- 著者
-
和田 圭二
- 出版者
- 首都大学東京
- 雑誌
- 若手研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2006
分散型電源の代表である太陽光発電が国内をはじめ欧米諸国において急速に普及している。そのため,配電系統にインバータが多数接続されるようになってきた。本研究課題では,太陽光発電用インバータが複数台接続された場合における,伝導ノイズの発生状況とノイズフィルタの設計手法について研究を行った。また,複数台インバータのスイッチング手法についても検討を行った。主となる研究対象は,50W〜100W程度の太陽電池モジュールの背面に接続するACモジュールと呼ばれる太陽光発電の方式とした。この方式の場合には,20〜30台の小容量(50W〜100W)のインバータが同時に動作するために,伝導ノイズの発生量がインバータの動作状態やフィルタの接続法によって大幅に変化する可能性がある。まず,2台のフライバックインバータ同時動作の場合について研究を行い,インバータのスイッチングのタイミングを180度ずらすことによって,ノイズ成分が等価的に2倍になることを実験により明らかにした。一方,複数台インバータを非同期でスイッチングさせることによって特別な制御を用いることなくノイズ発生量を低減できることを示した。また,ノイズフイルタの設計では,フィルタの寄生容量を考慮して設計を行い,各インバータにノイズフィルタを設置するよりも-括設置することによって伝導ノイズを効果的に低減可能であることを解析と実験により明らかにした。以上の結果は,今後予想されるインバータ複数台動作時におけるノイズ抑制手法に関するフィルタ設計法の指針を与えるものであり,分散電源装置のさらなる普及・促進のための重要な研究成果を得ることができた。