著者
黒田 佑次郎 岩満 優美 轟 慶子 石黒 理加 延藤 麻子 松原 芽衣 岡崎 賀美 山田 祐司 宮岡 等
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.306-313, 2012 (Released:2012-03-02)
参考文献数
14
被引用文献数
3

【目的】緩和ケア病棟(以下, PCU)入院中の患者とその家族を対象に, 入院前後のPCUに対する認識と印象の変化を質的に検討した. 【方法】PCUの入院患者5名と家族9名に半構造化面接を実施し, 要約的内容分析を行った. 【結果】入院前の印象は, 患者では“想像がつかない”など「特に印象がない」を含む2カテゴリー, 家族では“最期を迎えるところ”や“穏やかに過ごす場所”など「PCUの環境」を含む5カテゴリーが得られた. 入院後の印象は, 患者では“心のケアが重要”など「PCUでのケア」を含む3カテゴリー, 家族では“個室でプライベートがある”など「PCUの環境」を含む7カテゴリーが得られた. 【結論】PCU入転院に際し, 家族は“安心が得られる”と“最期を迎えるところ”という気持ちが併存していることが示された. また, 入転院前に比し入転院後は, 患者と家族ともにPCUに対して好意的な印象をもっている可能性が示唆された.
著者
大橋 啓太 藤原 芽生 小野 くみ子 石川 朗
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2016, 2017

<p>【はじめに,目的】スタティックストレッチングがもたらす効果として,リラクセーション効果がある。リラクセーション効果を目的としたスタティックストレッチングに関する研究では,5分から10分程度のストレッチングプログラムを実施した場合のリラクセーション効果についての報告はあるが,一般的に推奨されている30秒程度のスタティックストレッチングがもたらすリラクセーション効果に関する報告は見当たらない。そこで,本研究ではスタティックストレッチングの伸張時間の違いが,自律神経活動に及ぼす影響について検討することを目的とした。</p><p></p><p>【方法】9名の健常若年成人男性を対象とした。実験に先立ち,膝関節伸展位での股関節屈曲(SLR)可動域(ROM)を測定し,そこから3度減じた角度をストレッチング実施角度に決定した。実験は,5分間の安静背臥位(PRE)後,スタティックストレッチングとしてSLR(ST)を行い,その後5分間の安静背臥位(POST)を行い,終了とした。実験条件は,ストレッチングを10秒間(10秒条件),30秒間(30秒条件),60秒間(60秒条件)それぞれ行う3条件に加え,安静背臥位を保持する条件(CON条件)の計4条件を設定した。実験を通して,心拍数(HR)および心臓副交感神経系活動(lnHF)の測定を行い,効果判定として実験後にSLRのROM測定を行った。さらに,交感神経活動指標として唾液アミラーゼ活性(SAA)を,PREの最後の1分間,ST直後1分間,POST終了後1分間,それぞれ唾液を採取して測定した。ST実施角度決定時およびST時の自覚的伸張感はVisual Analog Scale(VAS)を用いて測定した。データ処理として,PREにおける測定値は,最初と最後の1分間を除いた3分間の平均値を,STにおける測定値は,それぞれの条件の後半の10秒間の平均値を,POSTにおける測定値は5分間の平均値をそれぞれ算出し,比較検討した。</p><p></p><p>【結果】ROMは,30秒条件(P<0.01)および60秒条件(P<0.05)において実験前と比較して実験後に有意に増大した。VASは,各条件においてストレッチ角度決定時およびST時に有意差を認めなかった。HRは,時間および条件の交互作用に有意差を認め(P<0.01),10秒条件においてPREおよびPOSTと比較してST時に有意な上昇を認めた(P<0.01)。lnHFは,PREと比較してST時に有意に上昇した(P<0.01)が,条件間および交互作用には有意差を認めなかった。SAAは,条件,時間,交互作用とも有意差を認めなかった。</p><p></p><p>【結論】リラクセーション効果を目的としたスタティックストレッチングの伸張時間について,60秒までの短時間のスタティックストレッチングでは,伸張時間の違いによる自律神経活動,特に副交感神経活動への有意な影響は認められず,リラクセーション効果を目的とした場合は,少なくとも60秒よりも長い時間のスタティックストレッチングを実施する必要があることが示唆された。</p>