著者
寺尾 純二 向井 理恵 中村 俊之
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

フラボノイドに対するプレニル基の導入がその機能性に与える影響を構造活性相関の観点から解明することを目的とした。用いたフラボノイドはケルセチン(Q)とそのプレニル化誘導体である6-プレニルケルセチン(6-PQ)、5'-PQ、8-PQである。プレニル基の位置により疎水性は異なること、疎水性が最も高い6-PQが最も効果的にヒト血管内皮細胞へ取り込まれるとともにヘムオキシゲナーゼ-1の誘導を最も強く促進することを明らかにした。Qはフラボノイドの細胞内標的分子と予想されるカベオリン-1の機能調節作用を有することを証明した。プレニル化フラボノイドの標的分子としてのカベオリン-1の重要性が推定された。
著者
向井 理恵
出版者
徳島大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2014-08-29

不活動状態や無重力状態で引き起こる廃用性筋萎縮からの回復を助ける食品成分に関する研究を行った。実験動物に筋肉の萎縮を誘導し、そのあとにプレニルフラボノイドを混合した飼料を与えることで骨格筋の回復状況を評価した。プレニルフラボノイドを与えることで、骨格筋の萎縮からの回復の程度は改善した。作用メカニズムとしてフィトエストロゲン活性が寄与する可能性が示唆された。今回の成果は筋萎縮によって引き起こされるQOLの低下を改善する可能性がある。
著者
向井 理恵
出版者
徳島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、フラボノイドを用いてユビキチンリガーゼの発現抑制を通じて廃用性筋萎縮を予防することを目的とした。研究計画では、フラボノイドのなかでもケルセチンを中心に研究を進めるとした。ケルセチンを摂取させることによりユビキチンリガーゼの発現を抑制するかは明らかにできなかったものの、筋萎縮にともなう酸化ストレスを抑制することが分かった。筋萎縮を抑制した場合でも骨格筋成長に関わる体液性因子であるIGF-1の量に変化は無かったことから、この効果は骨格筋に直接影響した結果によると考えられた。骨格筋の分解と合成との分岐点であるAktのリン酸化については、ケルセチンによってリン酸化が向上した。この結果は、骨格筋の分解よりも合成の経路が活性化されていることを意味する。このように、食事性ケルセチンは、骨格筋での酸化ストレスを抑制し、骨格筋の分解を予防しうることが明らかとなった。さらに、効果の高いフラボノイドとしてプレニルナリンゲニンを見出した。ユビキチンリガーゼの発現を抑制した。ユビキチンリガーゼの発現抑制には、PI3K-Akt経路が関与する可能性を明らかにし、学術論文として発表した。食品成分としての効果を考えるうえで重要な生体利用性についても検討したところ、血中への吸収は少ないものの、標的組織である骨格筋へ蓄積することがわかった。本研究の計画では、筋萎縮した場合にフラボノイドの蓄積性が変わるのではないかと予測を立てたが、その点については、正常な筋肉と萎縮のかかった筋肉との間に差は無かった。本研究の成果は、フラボノイドが廃用性筋萎縮を予防するメカニズムとして、PI3K-Akt経路の活性化を見出した。抗酸化フラボノイドは、骨格筋内の酸化ストレスを減弱することも明らかにした。これらの成果が得られたのでフラボノイド含有食品の臨床試験を進めており、研究の発展につなげることができた。
著者
向井 理恵
出版者
神戸大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

複数のパートナータンパク質と結合して細胞質に存在するアリール炭化水素受容体(以下、受容体はAhR、タンパク質との複合体はAhRcと略す)は、芳香族炭化水素が結合するとパートナータンパク質が解離し核へ移行する。さらに、Arntタンパク質と2量体を形成することで転写因子として働き、細胞内の代謝をかく乱する。本研究では、植物性食品成分がAhR形質転換を抑制することに着目し、その作用メカニズムならびに生体内での有効性について検討した。1、細胞内における、芳香族炭化水素が誘導するAhRシグナル経路に対してフラボノイドがどのような効果を示すか検討した。フラボノイドのサブクラスのうち、フラボン、フラボノールに属する化合物はAhRの核移行を抑制すると共にAhRcの解離を抑制した。一方、フラバノンあるいはカテキンに属する化合物に関しては、これらの抑制効果を示さず、AhRならびにArntのリン酸化を抑制し、両者の2量体形成が抑制された。これらの事から、フラボノイドのサブクラスごとにAhRの転写因子としての働きを抑制する機構が異なることが明らかとなった。2、フラボノイドの効果が動物体内で発揮されるか否か検討した。フラボノイドの一種ケンフェロールをマウスに経口投与した場合にAhRの形質転換が抑制された。フラボノイドはABCトランスポーターを介して細胞外へ排出されることが報告されている。トランスポーターの阻害剤を動物に作用させた場合にフラボノールの効果が高まる結果が得られた。また、培養細胞においても同様の効果が認められ効果の増強にはケンフェロールの取り込み量の増加が伴う事を明らかにした。