著者
井本 立也 原納 淑郎 西 泰英 益田 悟
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.85, no.2, pp.106-109,A7, 1964-02-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
9
被引用文献数
2

酸化亜鉛を水素で還元する反応を,温度範囲665°~738℃,酸化亜鉛量40.0~70.0mg,初期水素量5~9cmHgで行ないつぎの結果を得た。酸化亜鉛量が水素量とくらべて少ない場合には,反応速度は酸化亜鉛の表面積に比例するが水素圧には依存しない。したがってこの反応は酸化亜鉛の分解過程が律速しており,その活性化エネルギーは17.0kcal/molであることを知った。これらの事実は酸化亜鉛量が水素量にくらべて多い場合について報告した既報の結果(酸化亜鉛の水素による還元反応の機構は,まず酸化亜鉛が酸素と亜鉛蒸気とに分解し,その酸素と水素とが反応して水蒸気となる)を支持する。
著者
井本 立也 原納 淑郎 西 泰英
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.84, no.2, pp.115-119,A10, 1963-02-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
13
被引用文献数
2

酸化亜鉛を水素で還元する反応を,静置法および循環法で,温度範囲617°~762℃,圧力範囲10~85mmHgで行ないつぎの結果を得た。まず静置法では,生成水蒸気による逆反応および抑制作用などのため反応の解析は複雑であった。循環法では反応は酸化亜鉛の量がとくに少縫の場合を除いて,酸化亜鉛の量に無関係に進行し,また水素の初圧や各瞬間の水素圧にも無関係であることがわかった。すなわち反応は時間とともに一定速度で進行していく。これら循環法の結果から,酸化亜鉛の水素による還元反応の機構は,まず酸化亜鉛が分解して酸素と亜鉛蒸気となり,この酸素と水素とが反応して水蒸気となる反応が主として起っているものと考えられる。そしてこの反応は,気相にとびだした酸素と水素との問の反応が律速していることがわかった。
著者
原納 淑郎 大嶋 寛
出版者
大阪市立大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1985

本研究は, 燃料用エタノール生産の省力化を図るべく, エタノールならびにグルコース耐性に優れた固定化酵母を調整するとともに, それを用いたエタノール発酵と, 蒸留法よりも省力化できると見積られている浸透気化法によるエタノールの濃縮とを同時に行なう分離型バイオリアクターの開発を試みたものであり, 主として次の結果が得られた.1.高濃度エタノール生産用固定化酵母の調整1)アルギン酸カルシウムゲル包括固定化酵母に, ポリ塩化ビニル, ポリビニルピロリドン, ポリスチレン等の疎水性ポリマー粉末を20〜30%同時に包括することによって, 固定化酵母のエタノール耐性ならびにグルコース耐性が増大し, それにともなって回分法で達成されるエタノール濃度は1.5倍(15wt%)に増大した.2)エタノールならびにグルコース耐性が増大する原因(機構)について検討した結果, 疎水性ポリマー表面への吸着とポリマ表面近傍および液本体間のグルコースならびにエタノールの分配とが重要な因子であることが推察された.2.分離型バイオリアクターによる高濃度エタノールの連続生産1)ポリ塩化ビニルを同時に包括した固定化酵母による発酵とシリコンゴムチューブを用いる浸透気化を複合した流通式リアクターを用いることにより, 通常の発酵で得られるエタノール濃度の5〜7倍の270〜350g/Lの高濃度エタノールを連続的に生産できた. 酵母活性の半減期は2.5ケ月であった.2)本バイオリアクターは, 完全混合槽型リアクターとして取り扱えることがわかり, エタノールによる非拮抗阻害を考慮した本プロセスの動力学的把握を試みた結果, 実験データを充分に整理できるとともに, 種々の反応操作のシュミレーションが可能となった.