著者
菊地 和美 古郡 曜子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.20, pp.181, 2008

<BR> 【目的】<BR> 冷涼な気候と自然、豊かな大地とともに海に囲まれた北海道は、生乳などの農産物が豊富であることが知られている。北海道では近年、道産食品独自認証制度など食の安全・安心の取り組みを積極的に進めている。そこで、北海道産食材の特徴を活かした食育として、江別産小麦粉を用いた調理について検討を行うことにした。<BR>【方法】<BR> 調査方法は、2008年1月~2月の『第3土曜日道産DAY』に大学生対象として色彩に関するアンケート調査を実施した。さらに、江別産小麦粉を用いた調理体験を大学生ならびに高校生を対象として、官能検査や菓子作成に用いた色彩について考察を行った。 <BR>【結果】<BR> 大学生を対象にした色彩に関するアンケート結果はクリームの色がプラスのイメージでは白色、黄色であり、マイナスのイメージでは黒色、青色の出現傾向にあった。江別産小麦粉を用いたどら焼き調理体験におけるクリームに混ぜたジャムなどの種類は抹茶が多く、次いで大学生ではキャロットジャム、高校生ではアロニアジャムの順であった。ジャムなどの平均種類数は高校生が5.3±3.2種類、大学生が3.1±0.8種類であり、高校生が多く、有意差がみられた(p<0.05)。調理体験における官能検査結果では焼き菓子は「風味がよい」という回答がみられ、どら焼きのトッピングであるジャム入りクロテッドクリームは総合評価や風味、外観が高かった。また、クロテッドクリームについて、抹茶とキャロットジャムでは官能検査の結果、外観や総合評価はキャロットジャムが高くなり、食感や風味は抹茶が高く、有意差がみられた(p<0.01)。以上より、北海道産食材を用いた食育の展開を今後も地域において継続したいと考えている。
著者
菊地 和美 古郡 曜子
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 = Journal for the integrated study of dietary habits (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.273-279, 2008-12-30
参考文献数
10

&nbsp;&nbsp;クロテッドクリームの基礎的性状を調べるために, 北海道産クロテッドクリームを用いて, 色調, 動的粘弾性, 示差走査熱量分析 (DSC測定) を行った。さらに, クロテッドクリームを用いて北海道江別市の大学生を対象とした江別産小麦粉を用いた焼き菓子調理および官能検査を試みた。<BR>1. クロテッドクリームの色調は, ホイップクリームに比べて明るさのある黄色を呈していた。<BR>2. 動的粘弾性ではクロテッドクリームおよびホイップクリームともに, 最大貯蔵弾性率は5℃付近に存在し, 温度が上昇すると粘性要素が高くなった。<BR>3. 示差走査熱量分析ではクロテッドクリームの吸熱エンタルピー (&delta;H) は乳脂肪クリームのそれよりも大きかった。<BR>4. 北海道産食材を用いた調理体験では, クロテッドクリームに抹茶粉末やキャロットジャムなどを混合している様子が観察された。<BR>5. 官能検査では, 焼き菓子のみに比べて焼き菓子にクロテッドクリームを添えたものは総合評価が有意に高かった。さらに, クロテッドクリームのみに比べて, 風味では抹茶入りクロテッドクリーム, 外観ではキャロットジャム入りクロテッドクリームの評価が有意に好まれた。<BR>&nbsp;&nbsp;以上より, クロテッドクリームはジャムと混ぜたり, しぼりだして用いることができるため, その特性を活かして焼き菓子などへ利用できる可能性が示唆された。
著者
古郡 曜子 菊地 和美
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.410-416, 2009-12-20

本研究は,平成2年前後に生まれた学生を対象とした保育所・幼稚園における「食の思い出」アンケート調査をまとめたものである。調査時期は2008年4〜5月に実施し,有効回答数は732人,調査対象者の平均年齢は18.5歳であった。アンケート調査の結果は以下のとおりであった。食生活の出来事における思い出の回答では,「印象に残っていること」は「いただきます・ごちそうさまという挨拶」を多く挙げていた(74.5%)。通園先における「食事が楽しかった」という回答が82.2%であり,「楽しい思い出」の質問には,みんなで食べたこと,お弁当に関すること,食べ物の栽培をしたことなどを回答していた。一方,幼児期の家庭における「食事のしつけ」の記憶数は,平均4.0±2.2個であった。「現在,食事のマナーが身についていると思う」と回答した学生は,幼児期の家庭における「食事のしつけ」の記憶数が多いという,関連性がみられた。