2 0 0 0 OA 下肢のROMとADL

著者
吉元 洋一
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.247-250, 1988-05-10 (Released:2018-10-25)
参考文献数
9
被引用文献数
10

三次元電気角度計を使用し, 股・膝関節可動域が和式ADLにどのように関連しているかについて検討し, 以下の結論を得た。和式ADLにおける股関節使用可動域は, 屈曲120度, 回旋20度及び内外反26度を有すればほぼ可能であるが動作によっては, 最終肢位よりも運動中に最大可動域となる動作があるので注意することが必要である。膝関節については屈曲130-150度, 内旋10~39度及び内外反20-30度が必要である。特に膝最大屈曲が要求される動作においては, 内旋及び内反方向の動きが重要となり, 和式ADLにおける特徴を示唆している。
著者
木山 良二 川田 将之 吉元 洋一 前田 哲男
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.48102107, 2013 (Released:2013-06-20)

【はじめに、目的】歩行時の足関節底屈モーメントの増加は,床反力の前方成分を強め,股関節屈曲モーメント,パワーを減少させることが報告されている。立脚後期の足関節底屈モーメントはヒラメ筋や腓腹筋などにより発揮されるが,腓腹筋は二関節筋であり,その作用は膝関節を介し,股関節にも影響を与えると考えられる。本研究の目的は,下腿三頭筋の最大筋力を変化させた筋骨格モデルを用い,腓腹筋が歩行中の股関節屈筋群に与える影響を明らかにすることである。【方法】対象は健常成人10 名とした。3 次元動作解析装置(Oxford Metrics社製VICON MX3)と床反力計2 枚(AMTI社製OR6-7, BP400-600 )を用い,快適速度の歩行を計測した。計測側は左下肢とし,計測回数は3 回とした。得られたデータと筋骨格モデルシミュレーションソフト(ANYBODY Technology社製AnyBody 5.2)を用い,筋の活動張力を算出した。筋骨格モデルの腓腹筋もしくは,ヒラメ筋の最大筋力をそれぞれ100%,60%,30%に減少させたモデルを用い,腓腹筋の筋張力が股関節屈筋群の筋張力に与える影響を検討した。今回は腓腹筋,ヒラメ筋,大腿直筋,大腰筋,腸骨筋,中殿筋前部線維を分析対象とした。また大腿直筋については,腱に蓄積される弾性エネルギーも算出した。活動張力および弾性エネルギーは,時間正規化を行い,体重にて正規化し,立脚後期における最大値を比較した。統計学的検定にはフリードマン検定を用い,有意水準は5%とした。なお統計学的検定にはSPSS 20 を用いた。【倫理的配慮、説明と同意】本研究の内容は,鹿児島大学医学部倫理委員会の承認を得て実施した。測定に先立って,対象者に本研究の趣旨を書面及び口頭で説明し,書面にて同意を得られた場合にのみ測定を行った。【結果】歩行速度は1.22 ± 0.16 m/s,歩幅は0.66 ± 0.1 m,歩行率は109.6 ± 4.9 steps/minであった。