著者
古城門 靖子 赤沢 雪路 曽根原 純子 武井 麻子 寳田 穂
出版者
日本精神保健看護学会
雑誌
日本精神保健看護学会誌 (ISSN:09180621)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.19-28, 2016-06-30 (Released:2017-06-30)
参考文献数
14

看護師は日常的な感情労働の代償として共感疲労に陥る危険性が高く,職場における自らの感情面での健康状態に気づき,対処する必要がある.そのためには,感情知性(emotional intelligence: EI)と呼ばれる能力が重要であると言われている.そこで本研究では,病棟チームの柱となって働いている中堅看護師を対象として言語による交流を中心としたグループを毎月1回,計10回行い,そこで語ることが中堅看護師のEI育成に有用であることを実証的に明らかにすることにした.研究参加者は総合病院に勤務する実務経験4年以上の中堅看護師7名である.結果として,参加者たちは仕事にまつわる不安や管理者への期待と不満を徐々に語りだし,それが過去の体験とつながりがあることに気づいた.こうして彼らは,グループの中で新たな他者への信頼と自信を取り戻していった.
著者
福田 敦子 花岡 澄代 喜多 淳子 津田 紀子 村田 惠子 矢田 眞美子 中村 美優 鶴田 早苗 松浦 正子 伊藤 佳代子 古城門 靖子
出版者
神戸大学
雑誌
神戸大学医学部保健学科紀要 (ISSN:13413430)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.35-45, 2004
被引用文献数
1

本研究の目的は、リアリティショックの潜在構造を明らかにして新卒看護職者の傾向を示し、今後の看護教育への示唆を得ることである。方法は、病院に就職した新卒看護職者275名を対象に、独自に作成した質問用紙を用いた調査を行い、因子分析により潜在構造を求めた。質問紙において用いたリアリティショック23項目に対する因子分析より、6因子『患者・家族との複雑な関係・対応』『職場における協働の仕方とシステム』『未経験の機器やケア』『ナースコールや電話への対応』『生命監視装置等のある環境』『患者の死亡や急変』が抽出され(α係数0.898)、『未経験の機器やケア』『ナースコールや電話への対応』『職場における協働の仕方とシステム』で各因子における平均得点が高かった。今回、各因子における平均得点が高かったのは看護実習においても経験することが難しい因子であった。今後は在学中の看護基礎教育および継続教育を含めて、臨床的なリアリティ認知を高める取り組みの必要性が示唆された。