著者
加地 信行 湯浅 邦弘 塩出 雅 岸田 知子 中林 史朗 大島 晃 滝野 邦夫 吉永 慎二郎
出版者
大阪大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1994

平成7年度科学研究費補助総合研究A「類書の総合的研究」(研究代表者・加地信行)は、当初の計画通り、全体研究と個別研究の二方面から鋭意研究を推進し、各々次のような成果を挙げることができた。まず、個別研究の成果は、『研究成果報告書(冊子体)』として発表した。ここでは、まず、類書の基本的性格、概念、成立などの大枠について、加地信行「類書における分類の基本的意味」、杉山一也「類書の概念」、南昌宏「分類にみる中国の世界観」、湯浅邦弘「類書の成立」が考察した。また、これらの総論を踏まえ、代表的な個々の類書について、神林裕子「『玉海』の分類-陳仕華著『王伯厚及玉海藝文部之研究』を通じて-」、岸田知子「『玉篇』と類書 付『玉篇』引書一覧」、佐藤一好「『喩林』の『百喩経』引用について」、塩出雅「『白氏六帖』について-その書誌学的事柄-」、滝野邦雄「紀州藩班『羣書治要』の版本について」、竹田健二「『尉繚子』と類書-類書における引用について-」、中林史朗「『藝文類聚』讀書箚記-巻一から巻五までを中心にして-」、藤居岳人「『群書治要』における古典籍の引用傾向-『論語』を中心として-」、矢羽野隆男「『図書編』成立の思想的背景」、湯城吉信「類書蒙求類について」吉永慎二郎「『爾雅』における雅言と博物-類書的理念の濫觴-」が各々考察し、これまで断片的にしか取り上げられなかった類書について、世界で初めて、中国文化という巨視的な立場から総合的な研究の成果を挙げることができた。次に、全体研究として、日本国内および海外の主要大学・図書館等所蔵の類書調査を行ない、その目録の草稿を作成した。この草稿は、京都大学人文科学研究所、神宮文庫、名古屋市蓬佐文庫所蔵分を初めとして、今後、その詳細な目録を発表し、広く内外の研究に供する予定である。
著者
吉永 慎二郎
出版者
秋田大学
雑誌
秋田大学教育文化学部研究紀要. 人文科学・社会科学 (ISSN:1348527X)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.13-22, 2006-03-31

This report has discribed the working of Mojia's Fei Ming on the history of thought in the age of the Warring States and that of Chinese thought.The model of hierarchy of Ming (命) in Zhou (周) dynasty that had been stabilized by substantiating the idea of Tian Ming (天命) resulted from Heaven's Will not only had justified the royal power of Zhou,but also had obstructed the emergence of another King to surpass Zhou Wang (周王).But Mojia's logic of Fei Ming that denied the real existence of Ming and Tian Ming let lose the justice of the model of the hierarchy of Ming ,that school brought up the new model of the hierarchy of Yi (義) that meant the principle of public profit. Therefore we can say what let the feudal lords at the age of the Warring States who had been the subjects of Zhou Wang be able to call King (Wang (王)) was just this logic of Fei Ming.The logic of Fei Ming on the alternation of royal powers has been working as the theories of Shan Rang (禅譲) and Fang Fa (放伐). furthermore has composed the idea of Qi Yi (起義) that means founding Yi (義) began to conquer the world of Tian xia (天下). This idea of Qi Yi is able to communicate with thatof Revolution
著者
吉永 慎二郎
出版者
秋田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

吉永の本研究は、春秋経は春秋左氏経が原型で(公羊経や穀梁経はこれより派生)、その「春秋左氏経」は、解経と凡例等以外の史伝文として今本左伝に残存する「原左氏伝」テキストから、抽出・編作の手法に拠り成立したものであるとの仮説を提示する。この仮説では全春秋左氏経文は、(1)抽出文、(2)抽出的編作文、(3)編作文、(4)無伝の経文という四種類型文に分類し得る。隠公~文公期の全経文の分析では抽出系即ち(1)抽出文(23.9%)と(2)抽出的編作文(25.9%) とが約49.8%、編作系即ち(3)編作文(17.7%)と(4)無伝の経文(32.5%)とが50.2%との結果となった。この結果は吉永の仮説を傍証するものと言える。またこの「原左氏伝」と「春秋左氏経」との関係は、『資治通鑑』と『資治通鑑綱目』との関係に比定し得ることを明らかにした。