腓腹筋の最大筋力を低下させたモデルでは,腓腹筋の最大筋力の低下に伴い,立脚後期の大腿直筋の活動張力が有意に低下し(100%, 3.7 ± 2.9 N/kg; 60%, 2.9 ± 2.6 N/kg; 30%, 2.5 ± 2.3 N/kg; P<0.001),ヒラメ筋(100%, 21.6 ± 6.5 N/kg; 60%, 25.8 ± 8.6 N/kg; 30%, 31.5 ± 8.2 N/kg; P<0.001),大腰筋(100%, 17.3 ± 6.9 N/kg; 60%, 18.4 ± 7.2 N/kg; 30%, 19.9 ± 7.5 N/kg; P<0.001),腸骨筋(100%, 7.0 ± 2.1 N/kg; 60%, 7.5 ± 2.1 N/kg; 30%, 8.0 ± 2.1 N/kg; P<0.001),中殿筋前部線維(100%, 5.5 ± 1.5 N/kg; 60%, 6.1 ± 1.6 N/kg; 30%, 7.5 ± 1.7 N/kg; P<0.001)の活動帳力が有意に増加した。股関節の屈筋群で特に変化率が大きかったのは,大腿直筋および中殿筋前部線維であった。ヒラメ筋の最大筋力を低下させたモデルでは,ヒラメ筋の筋力低下に伴い,立脚後期における腓腹筋,大腿直筋の活動張力が有意に増加し(P<0.001),大腰筋,腸骨筋,中殿筋前部線維の活動張力が有意に減少した(P<0.001)。また大腿直筋腱の弾性エネルギーは,歩行周期の約50%にピークを示し,腓腹筋の最大筋力を低下させたモデルでは,有意に減少し(P<0.001),ヒラメ筋の最大筋力を低下させたモデルでは,有意に増加した(P<0.001)。【考察】今回の結果では,腓腹筋の活動張力のピークは歩行周期の約40%,ヒラメ筋は約50%であり,おおよそターミナルスタンスの後半からプレスウィングに該当する。この時期の腓腹筋の筋張力は,主に足関節底屈モーメントを発生し,重心の前方移動に関与する。しかし膝関節に対しては,屈曲モーメントを発生させる。一方,大腿直筋もおおよそ歩行周期の50% でピークを示し,股関節屈曲モーメントと膝関節伸展モーメントを発揮する。腓腹筋と大腿直筋の同時性収縮により,膝関節の安定性が保たれる。そのため,腓腹筋の最大筋力を低下させた筋骨格モデルでは,腓腹筋の活動張力の低下に伴い,それに拮抗する大腿直筋の活動張力および腱の弾性エネルギーが減少する。その結果,その他の股関節屈筋の活動張力が増加したと考えられた。また,大腿直筋は股関節に対しては,屈曲と外転の作用をもつため,同様の作用をもつ中殿筋前部線維の活動張力の増加率が大きかったと考えられた。逆に,ヒラメ筋の最大筋力を低下させたモデルでは,腓腹筋の活動張力が増加するために,大腿直筋の活動張力が増加し,その他の股関節屈筋群の活動張力が減少したと考えられた。したがって,腓腹筋の活動張力は大腿直筋と連動して,股関節屈筋群に影響を与えることが示唆された。【理学療法学研究としての意義】歩行中の腓腹筋の筋張力は,床反力の前方成分の増加に加え,膝関節伸展筋と拮抗することにより,大腿直筋の筋張力を高め,股関節屈筋群の負荷を軽減することが示唆された。このことは,歩行時の振り出しが困難な症例の代償戦略や,負荷が生じる部位を検討する際の基礎的情報として意義深いと考える。
著者
吉元 洋一
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法のための運動生理 (ISSN:09127100)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.197-202, 1992 (Released:2007-03-29)
参考文献数
8

