著者
黒田 匡迪 東寺 祐亮 坂井 美穂 渕上 千香子 吉村 充功
出版者
日本リメディアル教育学会
雑誌
リメディアル教育研究 (ISSN:18810470)
巻号頁・発行日
pp.jade.2022.02.15.01, (Released:2022-03-01)
参考文献数
4

日本文理大学工学部の初年次において,リメディアル科目として基礎学力講座(数学・国語)をクォータ制で開講している。2019年度までは共通シラバス・共通教材での複数クラスを対面授業で実施してきたが,クラス間の教育効果に差があるという課題があり,2020年度からはチームティーチングによる遠隔授業(合同クラス)への転換を図った。本研究では,チームティーチングが導入されている基礎学力講座(数学・国語)において,対面方式の授業を遠隔方式に変更した場合に,同程度の効果が得られるかを検証した。その結果,対面授業を行った2019年度と,チームティーチングを導入して遠隔授業を行った2020年度とで単位認定率と期末試験点数に有意な差は見られず,遜色ない効果が得られたことが明らかになった。一方で,2020年度の遠隔授業では,2019年度までの対面授業と比較して,欠席過多による不合格者が多いことが明らかになった。授業時のアンケートを基に,遠隔授業に馴染めない学生の原因・特性とそのサポート方法に関する考察を行った。
著者
吉村 充功 亀野 辰三
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09131280)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.103-108, 2006-10-25
参考文献数
5
被引用文献数
1 1

近年では,有料道路の料金の弾力的な運用により,一般道路からの経路変更を促す有料道路社会実験が多く実施されるようになってきている.しかしながら,通勤混雑問題に焦点を絞ると,日本社会では多くの場合通勤費用を企業が負担しているため,料金政策が直接通勤者の行動変化につながらない可能性がある.つまり,通勤者の行動の変化は必ずしも通勤者だけの意志で決定しているとは言えない.そのため,有料道路社会実験でも予想していたほどの十分な経路変更がなされないなどの問題が起こっている.そこで本研究では,企業アンケートを実施し,企業の通勤手当の支給,および通勤支援策の実態を明らかにするとともに,有料道路の料金変更に対して企業がどの程度料金負担の柔軟性を持っているか,またその他のTDM施策を含めた通勤問題に対する取り組み実施実態・意向などを明らかにすることを目的とする.これらの分析結果より,通勤手当として約9割の企業が通勤費用を支給していること,さらに有料道路の料金負担についても13%の企業が支給していることを明らかにした.
著者
吉村 充功 池畑 義人 山下 彰彦 田村 真輝 三浦 正昭
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
建設マネジメント研究論文集
巻号頁・発行日
vol.13, pp.247-254, 2006

建設産業では, 若年者の就職離れなどにより, 他の産業に比べ高齢層の割合が高くなっている. このような状況は地方ほど厳しくなっており, 近い将来に迎える大量定年退職時代に向けて, 建設企業がどのような問題を抱え, またそれに対応できる人材がどのようなものかを明らかにする必要がある. その上で, 高等教育機関である大学土木教育の効果的な改革の方向性を検討する必要がある.<BR>本研究では, 以上の問題意識に立ち, 地方の建設産業を支える中小建設企業に対して, 経営上の課題および必要な人材についての意識調査を実施した. これらを分析した結果, 企業が抱える課題としては, 「原価管理の徹底」, 「若手の育成」, 「受注量の増加」が上位となり, 企業の利益確保策のほか, 若年者育成が問題となっていることが明らかとなった. また, 大卒者に求める能力・資格としては「やる気」, 「責任感」といった基礎的な人間力のほか, 「パソコンの使用技術」や「コスト感覚」といった項目が上位となった. 一方で, 実際に採用を希望する企業が大卒者に求める能力・資格について, 数量化理論II類を用いて分析した結果, 「時事ネタの知識」, 「技術者倫理」といった情報力や倫理観の項目が強く反応し, 今後の人材育成の方向性についての知見を蓄積することができた.