著者
原 翔子
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.4, no.s1, pp.s33-s36, 2020 (Released:2020-10-09)
参考文献数
14

近年ではデジタルアーカイブの拡充によって世界中の博物館や美術館がオンラインでコレクションを展示するようになった。そこで,博物館における展覧会と鑑賞者との間には、物理的な空間における鑑賞だけでなくオンライン展示の利用という場面においても相互作用があるべきだとされている。オンライン展示が抱える現状の問題点は、個人へのパーソナライズと鑑賞前後体験の補助という場面から認識することができる。特に前者について、高木(2019)によるデフレーミング戦略は親和性が高く、経済学の概念でありながら展覧会への応用可能性が大きい。本稿ではデフレーミングを援用し、オンライン展示に留まらない展覧会デザインを提案する。
著者
原 翔子 永崎 研宣 高木 聡一郎 大向 一輝
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.e45-e51, 2023 (Released:2023-11-01)
参考文献数
12

本稿では、同一テーマの下で企画された複数の展覧会の構成を共起ネットワークによって可視化し、その比較によって、キュレーションが鑑賞者に異なる視点を与えることを明らかにした。具体的には、河鍋暁斎をテーマとする3つの展覧会を対象とした。分析対象となった日本画や浮世絵は、描かれているモチーフが作品名に反映されているため、計量テキスト分析が可能である。実地での鑑賞を検討する際の情報収集や、鑑賞後に展覧会を振り返る際に、本稿の手法は有用である。また、全体像として共起図を提示しておくことで、さらに多角的な鑑賞視点が期待できる。本稿の成果はキュレーション機能を持つデジタルコレクションに対して大いに有用であると期待される。
著者
原 翔子
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.245-248, 2020 (Released:2020-04-25)
参考文献数
11

文化継承の場としての博物館は今や観光施設としても機能し始め,その役割は展示や教育にとどまらない.しかし博物館という閉鎖的かつ遮断されて環境下においては,モノからコトが切り離されやすいという問題を抱えている.また,展覧会の記憶は館外へ持ち出されてから時間が経ってしまうと日常生活のなかで想起させるのが難しい場合がある.展示内容には満足していても,混雑などにより満足いく鑑賞経験が得られないこともある.そこで本研究では,これらの問題解決の糸口となるような,文化継承の場における情報技術の更なる応用可能性や用途の多様性について検討したい.これまでは文化情報を伝える手段として情報技術を捉えてきたが,体験の記憶を再構築させるための情報技術の在り方こそが,文化継承に寄与することは確実だ.中でも特に,これまで展覧会図録が担ってきた役割に対する情報技術の貢献可能性を提唱する.