本研究の目的は、脳卒中片麻痺患者の片膝立ちにおいて麻痺前と、非麻痺側前では、どちらが容易であるかにっいて検討することである。対象は、両膝立ちが監視レベル以上で可能な脳卒中片麻痺患者69例である。結果は、発症後1年未満と1年以上、発症後6か月未満と6か月以上1年未満との比較、および麻痺側別の比較でも非麻痺側前の片膝立ちが容易であることを認めた。下肢ブルンストローム・ステージ別の比較ではステージIII、VIにおいて非麻痺側前の片膝立ちが容易でありIV・Vでは麻痺側前と非麻痺側前の間には難易度に差を認めなかった。
著者
朝倉 弘美 吉元 洋一 後東 尚樹 北村 敏乃
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48100048-48100048, 2013

【はじめに、目的】 介護予防とは「要介護状態の発生をできる限り防ぐ(遅らせる)こと,そして要介護状態にあってもその悪化をできる限り防ぐこと,さらには軽減を目指すこと」と定義されている.また,平成18年度の介護保険法改正により,介護予防は,要介護状態の軽減や悪化の防止だけでなく,高齢者が地域で再び自立して生活することができるようにすることを目的に,要支援者に対し介護予防サービスを効果的に提供する予防給付と併せて,要支援・要介護状態等となる恐れのある高齢者を早期に把握し,水際で食い止める介護予防事業が重視されることとなった.一方,フラダンス(以下,フラ)は,ハワイアン音楽に合わせたゆったりした動きであるが,常に股関節・膝関節屈曲位での動きであり,体幹は正中位に保持したままで骨盤の回旋・傾斜運動が反復的に行われる.また,エアロビクスや太極拳と同様に有酸素運動であり,1曲(3~4分程度)の運動量は4~6METsであると報告されている.しかし,介護予防にフラを使った報告は少なく,今回,フラによる運動効果について検証したので報告する.【方法】 研究目的に賛同を得られた,60歳代・70歳代のフラ未経験女性8名(平均年齢66.1歳)を対象に,3か月間(週1回,計12回)のフラレッスンを実施し,実施前後の運動機能・動作能力等をE-SAS,開眼片足立ち時間,Functional Reach Test(以下,FR),握力,筋力等で比較した.なお,E-SASは質問紙であるため,回答の信頼性を確認するために改訂長谷川式簡易知能評価スケール(以下,HDS-R)を実施した.フラレッスンは1時間とし,ストレッチ・リズム体操・フラの基本の動きを使った筋力トレーニング・ダンスレッスンを実施した.なお,毎回,実施前に血圧を測定した.【倫理的配慮、説明と同意】 対象者には書面及び口頭にて,研究目的,研究方法,研究期間,途中でのクレーム等の権利の確保,プライバシーの保護等について説明した後,書面による参加の同意を得た.なお,本研究は,専門学校星城大学リハビリテーション学院研究倫理委員会の承認を受けて実施した(承認番号120001).【結果】 1名が高血圧症で通院及び内服中であり,実施前の血圧測定で高血圧の症状が見られたため,その1名は除外し,対象は7名とした.E-SASでは,生活のひろがり,歩くチカラ,人とのつながりで5名の改善が認められた.HDS-Rでは全て25点以上であり,E-SASの結果の信頼性に問題はないと判断した.また,BMIは4名に減少が認められた.開眼片足立ち時間,FR,握力,Timed Up & Go Test(以下,TUG)では,6名の改善が認められた.下肢筋力では4~5名の改善が認められた.最終評価時の自由記載欄では,5名が楽しかったと回答しており,また,自分が想像していた以上に動けなかったと2名が回答した.【考察】 12回のフラレッスンにより,半数以上に筋力,バランス能力,柔軟性,歩行能力の改善が認められたことは特筆すべきことである.またE-SASにおいても5項目中3項目に改善が認められたことにより,フラは介護予防に有用な手段となり得ると考える.フラはパウスカートやフラワーレイなどのコスチュームでハワイアン音楽に合わせてゆったりと踊るため楽しく実施でき,その「楽しさ」が「運動の継続」に繋がると考える.さらに,発表会などに参加するなどの目標を持つことや,人前でダンスを披露することの「満足感・達成感」が,さらなる「運動の継続」に繋がると考える.介護予防には,定期的な,そして継続的な運動が重要であり,フラはその有効な手段であると考える.しかし,本研究では対象者数が少ないため,さらに対象者数を増やして検証する必要がある.【理学療法学研究としての意義】 フラの運動効果を明らかにすることで,「フラによる介護予防プログラム」作成の一助となると考える.

1 0 0 0 OA 下肢のROMとADL

著者
吉元 洋一
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.247-250, 1988-05-10
被引用文献数
13

三次元電気角度計を使用し, 股・膝関節可動域が和式ADLにどのように関連しているかについて検討し, 以下の結論を得た。和式ADLにおける股関節使用可動域は, 屈曲120度, 回旋20度及び内外反26度を有すればほぼ可能であるが動作によっては, 最終肢位よりも運動中に最大可動域となる動作があるので注意することが必要である。膝関節については屈曲130-150度, 内旋10~39度及び内外反20-30度が必要である。特に膝最大屈曲が要求される動作においては, 内旋及び内反方向の動きが重要となり, 和式ADLにおける特徴を示唆している。
著者
吉元 洋一 勝田 治己 長谷川 博一 杉浦 昌己 宮川 博文 古川 良三 青山 賢治 三橋 俊高
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.321-328, 1988-07-10
被引用文献数
4

脳卒中患者87例に対し, Brunnstrom Stageと姿勢反射機構検査を行い, 以下の結論を得た。1. 上・下肢Brunnstrom Stageと本検査得点の比較では, 全てのStageにおいて健側との間に有意な得点差を認めた(下肢StageI : p<0.05, 他は全てp<0.01)。2. 上・下肢StageIIとIIIの比較では, 健側及び麻痺側共に有意差を認めた(p<0.01)。3. 上肢StageVとVI, 下肢StageIIIとIV, IVとV, VとVIの麻痺側間の比較において有意差を認めた(p<0.05)。4. Brunnstrom Stageと本検査得点の相関係数は, 上肢健側r=0.555, 麻痺側r=0.825, 下肢健側r=0.613, 麻痺側r=0.872と中等度以上の相関関係を認めた。