- 著者
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吉田 明正
前田 誠司
尾形 航
笠原 博徳
- 出版者
- 一般社団法人電子情報通信学会
- 雑誌
- 電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-コンピュータ (ISSN:09151915)
- 巻号頁・発行日
- vol.78, no.2, pp.162-169, 1995-02-25
- 被引用文献数
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マルチプロセッサシステム上での粗粒度並列処理手法としてマクロデータフロー処理が提案されている.従来のマクロデータフロー処理では,粗粒度タスクが実行時にプロセッサにスケジューリングされるため,粗粒度タスク間で共有されるデータを集中型共有メモリに配置し,粗粒度タスク間のデータ授受は集中型共有メモリを介して行われていた.本論文では,共有メモリを介したデータ転送オーバヘッドを軽減するため,Doallループとシーケンシャルループの間で,ローカルメモリを介したデータ授受を行うデータローカライゼーション手法を提案する.本手法では,コンパイラが,Doallループとシーケンシャルループを配列データの使用範囲が等しくなるように整合して部分ループに分割し,データ転送量の多い(データの結び付きの強い)部分ループ集合を実行時に同一プロセッサにスケジューリングしてローカルメモリを介したデータ授受を行えるような並列マシンコードを生成する.提案手法を用いたコンパイラは,マルチプロセッサシステムOSCAR上でインプリメントされており,OSCARシミュレータ上での性能評価から処理時間が20%程度短縮されることが確認された.