著者
湯浅 資之 上野 里美 谷山 洋三 吉武 尚美 岡部 大祐 アウン ミョーニエン
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

脳の電気化学反応で生じるメンタルヘルスと異なり、生きる意味や人生の目的を質的に認知するスピリチュアルヘルス(SH)は、WHOも健康の定義へ加えることを討議しているが、SHに関する国民の共通理解も無い日本など慎重な国の棄権により追加は見送られている。独自の死生観を持つ日本人に適合したSHとは如何なるものか。本研究者らはその問いに対し「生き方を自己選択すること」との仮説を立て、本研究でこれを実証する。海外の文献を検討してSHの定義と分類、測定法を整理し、アジアや日本でSHに対する意識調査を行い、科学的かつ学際的見地から日本人に適合するSHの定義仮説を検証し、結果を普及するための書籍化を目指す。
著者
吉武 尚美 松本 聡子 室橋 弘人 古荘 純一 菅原 ますみ
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.180-190, 2012

中学生や高校生が生活全般に抱く満足度評価(以下,生活満足度)に関連する要因として,パーソナリティや学力などのポジティブな個人内特性をはじめ,家族関係や友人関係などの対人関係が検討されてきたが,これらがどのように関連しあって生活満足度に結実するのかは明らかでない。そこで本研究は,ポジティブな個人内特性と対人関係が,生活満足度とそれぞれ独自に関連し,同時に対人関係は個人内特性にも関連するというモデルを構成し,両親の学歴と生徒の性別の影響を統制した上で検証した。加えて,モデルの変数間の関連性に発達的な違いが見られるか検討した。中学1年生(n=254)と高校1年生(n=368)の質問紙データを用い,共分散構造分析により仮説モデルの検証を行った結果,モデルの妥当性が確認され,さらに多母集団同時分析により仮説モデルは中学生と高校生でともに成立し,関連性の度合いもほぼ同程度であることが確認された。ただし,家族関係から個人内特性に引いたパス係数は中学生の方が高校生より有意に大きく,家族環境の良好さと個人内特性の関連性は中学生にとってより顕著であることが示唆された。