著者
友常 祐介 矢嶋 まゆみ 奥野 浩 山本 一也
出版者
独立行政法人 労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所
雑誌
労働安全衛生研究 (ISSN:18826822)
巻号頁・発行日
pp.JOSH-2021-0017-JI, (Released:2023-01-13)
参考文献数
26
被引用文献数
1

2011年3月に起きた東日本大震災に伴い発生した東京電力福島第一原子力発電所における事故において,日本原子力研究開発機構では最初の1年間にのべ約45,000人の職員が本来の職場を離れて電話相談,一時帰宅支援,環境モニタ リングなどの支援業務に従事した.特に,住民と直接に接する電話相談に従事した職員には,感情労働に伴うストレスがかかった.同機構の核燃料サイクル工学研究所ではこれらの支援業務に従事した職員に対して,組織的なメンタルヘルスケアを行った.本論文では,今回の活動を支援者への支援の具体例と位置づけ, 原子力災害において住民等の支援を行う職員のメンタルヘルスについて考察した.
著者
小林 直紀 笹原 信一朗 友常 祐介 道喜 将太郎 商 真哲 大井 雄一 羽岡 健史 梅田 忠敬 吉野 聡 松崎 一葉
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.286-293, 2012-12-20 (Released:2012-12-12)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1

目的:休業に関する規則や職場復帰支援制度と,メンタルヘルス不全による休業者の発生状況から,両者の関連性を検討することを目的に本調査を行った.対象と方法:某県産業保健推進センター利用歴のある150ヶ所の事業場を対象に,休復職に関する規則とメンタルヘルス不全による休業者の発生状況に関する調査用紙を配布した.結果:常勤職員数と最大休業期間(r=0.489, p<0.001),常勤職員数と休業中の金銭補償期間(r=0.315, p=0.031)との間に有意な相関を認めた.また,常勤職員数1,000人以上の9事業場においては,金銭補償期間と休業者率(r=0.670, p=0.048),金銭補償期間と平均休業日数(r=0.866, p<0.001)との間に有意な相関を認めた.考察:メンタルヘルス不全による休復職の判断においては,金銭補償期間が影響を与えている可能性が示唆された.今後は,メンタルヘルス不全者の支援体制の改善を考える上で金銭補償期間の影響を考慮した制度の見直しが必要と考えられた.