著者
大向 一輝
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.6, pp.284-289, 2020-06-01 (Released:2020-06-01)

本稿では,インターネット上でハイパーテキストを実現するための情報システムであるウェブが,人々のコミュニケーションや社会のあり方に対してどのような影響を与えたのかについて議論する。とくに2010年代に普及したスマートフォンやSNSによって,ウェブと人々の関わりが緊密になったことが情報の信頼性を高めると同時に炎上やフェイクニュースの原因となる点について指摘した。また,ウェブの今後の課題について「法」「規範」「市場」「アーキテクチャ」の観点から議論する。
著者
永崎 研宣 大向 一輝 下田 正弘
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.324-334, 2022-02-15

仏教学のための知識基盤の構築にあたり,テキストの共有は重要な課題である.これを効率的・効果的に実現することを目指すデジタル学術編集システムにおいて,近年普及しつつある国際的な画像共有の枠組みであるIIIF(International Image Interoperability Framework)は実装と運用の側面を改善する役割を果たしうる.筆者らは,仏教学のためのデジタル学術編集システムのモデルを設計し,そのモデルにおいて実装・運用面を改善する手段としてIIIFを位置づけ,仏典全文テキストデータベースSAT2018においてそれに基づく実装を行った.これを通じて,デジタル学術編集システムの運用におけるスケーラビリティと持続可能性に関する課題を明らかにした.
著者
大向 一輝
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.62, no.11, pp.473-477, 2012-11-01

学術情報サービスにおいて,コスト面での制約がある中で大量のアクセスを高速に処理するためには,サービスが備えるべき機能を精査し,その機能の実現に適したシステム設計を行う必要があるCiNii Articlesでは月間3500万〜5000万のアクセスに対応するため,機能要件を検索と書誌表示に限定し,高速な検索エンジンと単純な処理のみを行うRDBを組み合わせることで性能要件を達成した。また,書誌IDを維持・管理するシステムを構築することで信頼性の高い情報サービスの提供を行っている。
著者
村田 祐菜 永崎 研宣 大向 一輝
出版者
日本デジタル・ヒューマニティーズ学会
雑誌
デジタル・ヒューマニティーズ (ISSN:21897867)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.17-26, 2022-12-31 (Released:2022-12-31)
参考文献数
27

文学研究をはじめとした諸分野において, 一定規模のテキストを素早く, 網羅的に検索可能な環境が整備されていることは研究基盤の点から重要である.しかし,近代短歌は研究に利用可能な電子テキストの蓄積が十分ではない.また,日本文学研究者はプログラミング技術等を用いたテキストの処理・分析手法をとる場合はいまだ少なく,テキストの構築に加え,データの利用環境としての検索・分析インターフェースの整備も必要である.そこで研究データとしての近代短歌の電子テキストの作成及びその利用環境としての全文検索システムを構築し,「近代短歌データベース」として公開した.本稿ではその構築過程と実現した機能の詳細,近代短歌研究における利用事例について述べる.
著者
佐藤 翔 大向 一輝 関戸 麻衣 逸村 裕 Sato Sho Itsumura Hiroshi
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
2012年日本図書館情報学会春季研究集会発表要綱
巻号頁・発行日
pp.73-76, 2012-05-12

本研究ではCiNii のアクセスログに基づき、1) CiNii から連携する各本文提供サービスの利用の推移、2) 論文書誌データへのアクセスと、その後の各サービスへのリンクのクリック状況を分析した。その目的はCiNii と連携する各サービスがどのような文献需要に応えているかを明らかにすることである。結果から、本文提供元として最も利用されていたのはNII-ELS であるが、徐々に機関リポジトリの利用が増えていた。特に本文が利用される割合が高い一方、NII-ELS による文献提供数の少ない人社系・紀要論文の提供に機関リポジトリが大きな役割を果たしていた。
著者
浅野 優 小出 誠二 岩山 真 加藤 文彦 小林 厳生 美馬 正司 大向 一輝 武田 英明
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
pp.LOD-27, (Released:2017-01-31)
参考文献数
19

We describe a procedure for constructing a website for publishing open data by focusing on the case of Open DATA METI, a website of the Ministry of Economy, Trade, and Industry. We developed two sites for publishing open data: a data catalog site and one for searching linked open data (LOD). The former allows users to find relevant data they want to use, and the latter allows them to utilize the found data by connecting them. To implement the data catalog site, we constructed a site tailored to the needs of the organization. Then we extracted a large amount of metadata from the individual open data and put it on the site. These activities would have taken a lot of time if we had used the existing methods, so we devised our own solutions for them. To implement the LOD searching site, we converted the data into LOD form in the Resource Description Framework (RDF). We focused on converting statistical data into tables, which are widely used. Regarding the conversion, there were several kinds of missing information that we needed to associate with the data in the tables. We created a template for incorporating the necessary information for LOD in the original table. The conversion into LOD was automatically done using the template.
著者
桂井 麻里衣 大向 一輝 梶原 智之
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究の目的は,ビッグデータ化の進む学術情報から研究内容の特徴軸をデータドリブンに発見し,個々の研究者の専門興味を多元的に表現する技術を構築することである.具体的には,大規模論文集合に高度な意味解析を導入し,研究者の多様な活動情報を埋め込める深層潜在空間を構築する.これにより,研究活動情報に対し固定次元ベクトルを出力するモデルScholar2Vecを確立する.
著者
大井 将生 宮田 諭志 大野 健人 大向 一輝 渡邉 英徳
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.e1-e9, 2023 (Released:2022-11-25)
参考文献数
36

