著者
小室 昌仁 前田 利松 角尾 浩幸 松下 仁 箱井 加津男 吉田 昌彦
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.42, no.Supplement2, pp.217-227, 1994-10-24 (Released:2011-08-04)
参考文献数
19

Tazobactam/piperacillin (TAZ/PIPC) は広域ペニシリン系抗生物質であるpiperacillin (PIPC) にβ-ラクタマーゼ阻害剤であるtazobactam (TAZ) を4:1の力価比で配合した新規抗生剤である。今回, 肝臓あるいは腎臓障害動物および幼若動物にTAZ/PIPCを静脈内投与し, 薬物動態を検討した。またTAZ/PIPCのビリルビン血清蛋白結合に及ぼす影響を伽in vitroで検討し以下の結果を得た。1. 肝障害動物ではTAZ, PIPCともに腎外クリアランス (CLnr) の減少に由来する全身クリアランス (CLPtot) の減少が認められ, CLPtot, は腎クリアランス (CLr) とほぼ等しくなった。しかしながら腎クリアランス (CLr) が大きいため, 代償的な腎排泄が認められ, 体内からの消失の遅延の程度は大きくなかった。2. 腎障害動物ではTAZ, PIPCのCLPtot, CLr, 腎分泌クリアランス (CLrs) とクレアチニンクリアランス (CLcr) との問には高い正の相関が認められた。このときのCLnrは小さく, 障害の程度に応じてTAZ, PIPCの体内からの消失が遅延した。3. In vitroにおいてTAZ, PIPCはビリルビン・アルブミン結合に対して影響を及ぼさず, ビリルビン遊離作用は認められなかった。4. 幼若イヌにおけるTAZ, PIPCのT1/2βは成熟イヌよりも長く, 体内からの消失の遅延が認められた。また幼若イヌに反復投与後の蓄積性は認められなかった。
著者
横山 伊徳 中野 等 箱石 大 杉本 史子 高野 信治 吉田 昌彦 井上 敏幸 井上 敏幸 梶原 良則 小宮 木代良 杉本 史子 高野 信治 宮崎 修多 吉田 昌彦
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

天領豊後日田の広瀬家に伝わる未整理の史料群(大分県日田市・広瀬資料館所蔵「広瀬先賢文庫」)について文書構造を検討して目録を作成し、研究・教育に活用可能な状況を創り出した。また、同史料に基づく共同研究を実施し、近世後期から幕末維新期にかけての広瀬家を中心とする地域ネットワークの実態を、政治情報・経済情報・思想言説という、三つの視角から究明し、報告書にまとめた。
著者
吉田 昌彦
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

(1)日米修好通商条約違勅調印問題が発生した安政五年段階では孝明天皇は、「勅問之人々」と結んで朝政の実権を掌握、幕藩制的朝政機構である「三職」の長である内覧の九条尚忠を失権させ、戊午の密勅を降下させたこと。その際、孝明天皇と「勅問之人々」は雄藩の軍事的支援を得られるように工作していたこと。(2)安政の大獄により朝廷は幕府のコントロール下に置かれたものの天皇を「君主」とするイデオロギー上の位置づけが不変であったため、和宮降嫁策などにおいて「勅命」を幕府は公式的には拒否できなかったこと。(3)島津久光率兵上京により孝明天皇は、初めて、その至高性を保障する暴力装置を得て勅諚を貫徹し得たのであるが、その際、国事御用書記という幕末朝廷における最初の国事関係ポストが設置されていること。(4)学習院は、その講義施設として藩主クラスに対する礼遇と公卿と大名との政治的会談や伝奏・議奏などとの面談を行え得るスペースと構造とを備えていたことによること。(5)朝廷は、国権の最高機関として、新たに「支配の対象」としなけらばならなかった諸藩の政治的要求や意見を聴取し朝廷の政策決定を伝え諸藩を指揮命令する為の伝達の場を新たに確保する必要があったが、その場として「小御所取合廊下」という天皇や国事御用掛が「政務」を行う空間とは距離を置いた学習院が定置されたこと。(6)儀礼レベルでは藩主との直接的儀礼(天杯拝受など)には宮中小御所という天皇固有の「空間」が設定されいたのに対し、朝廷役職者と藩主・世嗣が儀礼を行う「役向の儀礼」の場として学習院という「空間」が使用されていたこと。