著者
中村 俊之 岩本 武範 宇野 伸宏
出版者
一般社団法人 グローバルビジネス学会
雑誌
グローバルビジネスジャーナル
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.32-36, 2017

2017年(平成29年)2月24日より実施されたプレミアムフライデーは,毎月末の金曜日に普段よりもプレミアムな生活を推奨する個人消費喚起キャンペーンである.本研究では,プラミアムフライデー実施により,公共交通の利用に影響を与えているのかについて,その可能性を分析する.静岡市を対象に交通系ICカードデータを利用して公共交通のマクロな利用割合を静岡市全域のバス停留所,ならびにプラミアムフライデーの大々的にイベントが実施され,職員にもその働き方を推奨していた行政のバス停留所を対象として分析を行った. 分析の結果,全域,イベント実施したバス停において,プレミアムフライデー実施による積極的な公共交通利用を現状では影響を与える結果は確認できなかった.この結果は,現状でのプレミアムフライデー参加者数を考慮した場合に,概ね妥当な結果であり,今後の定着にむけて,PRの方法や実施内容・方法の再検討が求められる.
著者
大野 沙知子 中村 俊之 薄井 智貴 手嶋 茂晴
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.I_799-I_807, 2019 (Released:2019-12-26)
参考文献数
14

Wi-Fi対応のスマートフォンなどの機器が発信しているProbe Requestを受信するWi-Fiパケットセンサーにより収集されるデータは,設置の高さや屋内外の設置位置,設置周辺の建物の密集度合,人や自動車の密度などにより影響を受けることが既往研究で報告されている.本研究は,Wi-Fiパケットセンサーにより収集されるデータの特徴をスマートフォンより収集されるGPS位置情報との同期により求めること目的としている.本稿では,街中に設置した13基のセンサーからデータを収集する実験を試みた.そして,設置条件を考慮し,捕捉率,カーネル密度推定ならびに受信距離について分析した.その結果,高い設置,屋外設置,道路幅員により広く受信すること,市町村道や生活道路におけるデータ収集には設置の工夫が必要であることを示した.
著者
中村 俊之 植田 邦彦
出版者
日本植物分類学会
雑誌
植物分類,地理 (ISSN:00016799)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.125-137, 1991 (Released:2017-09-25)

カンサイガタコモウセンゴケDorosera spathulata ssp, tokaiensisの分類学的再検討を行った結果,コモウセンゴケD. spathulataとモウセンゴケD. rotundifoliaの雑種起源の分類群であり,独立種として認識されるべきものであるとの結論に達した。従って,学名をDrossera tokaiensis (Komiya & C. Shibata) T. Nakamura & Uedaとし,通称名であったカンサイガタ(関西型)コモウセンゴケを改め,標準和名としてトウカイコモウセンゴケを提唱する。トウカイコモウセンゴケは種子の形態,大きさ,腺毛の発達する部分の葉長に対する比,托葉の形態,裂片数においてコモウセンゴケとモウセンゴケの中間型を示す。また核型は,トウカイコモウセンゴケが2n=60=20L+40Sであり,モウセンゴケの2n=20=20Lとコモウセンゴケの2n=40=40Sの双方のゲノムを有している。なお,これまで葉形についてコモウセンゴケはヘラ型,トウカイコモウセンゴケはスプーン型とされてきた。東海地方では通常確かにそうであるが,近畿地方の集団に顕著にみられるように後者にもヘラ型的な個体が多く,両者の識別点にはならない。形態上の識別点として有効なのは托葉の形態である(Fig. 10)。さらに,トウカイコモウセンゴケは核型と托葉の形態を除けば,東海地方と近畿地方の集団では形態上かなりの点で異なっていることが判明した。この差異がトウカイコモウセンゴケが分類群として成立してからの分化なのか,異なった起源によるのかは今後の課題である。トウカイコモウセンゴケがコモウセンゴケの関西型として認識されだしたのは1950年代後半ごろからのようであり,新分類群として記載されたのは1978年である。しかし,東海,近畿地方の植物誌などでは本種には言及されず,どちらもコモウセンゴケとして扱われてきた。現在の分布状況から判断すると,そのほとんどはトウカイコモウセンゴケであると思われるが,判断は不可能である。湿地が急速に失われていく現状では標本が保管されていない産地にどちらの種が生育していたのか調べようがなく,不明のままであることが多い。改めて,公的機関での永続性のある標本の蓄積の重要性を認識した次第である。
著者
寺尾 純二 向井 理恵 中村 俊之
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

フラボノイドに対するプレニル基の導入がその機能性に与える影響を構造活性相関の観点から解明することを目的とした。用いたフラボノイドはケルセチン(Q)とそのプレニル化誘導体である6-プレニルケルセチン(6-PQ)、5'-PQ、8-PQである。プレニル基の位置により疎水性は異なること、疎水性が最も高い6-PQが最も効果的にヒト血管内皮細胞へ取り込まれるとともにヘムオキシゲナーゼ-1の誘導を最も強く促進することを明らかにした。Qはフラボノイドの細胞内標的分子と予想されるカベオリン-1の機能調節作用を有することを証明した。プレニル化フラボノイドの標的分子としてのカベオリン-1の重要性が推定された。
著者
桑原 昌広 吉岡 顕 本間 由紀子 宇野 伸宏 中村 俊之 SCHMÖCKER Jan-Dirk
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.I_1187-I_1195, 2018
被引用文献数
1

