著者
村上 裕一 中村 隆 吉田 明正 家田 清一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-II, 通信II-無線通信・無線応用 (ISSN:09151885)
巻号頁・発行日
vol.78, no.7, pp.520-527, 1995-07-25
被引用文献数
7

本論文では,無装荷な構造で長方形の1波長ループアンテナが,円偏波用アンテナとして動作することを示し,その原理を明らかにしている.本アンテナは,長方形の長辺と短辺の比により,ループ上の電流分布が制御できることに着目したもので,最も簡単な構造をもつ単一給電アンテナであることが特徴である.本アンテナに対し,電流分布が前進波と後進波の進行波モード電流に分解できることを利用して,ループ各辺中央の電流値と実効長に関する円偏波条件式を導出している.この条件式の実現方法に対する考察に基づいて,ループの1角で偏給電された円偏波アンテナを具体的に設計し,その軸比や指向性などの諸特性を求めている.これより,反射板からのアンテナの高さが0.13λ前後のある範囲で良好な円偏波が得られることを明らかにしている.また,実験によって,これらの理論結果の妥当性も確認している.
著者
前田 誠司 吉田 明正 笠原 博徳
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.48, pp.23-24, 1994-03-07

マルチプロセッサシステム上におけるFortranプログラムの自動並列処理では、従来Doall、Doacross等のレ-プ並列化が用いられている。しかし、ル-プ並列化ではループ以外の部分の並列性を抽出することができないという問題があった。この問題点を解決するために、筆者らはステートメント間の近細粒度並列処理、ループのイタレーション間の中粒度並列処埋、サプルーチン・ループ・基本プロック間の粗粒度並列処理を階層的に組み合わせ、プログラム全域の並列性を利用するマルチグレイン並列処理をすでに捉案している。本稿では、このマルチグレイン並列処理において、各階層のタスク間データ転送オーバーヘッドを軽減するための、タスク融合を用いたデータローカライゼーション手法を提案する。また、提案手法を用いた、コンパイラはOSCAR上でインプリメントされており、本稿ではその性能評価についても述べる。
著者
岡 宏樹 吉田 明正
雑誌
研究報告システム・アーキテクチャ(ARC) (ISSN:21888574)
巻号頁・発行日
vol.2017-ARC-227, no.38, pp.1-7, 2017-07-19

Java プログラムの並列処理環境として Fork / Join Framework が導入されており,ワークスティーリングを伴うスケジューラが利用できるようになっている.このFork / Join Framework を用いて,タスク駆動型実行を伴う並列 Java コードを実装する方法が提案されている.この方法をメニーコア環境に適用する場合,並列ループの分割数に起因して並列コードが長くなる.しかしながら,並列 Java コードの増大は,JVM 上での Java プログラムの実行時間を増加させる傾向がある.そこで本稿では,タスク駆動型実行の並列 Java コードを短縮するコードコンパクション手法を提案する.本手法では,指示文付 Java プログラムを入力として,開発した並列化コンパイラにより Fork / Join Framework を用いたタスク駆動型実行コードを自動生成する.Intel Xeon Phi Knights Landing 上で性能評価を行ったところ,Java Grande Forum Benchmark Suite 2.0 のプログラムに対して,68 コア実行において最大 103 倍の高い速度向上が得られ,提案手法の有効性が確認された.
著者
吉田 明正 前田 誠司 尾形 航 笠原 博徳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-コンピュータ (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.78, no.2, pp.162-169, 1995-02-25
被引用文献数
3

マルチプロセッサシステム上での粗粒度並列処理手法としてマクロデータフロー処理が提案されている.従来のマクロデータフロー処理では,粗粒度タスクが実行時にプロセッサにスケジューリングされるため,粗粒度タスク間で共有されるデータを集中型共有メモリに配置し,粗粒度タスク間のデータ授受は集中型共有メモリを介して行われていた.本論文では,共有メモリを介したデータ転送オーバヘッドを軽減するため,Doallループとシーケンシャルループの間で,ローカルメモリを介したデータ授受を行うデータローカライゼーション手法を提案する.本手法では,コンパイラが,Doallループとシーケンシャルループを配列データの使用範囲が等しくなるように整合して部分ループに分割し,データ転送量の多い(データの結び付きの強い)部分ループ集合を実行時に同一プロセッサにスケジューリングしてローカルメモリを介したデータ授受を行えるような並列マシンコードを生成する.提案手法を用いたコンパイラは,マルチプロセッサシステムOSCAR上でインプリメントされており,OSCARシミュレータ上での性能評価から処理時間が20%程度短縮されることが確認された.