著者
山中 晋爾 古原和邦 今井 秀樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.46, no.8, pp.2025-2035, 2005-08-15
被引用文献数
2 1

ネットワークにおいて匿名通信を実現する手法は,これまでに数多く提案されている.しかしながら,ネットワーク構造が変化してしまうような非静的なネットワークを持つ通信基盤において匿名通信を実現する手法は,Peer to Peer(P2P)の基盤技術を用いた方法しか提案されていない.本論文ではP2P基盤技術を用いず,既存のオニオン・ルーティングをベースとした,新しい匿名通信方式Valkyrie を提案する.Valkyrieでは,オニオン・ルーティングに対して新しいオニオン:代替オニオンおよびバックトラックオニオン,を導入した.これらの新しいオニオンを利用すれば,メッセージ送信途中に分断された経路を迂回することが可能となる.この結果,Valkyrieを用いることで非静的ネットワークにおいて匿名通信を実現できる.This paper proposes new anonymous routing scheme Valkyrie. Although, previous works in the literature already addresses the question of anonymity in packet networks, these solutions usually cannot apply to unstable networks, where the network topology changes dynamically. Valkyrie is based multiple encryption scheme and routing technique that is adopted by Onion Routing scheme. Because of that, Valkyrie can transmit messages on (stable) network anonymously. In addition, Valkyrie has two new onions: Alternate Onion and Back Track Onion. These two onions can bypass disconnection on unstable network. Consequently, Valkyrie is anonymous routing scheme which can run on unstable network.
著者
田村 仁 古原 和邦 今井 秀樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:03875806)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.494-504, 2007-02-15
参考文献数
11
被引用文献数
1

アドホックネットワークに代表されるような動的なネットワーク上で何らかの双方向通信を行う際,送信時に利用した経路を返信時では利用できないケースは当然考慮されるべきであるが,とりわけ,返信時にその返信先を知ることができない匿名通信においては,これはそう単純な問題ではない.特に医療相談など,返信までのタイムラグが大きいアプリケーションほどそのような問題に陥る可能性は高い.しかしながら,こうした点について従来の匿名通信方式では十分に考慮されているとはいい難い.そこで本論文では,主な既存方式の特徴や問題点とその原因を整理したうえで,新たに高いデータ可用性を有した方式を提案する.また,これら提案方式を含め種々の組合せについて匿名性,データの可用性,および操作のコストという観点からの比較検証を行った.その結果,従来の代表的な双方向匿名通信方式であるオニオンルーティングを用いる場合に比べても総合的に性能が優った方式の組合せを示すことに成功した.
著者
戸田 賢二 海老原 一郎 瀬河 浩司 高橋 孝一 森川 治 古原 和邦
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.44, pp.1-6, 2013-03-06

制御システムをマルウェアの脅威から防御する手段として制御システムを包み込みセキュリティのバリアを提供するデバイスの提案と開発状況について述べる.同デバイスは専用のFPGAボードであり,まずストレージのアクセス制御を中心に開発を行っている.本稿では,ファイルシステムへの対応手法について検討した.Security Barrier Device, an attachment to control system devices for protection against malware, is described. The device is a specially designed FPGA board, in which storage access control is firstly under development. This article has a discussion on access control method on file systems.
著者
馬場 健介 古原 和邦 岩村 恵市 鄭 玉良 今井 秀樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ
巻号頁・発行日
vol.98, no.48, pp.61-69, 1998-05-15

ディジタルコンテンツの著作権保護システムを実現する手段として、電子透かし技術が数多く研究されている。一般に、画像の販売者のみが購入者情報を生成し、電子透かしを用いてその埋め込みを行なうようなシステムでは、流出画像が購入者が流出させたものか、販売者から流出されたものかを厳密に区別することはできず、何らかの方法で販売者のコンピュータから、ある購入者情報が埋め込まれた画像が漏洩されれば、不正行為を行なっていない購入者が不正であるとみなされる可能性がある。そこで本稿では、購入者情報の埋め込みに購入者自身が参加し、販売者側から購入者情報が漏洩しても購入者が不正とみなされないプロトコルを提案する。このプロトコルはディジタル画像だけでなく、音声や動画像といったディジタルコンテンツにも応用できる。