著者
吉田 重方 松本 博紀 トルン ブイチ 佳山 良正
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.358-361, 1985-10-30 (Released:2017-07-07)

非マメ科植物根における生物窒素固定能についての調査は主にC_4植物を多く含むイネ科植物を対象として行われており,数種のイネ科植物根やその根圏において半共生的な窒素固定(associative nitrogen fixation)が明らかに存在することが報告されている。さらに,イネ科植物のほかにもトクサ科のスギナやトクサおよびシソ科のStachys sylvaticaなどの根圏にも窒素固定能の存在が報告されている。それらはいずれも窒素固定能の間接的検出法であるアセチレン還元法によったものである。同手法は検出感度が高く,かつ低廉,迅速に窒素固定能を測定し得るために未知の窒素固定系を見い出そうとする場合には有力な手段となる。一方,草地における生物窒素固定の主体は言うまでもなく混生するマメ科牧草による共生窒素固定であるが,著者の1人は草地表面に被覆するランソウ(Nostoc sp.)によってもかなりの窒素固定が行われていることを前報で報告した。本報では,草地における上記以外の生物窒素固定系の存在を検索することを目的とし,各種草地雑草根のアセチレン還元能を調査した。
著者
吉田 重方 松本 博紀 トルン ブイチ 佳山 良正
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.358-361, 1985-10-30
被引用文献数
1

非マメ科植物根における生物窒素固定能についての調査は主にC_4植物を多く含むイネ科植物を対象として行われており,数種のイネ科植物根やその根圏において半共生的な窒素固定(associative nitrogen fixation)が明らかに存在することが報告されている。さらに,イネ科植物のほかにもトクサ科のスギナやトクサおよびシソ科のStachys sylvaticaなどの根圏にも窒素固定能の存在が報告されている。それらはいずれも窒素固定能の間接的検出法であるアセチレン還元法によったものである。同手法は検出感度が高く,かつ低廉,迅速に窒素固定能を測定し得るために未知の窒素固定系を見い出そうとする場合には有力な手段となる。一方,草地における生物窒素固定の主体は言うまでもなく混生するマメ科牧草による共生窒素固定であるが,著者の1人は草地表面に被覆するランソウ(Nostoc sp.)によってもかなりの窒素固定が行われていることを前報で報告した。本報では,草地における上記以外の生物窒素固定系の存在を検索することを目的とし,各種草地雑草根のアセチレン還元能を調査した。
著者
吉田 重方
出版者
日本草地学会
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.20-28, 1988 (Released:2011-03-05)
著者
円谷 悦造 伊東 一博 川村 吉也 大野 正司 吉田 重方
出版者
日本芝草学会
雑誌
芝草研究 (ISSN:02858800)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.45-50, 1991-11-30 (Released:2010-06-08)
参考文献数
6

(1) 主要芝草病原菌に対する食酢液の抗菌力はP. aphanidermatum>R. solani>F. roseum, Helminthosporium sp.の順に強く示された。(2) 食酢希釈液 (300倍希釈) の葉面散布はペレニアルライグラス (パーマーとプレリュードの2品種混合) の生育を促進し, 主根長の顕著な伸長が認められた。(3) 食酢希釈液 (20倍, 100倍および500倍) をコウライ芝フェアウェイに散布したところ, 病害防除および葉色の保持に効果が認められた。さらに散布の効果は夏期の高温少雨によって生ずる“葉焼け”を軽減させ, 緑色保持に働いていた。散布区の芝は1990年12月18日まで緑色を保持していた。また, 散布区の地下部の根張りは対照区に比べて良好であった。(4) これらの試験結果から, 農薬の使用が制限されるゴルフ場などの芝地における植物病原菌の制御に食酢希釈液の葉面散布が有効な手段の一つとなり得る可能性が示された。
著者
吉田 重方
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.20-28, 1988-05-31
被引用文献数
2
著者
鬼頭 誠 吉田 重方
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.1-8, 1993-02-05
被引用文献数
7

