を示している.地層は流速が変化する中で,異なる粒径の粒子が堆積するために形成される.それぞれの堆積環境は特有の水理学的エネルギーを持っており,その環境の中で,流速変化が特有の範囲で起こるため,特有の粒径からなる地層が形成される.すなわち,粗粒(細粒)の堆積物からなる地層は高い(低い)水理学的エネルギーを持つ堆積環境において堆積される.
出版者
日本地学教育学会
雑誌
地学教育
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.53-54, 2015
著者
宮下 敦
出版者
日本地学教育学会
雑誌
みんなの地学 (ISSN:24356441)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.38-41, 2021-06-30 (Released:2022-07-01)
参考文献数
5

宮崎駿監督作品「天空の城ラピュタ」を導入用映像教材として,資源問題に関する教材開発を行った.本作品はエンターテイメントとしてだけではなく,科学技術と人間社会の関係を考えるという視点からも大人の鑑賞に堪えるものである.現代の日本には稼行している鉱山はほとんどないが,よく資料収集をし,凝った設定のアニメーション作品を用いることで,日本の若者にも資源問題を身近に感じてもらうことができる.このような形で学校教育での資源問題を扱うことは,「持続可能な社会の作り手」の育成に重要であると考えられる.
著者
多賀 優 河野 俊夫 中野 聰志
出版者
日本地学教育学会
雑誌
地学教育 (ISSN:00093831)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.1-12, 2015-05-31 (Released:2016-07-20)
参考文献数
30
被引用文献数
2

紫色レーザーポインターからの光線(405 nm)を照射することによって蛍光を発するコナラの枝を浸した水(コナラ水と呼ぶ)やウランガラスプリズムをそれぞれ方解石と組み合わせて方解石の複屈折現象を教材化した.本教材では,方解石への入射光路,方解石中の光路,方解石からの出射光路のすべてを紫色レーザー光励起による蛍光の輝線として連続して観察できる.開発したコナラ水やウランガラスプリズムを用いて,高校で光の性質(直進,反射,屈折)を示す演示実験を行った.その結果,光の性質についての認識が深まった.
著者
中西 裕也 山崎 博史
出版者
日本地学教育学会
雑誌
地学教育 (ISSN:00093831)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.73-83, 2016-12-30 (Released:2017-10-01)
参考文献数
13

高等学校地学基礎において,実際の空間の中での体験を通して,その空間像のイメージを形成することで地層の広がりを把握するための地層観察の模擬体験活動を考案した.その際,複数の露頭情報を総合して考え,水平方向・鉛直方向の地層のつながりを考えることを意図して立体的に考えることができるワークシートを作成・活用した.この活動は,ほとんどの生徒に肯定的に受け入れられており,地層のつながりや重なりを考えることや他の地点と組み合わせて地層の広がりを考えさせるうえで有効な手立てとなりうることが確認された.