著者
富岡 義雄 兼子 樹広 及川 正明 兼丸 卓美 吉原 豊彦 和田 隆一
出版者
日本ウマ科学会
雑誌
日本中央競馬会競走馬総合研究所報告 (ISSN:03864634)
巻号頁・発行日
vol.1985, no.22, pp.22-29, 1985

競走馬の中手骨 (Mc) における骨塩含量 (BMC/BW; g/cm<sup>2</sup>) の部位および左右肢間の差を明らかにするとともに, BMC/BWに影響を与える因子を検討するため, ボーンミネラルアナライザー (BMA) を用いて競走馬15頭28肢のMcを測定した. 放射性アメリシウム (<sup>241</sup>Am) を線源としたBMAの測定値は精度ならびに再現性に優れていた. このBMAを用いて水槽内に保定したMcを内外側方向で, 遠位関節面から1cmごとに20cm近位まで20個所のBMC/BWを測定したところ, その測定値を図示すると一定のパターンを示した. それは遠位関節面より1cmならびに17cm近位部にピークをもち, 遠位関節面より近位5cm部を最低値とするものであった. また左右Mc間に差はみられなかった. 緻密骨からなる骨幹中央部のBMC/BWは出走回数, 出走期間ならびに馬体重と有意の正の相関を示し, またこの値は59か月齢まで加齢にともない上昇した. 一方, 海綿骨のBMC/BWは遠位関節面から1cm近位部で極めて高値を示した. またこの値は出走回数出走期間ならびに加齢と有意の正の相関を示した.
著者
及川 正明 久保 理江 大浪 洋二
出版者
日本家畜臨床学会
雑誌
日本家畜臨床学会誌 (ISSN:13468464)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.165-168, 2008

極限のスピードを求められるサラブレッド種の競走馬にとって、骨折はレースを続けるかぎり不可避ともいえる職業病と看做されている。事実、日本中央競馬会(JRA)から毎年発行されている競走馬保健衛生年報によると、JRAに所属する競走馬における骨折の発生率は年度は異なっていても、レース中が約2%、調教中が約0.1%の割合で毎年推移していることは、職業病とも呼ばれる所以となっている。またレース中および調教中に発生した全骨折例の中で最も高率な発症部位は手根関節構成骨であった。その内訳は橈骨遠位端、第3手根骨、橈側手根骨の順に多く発症していた。また、手根関節構成骨の骨折の多くは、骨体より小さな骨軟骨片として骨体より離断するタイプの骨折、すなわち剥離骨折であった。我が国において日常的に行われている関節鏡手術の一例、すなわち右橈骨遠位端にチップフラクチャーを発症し、関節鏡による骨片摘出術が行われた一例の経過と予後について紹介したい。
著者
芒 来 和田 隆一 九郎丸 正道 杉浦 健夫 吉原 豊彦 及川 正明 林 良博
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.62, no.9, pp.1001-1003, S・iii, 2000-09-25
参考文献数
13
被引用文献数
7

馬喉嚢の機能を解明する糸口を得るため, 粘膜における各種免疫グロブリンのアイソタイプおよびサブアイソタイプの分布を調べた.その結果, IgGaおよびIgM含有細胞は粘膜のリンパ小節と粘膜下リンパ小節に認められ, IgGcは粘膜下リンパ小節にのみ検出された.これらはいずれもリンパ球や形質細胞内に認められた.一方, IgAは前記遊走細胞に加えて腺上皮や粘膜上皮表層に検出されたことから, 腺上皮から分泌される分泌型IgAの存在が示唆された.
著者
及川 正明 笠嶋 快周
出版者
日本ウマ科学会
雑誌
Journal of equine science (ISSN:13403516)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.41-56, 2002-06-01
参考文献数
55
被引用文献数
1
著者
兼子 樹広 及川 正明 吉原 豊彦
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.181-183, 1993-02-15
被引用文献数
3

レース中に骨折した470頭の競走馬の骨折部位を病理学的に検索した. 骨折は四肢の骨に多発(98%)し, 関節内骨折が高率を占めた. 骨折の発症部位に概ね一致して, 過激な運動負荷および乏血性変化としてとらえられる限局性の関節軟骨下骨壊死および骨硬化病変が共通して指摘された. これら病変は剪断負荷および捻転負荷への抵抗力を弱め, 非骨折骨にも多発してみられることから, 競走馬の骨折に対する前駆要因と推測した.