著者
岡崎 彰 栗原 淳一 益田 裕充
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究の目的は、デジタルコンテンツと理科室のモデル実験とを有機的に結び付けた教材を開発し、新たな視点から展開する天文学習指導プログラムを提案することである。当初の研究実施計画では、(1)「月の満ち欠け」と(2)「日食と月食」で教材開発とそれに基づく天文学習指導プログラムの開発、(3)「太陽の年周運動」と(4)「惑星の動き」で実際に観測された動画や画像を用いた教材開発をテーマに取り組むこととした。(1)「月の満ち欠け」では、月と太陽の離角を媒介として実際の観察結果とモデル実験とを有機的に結び付ける教材と学習プログラムを開発し、公立中学校で授業実践を行った。生徒の理解度の調査・分析の結果、開発した授業が学習内容の理解を促し、その定着を図る上で有効であり、観察記録とモデル実験結果の関連付けを図る上でも有効であることを明らかにした。(2)「日食と月食」では、予備的に開発した教材を用いて公立中学校でモデル実験の授業実践を行い、また、平成24年5月の金環日食では大学内で事前説明会と観察会を実施した。教材の改良と学習プログラムは期間内に完成していないが、本物の日食や月食とモデル教材との結びつきを生徒に実感させることの重要性やモデル教材の作成上の留意点等を考察した。(3)「太陽の年周運動」と(4)「惑星の動き」については、研究期間の短縮もあり次のように統合した形で進めた。恒星に対する太陽や惑星の動きを直接に観察できる素材として太陽観測衛星が太陽と惑星と恒星を同一視野に撮影した実写動画(NASAが公開)に着目し、中学校授業「太陽の年周運動」での利用の有効性を実践例に基づいて論じ、さらに高校地学の探究活動として、この動画を教材とする「合」付近での「惑星の動き」の具体例を提案した。このほか、関連研究として、天球の内側からと外側からとの視点移動を支援する実験用モデル教材作成についても考察した。
著者
高原 淳一 久武 信太郎 栗原 一壽
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

プラズモニック導波路は金属を用いた光導波路であり、光の回折限界よりずっと微小な領域での光伝送など誘電体光導波路では不可能な機能を実現できる。金属薄膜は最も基本的なプラズモニック導波路である。本研究では金属薄膜を用いて超集束、分散制御によるスローライトや負屈折などの新しい光機能へとつながる現象を見出し、実際に受動機能デバイスを実現した。将来はナノ空間での非線形光学デバイスの効率向上に応用できる。
著者
小林 哲郎 森本 朗裕 高原 淳一 北川 勝浩
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

超短光パルス生成,超高速変調などの時間域の光制御については多くの研究があるのに対し,空間変調や偏向器に代表される光の空間域制御は研究も少なく,その進歩も遅れている.本研究はこの光波の空間域制御を超高速に行う要素技術である光偏向に関しての新しい開発に関するものである.ここではこの本研究独自の超高速の電気光学偏向器,周波数シフタを実際に設計,試作し,その動作確認を行うとともに,その実用化に向けての開発研究もあわせて行うことを目的としている.平成10年度の成果をまとめると,1. 電気光学結晶LiTaO_3の短ピッチ分極反転技術の確立本研究独自の斜周期分極反転を用いた疑似速度整合変調器,偏向器においては,高精度な分極反転技術が必要であるが,ラマンナス回折形偏向器を動作させるに十分な0.2mmピッチ程度の技術を確立した.なお,この斜周期分極反転を利用した超高速電気光学偏向器は特許2802366号として認可され,さらに平成10年度の科学技術振興事業団の斡旋対象発明となり現在実用化検討中である。2. 新しい電気光学偏向器の試作と良好な片方向偏向動作確認に成功昨年度にくらべ約2倍の性能を持つ偏向器を達成,これでは,10次程度のラマンナス回折が見られ,それらを制御合成し,16GHzの繰り返し周波数で30スポット以上の帰線のない超高速光ビーム偏向に成功した.さらに3倍の48GHzの偏向速度も達成している.これは偏向速度としては現在世界最高速である.3. 新しい構造の偏向素子の基本設計ギガヘルツ帯の周波数シフタは波長多重通信やヘテロダイン計測などに非常に有望である.しかし従来の音響光学偏向器を利用した周波数シフタではGHzがやっとでlOGHz以上のものを得ることは波長から考え原理的に不可能に近い.一方,斜反転周期構造をさらに細かい10μm域に進め,ブラッグ回折が利用できるなら,ここで開発している電気光学偏向器は単一周波数シフタに使える.これについて理論的検討を行うとともにlOGHz帯の周波数シフタの基本設計を進めた.
著者
黒住 幸一 辻本 廉 小宮山 摂 盛田 章 大串 健吾 氏原 淳一
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.579-587, 1988-06-20
被引用文献数
16

ハイビジョンは, 精細度の高い映像を大画面に写し出すので, 従来のテレビと比較して視覚的に臨場感をはるかに高めることができる.しかし, この映像の効果にふさわしくハイリアリティー視聴空間を再生できるステレオ音声方式については, まだ充分な検討がなされていない.そこで, 音声のチャンネル数およびスピーカ配置の異なる種々のステレオ音声方式について検討し, ハイビジョン映像とステレオ音声方式の組み合わせによる心理的効果を主観評価実験を行って調べた.その結果, 前方に3つの音源を, 後方に1つの音源を配置する3-1方式4チャンネルステレオが, 最もバランスのとれた優れた方式であることが明らかになった.このステレオ音声方式の特徴は, 画面の中心軸上から横にずれた位置で視聴しても映像の方向と音像の方向がよく一致すること, 広い視聴範囲にわたって豊かな臨場感を再生できること, 映画音響と互換性の良いことである.