ワンウェイ型カーシェアリング(OWCS)はマルチモーダル交通環境における1つの交通手段として期待されている.本研究では,ユーザのトリップチェーン視点でOWCSの使われ方を評価するため,公共交通駅,カーシェアステーション(st),登録住所の関係を踏まえたトリップ判別モデルを定義する.<br>OWCSである豊田市のHa:moRIDEは,自家用車利用に近いラウンド利用トリップは少なく提供エリア外会員の二次交通トリップが最も多いこと,公共交通駅から離れたstを増加させることにより補完交通トリップ比率が経年で増加している等,本モデル利用により実態としてOWCSが公共交通補完に利用されていることを明らかにした.
著者
中山 達貴 中村 俊之 宇野 伸宏 Schmöcker Jan-Dirk
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.I_1093-I_1104, 2017

本研究では,速度超過による交通事故発生が多い名阪国道を対象にプローブデータを用いた潜在的な事故危険性の把握手法を構築するものである.本研究では特に商用車の走行軌跡データから速度推移に基づき,潜在的な事故危険性を伴う走行をクラスター分析により分類し,潜在的事故危険性を誘発している区間の抽出に二項ロジスティック回帰分析を適用した.分析の結果,当該路線における潜在的事故危険性の高い走行は安全な走行と比較して,速度推移に差異が生じる地点が実際の事故多発区間よりも上流側に存在してことが明らかになった.本研究で得られた知見を踏まえ,今後の交通安全対策の実施が期待される.
著者
鈴木 悟史 中村 俊之 吉井 正広 中島 正勝 中西 洋喜 本田 瑛彦 小田 光茂
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集C編 (ISSN:18848354)
巻号頁・発行日
vol.79, no.807, pp.4233-4248, 2013 (Released:2013-11-25)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

Generally, many space satellites have large solar array panels for power generation and large antennas for observation and communication. The panels and antennas must be lightweight because of the payload weight limit of the launch vehicle. So, they are very flexible, with little damping ability. This results in vibrations cause serious problems. When the thermal environment around a flexible structure on orbit such as a solar array panel changes to cold or hot, the flexible structure produces its own deformation or vibration. These occur most often during rapid temperature changes called thermal snap or thermally-induced vibration, which has been known to cause attitude disturbance in Low Earth Orbit (LEO) satellites. Thermal snap vibration occurring on a flexible solar array panel is very slow. It is very difficult to measure thermal snap motion by sensors such as accelerometer. The behavior of a space structure affected by thermal snap has never been observed directly in space so far. This report presents the measurement results of “IBUKI” solar array panel's behavior using monitor camera.
著者
中村 俊之 植田 邦彦
出版者
日本植物分類学会
雑誌
植物分類・地理 (ISSN:00016799)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.125-137, 1991-12
被引用文献数
3

カンサイガタコモウセンゴケDorosera spathulata ssp, tokaiensisの分類学的再検討を行った結果,コモウセンゴケD. spathulataとモウセンゴケD. rotundifoliaの雑種起源の分類群であり,独立種として認識されるべきものであるとの結論に達した。従って,学名をDrossera tokaiensis (Komiya & C. Shibata) T. Nakamura & Uedaとし,通称名であったカンサイガタ(関西型)コモウセンゴケを改め,標準和名としてトウカイコモウセンゴケを提唱する。トウカイコモウセンゴケは種子の形態,大きさ,腺毛の発達する部分の葉長に対する比,托葉の形態,裂片数においてコモウセンゴケとモウセンゴケの中間型を示す。また核型は,トウカイコモウセンゴケが2n=60=20L+40Sであり,モウセンゴケの2n=20=20Lとコモウセンゴケの2n=40=40Sの双方のゲノムを有している。なお,これまで葉形についてコモウセンゴケはヘラ型,トウカイコモウセンゴケはスプーン型とされてきた。東海地方では通常確かにそうであるが,近畿地方の集団に顕著にみられるように後者にもヘラ型的な個体が多く,両者の識別点にはならない。形態上の識別点として有効なのは托葉の形態である(Fig. 10)。さらに,トウカイコモウセンゴケは核型と托葉の形態を除けば,東海地方と近畿地方の集団では形態上かなりの点で異なっていることが判明した。この差異がトウカイコモウセンゴケが分類群として成立してからの分化なのか,異なった起源によるのかは今後の課題である。トウカイコモウセンゴケがコモウセンゴケの関西型として認識されだしたのは1950年代後半ごろからのようであり,新分類群として記載されたのは1978年である。しかし,東海,近畿地方の植物誌などでは本種には言及されず,どちらもコモウセンゴケとして扱われてきた。現在の分布状況から判断すると,そのほとんどはトウカイコモウセンゴケであると思われるが,判断は不可能である。湿地が急速に失われていく現状では標本が保管されていない産地にどちらの種が生育していたのか調べようがなく,不明のままであることが多い。改めて,公的機関での永続性のある標本の蓄積の重要性を認識した次第である。
著者
宇野 伸宏 蓮花 一己 倉内 文孝 中村 俊之 塩見 康博 山崎 浩気 吉井 稔雄
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は高齢者にとってのモビリティの確保を指向しつつ,同時に交通安全性の向上を進めるための基礎研究に相当し,次の3点の明確化を試みた.1)事故多発区間,交通コンフリクトの多発地点において,顕著な道路交通要因を事故データ,道路構造・線形データ,交通データを用いた統計分析より抽出した.2)事故リスクの高まる道路交通環境を想定し,安全な道路交通システムを構築する上で,ITSを利用した運転支援施策の正負両面の影響について,模擬走行実験を通じて明らかにした.3)公共交通不便地域における高齢者を中心とした交通行動,モビリティニーズを把握するとともに,交通事故危険認知についても調査を通じて把握した.