著者
円谷 悦造 柴田 邦彦 川村 吉也 正井 博之
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.28, no.7, pp.387-392, 1981-07-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
7

細菌類,11菌株,酵母類,4菌株,カビ類,4菌株を用いて食酢の試験管内での殺菌力に及ぼす,糖類,糖アルコール類,無機塩類の効果を調べ,更に,合せ酢(甘酢,二杯酢,三杯酢)の殺菌力を比較した。その結果以下の知見が得られた。(1) 細菌類,酵母類,カビ類各々に対して異った結果が得られた。すなわち,食酢の殺菌力は,細菌類に対しては,ブドウ糖により弱められ,塩化ナトリウムにより強められ,酵母類に対しては,ブドウ糖及び塩化ナトリウムにより弱められ,カビ類に対しては,ブドウ糖により強められ,塩化ナトリウムにより弱められる傾向があった。(2) 一部の例外を除き,試験した糖類,糖類アルコールはブドウ糖と同様に,また,無機塩類は塩化ナトリウムと同様に作用した。(3) 合せ酢の細菌類に対する殺菌力も(1)の結果と一致した傾向を示し,その殺菌力は二杯酢,三杯酢(食酢),甘酢の順で弱まった。一方,醤油を使用した合せ酢では,pHの上昇が一要因となり,その殺菌力は(食酢),甘酢,二杯酢,三杯酢の順で弱まった。
著者
円谷 悦造 伊東 一博 川村 吉也 大野 正司 吉田 重方
出版者
日本芝草学会
雑誌
芝草研究 (ISSN:02858800)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.45-50, 1991-11-30 (Released:2010-06-08)
参考文献数
6

(1) 主要芝草病原菌に対する食酢液の抗菌力はP. aphanidermatum>R. solani>F. roseum, Helminthosporium sp.の順に強く示された。(2) 食酢希釈液 (300倍希釈) の葉面散布はペレニアルライグラス (パーマーとプレリュードの2品種混合) の生育を促進し, 主根長の顕著な伸長が認められた。(3) 食酢希釈液 (20倍, 100倍および500倍) をコウライ芝フェアウェイに散布したところ, 病害防除および葉色の保持に効果が認められた。さらに散布の効果は夏期の高温少雨によって生ずる“葉焼け”を軽減させ, 緑色保持に働いていた。散布区の芝は1990年12月18日まで緑色を保持していた。また, 散布区の地下部の根張りは対照区に比べて良好であった。(4) これらの試験結果から, 農薬の使用が制限されるゴルフ場などの芝地における植物病原菌の制御に食酢希釈液の葉面散布が有効な手段の一つとなり得る可能性が示された。
著者
梶野 和代 古川 宏 恵美須屋 廣昭 深谷 正裕 秋田 澄男 川村 吉也 内山 俊一
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.163-168, 1995-03-15
参考文献数
14

キノン依存性アルコール脱水素酵素反応と自己駆動型クーロメトリーを組み合わせた新規なエタノールの簡易迅速定量方法を開発し,食品中のエタノール濃度測定への適用性を検討した.<BR>(1) 標準液を用いて定量性を検討した.Q<SUB>0</SUB>を含むマクイルベイン緩衝液(pH 5.0)に,エタノール標準液とキノン依存性アルコール脱水素酵素溶液を混合し,室温で15分間放置して酵素反応させた後,酵素反応の結果生じた還元型Q<SUB>0</SUB>の量を自己駆動型クーロメトリーで電気量として測定した.エタノール濃度0.1-30% (v/v)の範囲で,自己駆動型クーロメトリーでの実測放電電気量は理論放電量とよく一致し,試料中のエタノール濃度とr=0.9997で相関しており,無校正で定量が可能であった.繰り返し測定時の変動係数(6% (v/v)標準液を使用し,10回測定の場合)は,1.22%であった.自己駆動型クーロメーターでの測定時間は,1-5分であった.<BR>(2) 各種市販食品20サンプルについて,本法とガスクロマトグラフィーの分析値を比較したところ,r=0.9991の高い相関があった.また,各種食品を10回連続測定したときの変動係数は,2%以下であった.<BR>(3) 自己駆動型クーロメーターのカーボンフェルト電極の耐久性をビールを用いて検討したところ,100回の連続測定後でも電極の劣化は認められなかった.
著者
深谷 正裕 川村 吉也
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.89, no.7, pp.536-543, 1994-07-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
45

昨年ブームを起こしたナタ・デ・ココは, 酢酸菌の産生するバイオセルロースである。従来, 酢酸発酵では害菌として嫌われてきた。しかし, 近年このバイオポリマーは, 高強度, 保水性や乳化懸濁安定性, 結着性などの特徴を有し, 種々の用途開発の研究が盛んに行われている。ここではその特性と生産法の検討などを解説していただいた。