前報において植物性廃棄物と浄水場発生土を組み合わせることにより培養土が容易に製造できることを明らかにした.しかし材料とした浄水ケーキがリン酸固定を起こすために可給態リン酸含量がきわめて低く,かつ,交換性カルシウム含量も低い培養土となり,そのことが作物生育の制限因子として働くことを明らかにした.この点を改善し,より良好な培養土を製造することを目的として,本試験では過リン酸石灰および発泡ケイ酸カルシウム材を加えた培養土の製造を試みるとともに,その培養土製造過程における物質変動を調査した.なお,供試植物残さとしては前報と同じ草種(セイタカアワダチソウ,ヨモギ,ススキ,ダイズ,トウモロコシの茎葉)を用いたが,それ以外にモリシマアカシアのせん定枝も供試した.1)供試した植物材料の乾物分解,炭素消失および窒素消失はいずれも埋設1ヶ月間で急激に起こり,その分解,消失率はいずれもダイズ,トウモロコシ,セイタカアワダチソウにおいて高く,ススキ,モリシマアカシアにおいて低かった.また,乾物分解率と植物材料の成分との間には,全炭素含量との間に負の相関が認められた.2)供試植物材料の違いによって製造した培養土の硝酸態窒素含量は異なり,ダイズを植物材料としたものでは最も高く,ススキを材料としたものではきわめて低含量であった.また,ダイズ,トウモロコシを材料としたものでは培養土の堆積に伴い低下傾向を示し,ヨモギ,モリシマアカシアの材料としたものでは高まる傾向を示した.3)過リン酸石灰と発泡ケイ酸カルシウム材の添加により,Ca型リン酸含量と交換性カルシウムの含量の高い良好な培養土が製造できた.4)それら培養土で栽培したコマツナの生育は化学肥料を施肥した土壌に栽培したものに比べて良好な生育を示し,特に根部生育は高まった.したがって,植物の生育反応の点からみても良質な培養土が製造できたことがうかがわれた.以上の結果から,植物性廃棄物を主材料とした培養土の製造に際しては,材料とする植物性廃棄物の種類によって堆積時間を多少考慮することが必要であるが,果・葉菜類等の育苗用培養土として利用可能であるものと推察された.
著者
吉田 重方
出版者
養賢堂
雑誌
農業および園芸 (ISSN:03695247)
巻号頁・発行日
vol.78, no.4, pp.437-446, 2003-04
著者
鬼頭 誠 吉田 重方
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.511-516, 1992-10-05
被引用文献数
2

セイタカアワダチソウ,ヨモギ,ススキ,ダイズおよびトウモロコシ茎葉等の緑農地から排出する植物性廃棄物を主材料として製造した培養土の理化学性と植物生育に対する影響を調査した.1)供試した植物性廃棄物のC/Nはススキ>セイタカアワダチソウ>トウモロコシ>ヨモギ>ダイズの順であった.無機成分のなかでは,窒素含量がヨモギ,ダイズにおいて,リン含量がススキ,トウモロコシにおいて,カリウム含量がトウモロコシ,セイタカアワダチソウにおいて,カルシウム,マグネシウム含量がダイズにおいてそれぞれ他の草種に比べて高い値を示した.2)製造した各培養土はpH6.42〜7.24,EC0.10〜0.22mSであり,植物生育に対して良好な範囲内にあった.3)培養土の硝酸窒素含量およびCa型リン酸含量はともにダイズを材料としたものにおいて最も高く,ススキを材料としたものでは最も低かった.また,材料とした植物性廃棄物の成分含量と製造した培養土の成分含量の間には,C/Nとカルシウム含量以外有意な相関は認められなかった.4)各培養土に栽培した4種(コマツナ,シュンギク,ダイズ,トウモロコシ)の作物の生育は,栽培期間の短いコマツナでは対象とした土壌区以上の生育を示さなかったが,栽培期間の長い作物(ダイズ,トウモロコシ)では土壌区の生育を凌駕した.5)上記の4種の作物の平均生育量と培養土のCa型リン酸および交換性カルシウム含量との間に正の有意な相関が認められた.以上の結果から,緑農地から排出する各種植物性廃棄物と浄水廃棄物を組み合わせて堆積することにより培養土の製造は可能であるが,さらにリン酸およびカルシウムの添加により高品質のものが製造できるものと考えられた.