著者
向井 由紀子 橋本 慶子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.29, no.7, pp.467-473, 1978-10-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
7
被引用文献数
2

1) 被験者中60%をしめるA型の持ち方をする者は幼いころよりとくに母親に継続的な訓練をうけたようであった.2) 一定の作業を行った場合, 作業能率に及ぼす影響は持ち方の違いよりも, 個人の器用さや箸を使う熟練度のほうが大であった.3) 筋活動度は伝統的な持ち方の方が第一指 (母指) の活動が大きく現われた.他の持ち方を伝統的な持ち方に変えた場合よりも, 伝統的な持ち方を他の持ち方に変えたほうが筋活動度の増加は大であった.
著者
向井 由紀子 橋本 慶子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.32, no.8, pp.622-627, 1981-09-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
3
被引用文献数
1

1) 伝統的なA型の持ち方は, 対象物がこわれやすい場合や, 2種の試料を交互に運ぶような複雑な作業の場合に, 失敗が少なく作業能率もよいこと, また焼魚の肉をわけるなどのように箸もひらいて用いる場合も鉛筆式の持ち方であるB型よりも早くできることがわかった.2) 自然に箸を持った位置とひらく作業後の箸を持った位置をみると, A型では指先の移動が少なかった.このことよりB型は作業時に箸を持ちかえるのに対し, A型はそのようなごとが少なく安定した持ち方といえるのではないかと考えられた.3) 箸先をひらく作業では測定筋のうちで背側骨間筋の筋活動度が大きく箸先をひらいて用いる場合の特徴と思われた.4) 伝統的な箸の持ち方では鉛筆式の持ち方に比べて短母指外転筋の活動度が大きいが, これは第一指で一方の箸を固定すると同時にもう一方の箸を動かすためと考えられ, 伝統的な持ち方の特徴であると思われた.
著者
向井 由紀子 橋本 慶子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.230-235, 1977-06-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
8

本実験では使いやすい箸の長さについて, 異なった長さの箸を用いた場合と, 一定の長さの箸を持つ位置をかえて作業した場合の作業量および筋電による筋活動度より検討した.1) 作業量の多い箸の長さと筋電図における筋活動度の少ない箸の長さは, ほぼ同じになる傾向があり, 年齢差, 手の長さ, はさむ対象物の違いなどの諸条件を考慮に入れて, 使いやすい箸の長さは約17~21cmの間にあると思われた.2) 使いやすいと思われる箸の長さは, 手の長さの1.1~1.2倍であった.以上の結果は竹の丸箸を使用して得たものであるが, 今後箸の材質, 太さ, 重さ, 箸の持ち方の違いなどの点について, ひきつづき検討していきたいと考えている.