本研究の目的は、探究学習における生徒の「問い」と「資料」の接続を支援する学習モデルを開発することである。その手法として、生徒自身の「問い」を起点とした「キュレーション学習」を提案する。また、分野横断型検索プラットフォーム「ジャパンサーチ」の検索機能と協働キュレーション機能を「キュレーション学習」における協働的な資料収集と「問い」の構造化を支援する空間として活用する。この手法を用いて、中学校において継続的な授業実践を行ない、生徒のリテラシー変容を分析する。その結果、学習成果物に対する評価点が有意に上昇し、生徒の「問い」に基づいて「資料」を収集する力や「資料」をもとに考察する力が向上したことが示唆された。このことから、提案手法の効果が確認され、探究学習における生徒の「問い」と「資料」の接続を支援する学習モデルを開発することができたと考える。
著者
大向一輝著
出版者
岩波書店
巻号頁・発行日
2007
著者
大向 一輝
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.56, no.7, pp.440-447, 2013-10-01 (Released:2013-10-01)
被引用文献数
1 1 3

政府・地方自治体・公的機関による情報公開の取り組みの一環として「オープンデータ」が注目を集めている。欧米の動きと比較すると,日本におけるオープンデータの普及が遅れていることは確かであるが,行政機関や市民の努力によって,急速にデータの質・量ともに充実が進んでいる。本稿では国内における先進例を紹介し,今後の展望について議論する。
著者
岡本 真 大向 一輝
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.24, 2010

2008年7月から3ヶ月ごとに全国各地で開催しているARGカフェ&ARGフェストを題材に、業種、職種、専門といったバックグラウンドが異なる人々、特に未知の人物同士が多い人々の間のコミュニケーションを促進し、コラボレーションへの発展を促す仕組みを論じる。
著者
大向 一輝
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.329-332, 2020-10-01 (Released:2020-11-16)
参考文献数
12

国内に存在するあらゆる種類の文化資源を対象とするジャパンサーチは、日本のデジタルアーカイブの系譜におけるひとつの到達点である一方、「すべての資料が集まるデジタルアーカイブ」が2019年にはじめて実現された理由、ならびに国立国会図書館を中心とした体制が構築された理由は自明ではない。本稿では、ジャパンサーチ誕生の経緯に関する公開情報を整理するとともに、社会的な文脈を含めた議論を通じて本特集の各論を補足する。
著者
大向 一輝
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.595-601, 2008-12-01
被引用文献数
2

近年,学術情報サービスには専門家だけではなく一般の人々に対する情報の提供という役割が求められるようになっている。国立情報学研究所では,論文情報ナビゲータCiNiiについて,ファインダビリティ向上を目的とした大規模なリニューアルを行った。リニューアルに際しては,新たなユーザである一般のウェブ利用者のユーザモデルに関する検討を行い,オープン化ならびにウェブ検索エンジンとの連携が必要であるとの結論を得た。これをふまえて2006年から2007年にかけてシステムの改良を行った結果,サービスの利用回数が従来と比較して3〜10倍程度に増加し,CiNiiの知名度を高めることができた。本論文では,学術情報サービスにおけるユーザモデルについて議論するとともに,CiNiiリニューアルで実施したファインダビリティ向上のための具体策とその効果,ならびに今後の展望について述べる。
著者
吉田 光男 風間 一洋 佐藤 翔 桂井 麻里衣 大向 一輝
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

現在の学術情報システムは,研究者の高度な専門性を前提とした画一的なシステムであり,それ以外の利用者の要求に応えられず,自ら利用範囲を狭めている。本研究の目的は,利用者の状況に応じ,多様な観点で学術情報を提示できる学術情報システムを実現することである。この実現のために,利用者の様々な探索要求に対応する新しい学術情報評価指標を複数開発した上で,利用者の行動履歴をもとに研究練度を推定し,利用者の研究練度に応じて複数の指標を自動的に統合する学術情報システムを構築する。
著者
下田 正弘 蓑輪 顕量 永崎 研宣 大向 一輝 宮崎 泉 納富 信留 Muller Albert 苫米地 等流 藏本 龍介 船山 徹 高橋 晃一 師 茂樹 齋藤 希史 高岸 輝
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は「人文学がデジタル時代にいかに遂行されうるか」という次世代の人文学にとって重要なテーマについて、人文学諸分野が参照可能なデジタル知識基盤を仏教学から提供し、人文学全体が共同で未来を開く方法論を検討する〈統合デジタル研究環境〉を形成する。そのため、人文学におけるテキスト、画像、事物、行為等の研究対象の相違と、思想、言語、歴史、行動科学等の研究方法の相違の両者を視野に入れ、両者から生まれる知識の多様性を、デジタル技術を通し効果的に保存し利用する多層的概念モデルを構築し、新大蔵経データベース(新SAT-DB)に実装して提供する。
著者
大向 一輝
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.60, no.12, pp.495-500, 2010
参考文献数
11
被引用文献数
1

本論文では,学術情報サービスのメタデータ活用事例として,国立情報学研究所が運営する論文情報ナビゲータCiNiiにおいて,メタデータがどのように設計・提供されているかについて述べる。CiNiiのメタデータはウェブAPIとしての側面を重視し,OpenSearchやRDFなどのウェブ標準に基づいて設計されている。また,論文情報における著者名典拠が存在しない問題については,機械処理とユーザ参加による著者IDの自動生成を行っている。これらのメタデータは外部サービスとの連携や書誌情報の再利用のために用いられており,メタデータへのアクセスはCiNiiの総アクセス数の30%〜40%を記録するに至っている。