著者
前野 哲博 中村 明澄 前野 貴美 小崎 真規子 木村 琢磨 富田 絵梨子 笹原 信一朗 松崎 一葉
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.175-182, 2008-06-25 (Released:2010-10-22)
参考文献数
18
被引用文献数
3

研修医はきわめて高いストレスにさらされており, うつ病などのストレス反応を起こして研修を中断せざるを得ない研修医が後を絶たない.研修医が安心して研修に専念できるために必要な方策を検討するために, 研修医のストレスについての実態及び要因について包括的に評価することを目的とする研究を行った.1) 2004年度の1年目研修医41施設568名を対象に, 研修開始時と2か月後に, 自記式質問紙票を用いて研修状況, ストレス要因・緩和要因, ストレス反応等について調査を行った.2) 有効回答者318名のうち, 研修開始2か月後に新たに抑うつ反応を呈した研修医は80名 (25.2%) であった.3) 研修医のストレス特性としては, 高い質的・量的負荷と著しく低い裁量度・達成感が特徴であった.4) 多くの研修医が研修開始後に抑うつ状態に陥っていることが明らかになった.研修環境の改善には, 研修医特有のストレス特性に配慮し, 特にストレス緩和要因を高めることが重要と考えられた.
著者
笹原 信一朗 松崎 一葉
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.60, no.10, pp.404-408, 2010-10-01 (Released:2017-04-25)
参考文献数
32

研究・調査など,専門性の高い業務に従事する図書館員の労働は,高度知的労働と呼ばれる特殊なものであり,そのメンタルヘルス対策にあたっては,研究者の職業性ストレスの特徴を参考にする必要がある。われわれの筑波研究学園都市における一連の調査研究結果からは,仕事の量的負荷,質的負荷などといった職業性ストレス増強要因に対して,仕事の達成感,裁量権などといった職業性ストレス緩和要因が,仕事量を減らせない高度知的労働者には重要であり,その緩和要因に対しては,個人の認知様式が大きな影響を与えていることが示唆されてきた。したがって,図書館員のような高度知的労働者には,今後SOC(首尾一貫感覚)などの個人の認知様式に働きかけていくような対策が,求められると考えられた。
著者
小林 直紀 笹原 信一朗 友常 祐介 道喜 将太郎 商 真哲 大井 雄一 羽岡 健史 梅田 忠敬 吉野 聡 松崎 一葉
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.286-293, 2012-12-20 (Released:2012-12-12)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1

目的:休業に関する規則や職場復帰支援制度と,メンタルヘルス不全による休業者の発生状況から,両者の関連性を検討することを目的に本調査を行った.対象と方法:某県産業保健推進センター利用歴のある150ヶ所の事業場を対象に,休復職に関する規則とメンタルヘルス不全による休業者の発生状況に関する調査用紙を配布した.結果:常勤職員数と最大休業期間(r=0.489, p<0.001),常勤職員数と休業中の金銭補償期間(r=0.315, p=0.031)との間に有意な相関を認めた.また,常勤職員数1,000人以上の9事業場においては,金銭補償期間と休業者率(r=0.670, p=0.048),金銭補償期間と平均休業日数(r=0.866, p<0.001)との間に有意な相関を認めた.考察:メンタルヘルス不全による休復職の判断においては,金銭補償期間が影響を与えている可能性が示唆された.今後は,メンタルヘルス不全者の支援体制の改善を考える上で金銭補償期間の影響を考慮した制度の見直しが必要と考えられた.
著者
三輪 洋靖 笹原 信一朗
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.21-27, 2011 (Released:2016-04-15)
参考文献数
23

近年,メンタルヘルスの低下,特にうつ病患者の増加が社会問題となっている.そこで,本稿では,うつ病の代表的な症状の一つである睡眠障害に着目し,健常者およびうつ病患者の睡眠状態の比較を目的とした.そして,加速度計を用いて睡眠中の寝返りを検出し,寝返りの頻度より睡眠深度を2 段階に分類した.さらに,睡眠状態を比較する指標として,睡眠の質得点(SQS),短時間睡眠の質得点(S-SQS),標準SQS 変動率の3 つの指標を提案した.最後に,健常者およびうつ病患者に対して,提案指標の長期連続計測実験を行った結果,両者間に有意な差が確認され,継続的なうつ状態が,睡眠深度を浅くし,睡眠の質得点や標準SQS 変動率の低下をもたらしたことが示唆された.
著者
笹原 信一朗
巻号頁・発行日
2003

現在の日本は、経済・社会の各分野にわたり高度成長を遂げた後、流動的要素を多く含み、社会全体が不安定な様相を呈している。そのなかで、日本の科学技術の発展は、これからの時代を切り開く重要な戦略事項として、政府もその支援方策について検討を重ねている ...
著者
笹原 信一朗 松崎 一葉
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.60, no.10, pp.404-408, 2010-10-01

研究・調査など,専門性の高い業務に従事する図書館員の労働は,高度知的労働と呼ばれる特殊なものであり,そのメンタルヘルス対策にあたっては,研究者の職業性ストレスの特徴を参考にする必要がある。われわれの筑波研究学園都市における一連の調査研究結果からは,仕事の量的負荷,質的負荷などといった職業性ストレス増強要因に対して,仕事の達成感,裁量権などといった職業性ストレス緩和要因が,仕事量を減らせない高度知的労働者には重要であり,その緩和要因に対しては,個人の認知様式が大きな影響を与えていることが示唆されてきた。したがって,図書館員のような高度知的労働者には,今後SOC(首尾一貫感覚)などの個人の認知様式に働きかけていくような対策が,求められると考えられた。
著者
笹原 信一朗
巻号頁・発行日
2012

科学研究費助成事業(科学研究費補助金)研究成果報告書:若手研究(B)2009-2011