著者
坂井田 瑠衣 加藤 文俊 諏訪 正樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.455, pp.99-104, 2013-02-25

共食の場をデザインするにあたっては,料理形式や参与者同士の関係性を考慮した上で,相応しい座席配置を決めることが望ましいが,その具体的な配置に関する優劣は明らかでない.そこで,協同調理行為を伴う食卓において,座席配置がコミュニケーションに及ぼす影響を検討した.お好み焼きを協同で調理しながら会話するべく食卓を設定し,調理時と非調理時において生じるコミュニケーションの秩序の差異を,発話者遷移分析により明らかにした.身体が調理行為に拘束される食卓においては,親密度の低い参与者同士を隣同士ではなく向かい合わせに着席させることで,調理によって会話が滞ることなく進展することが示唆された.
著者
坂井田 瑠衣 諏訪 正樹
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.110-125, 2015-03-01 (Released:2015-09-15)
参考文献数
26
被引用文献数
1

We interact with others even without utterances, because observation of others’bod-ily motions often enables guessing their intentions. Others’bodily motions serve as amajor resource for mutual action and collaboration. In this article, we have analyzed,qualitatively with multimodal and fine-grained transcripts, “implicit collaborations”that are constituted by not only utterances but also bodily motions, and have revealedthe way people organize those. The example domain we have selected is a table cookingof “monja-yaki”, because implicit collaboration occurs frequently during cooking. Ourfindings are the following: (1) reading appropriate timing based on observations of eachother’s bodily motions made smooth transitions of cooking phases successful, and (2)even when the current speaker, addressing a certain hearer, asked a question and the hearer did not make an oral reply, the lack of reply did not cause any problem in theircommunication if the hearer intended to reply by his or her bodily motions, and thespeaker properly attended to those. This way, communication and/or collaborationhold even without oral turn-taking.
著者
坂井田 瑠衣 諏訪 正樹 野口 奈摘
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料
巻号頁・発行日
vol.2011, no.11, 2011

<p>会話で臨機応変に役回りを演じ,場を活性化するスキルは暗黙知である.他者の発言を好機に,自己の個性を活かして多様な役回りを演じる顕著な例題として,お笑い番組を選び,出演するタレントらのスキルを詳らかにする.</p>
著者
坂井田 瑠衣 諏訪 正樹
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第28回全国大会(2014)
巻号頁・発行日
pp.2D4OS28a3, 2014 (Released:2018-07-30)

言葉を交わさなくとも息がぴったり合ってしまう「阿吽の呼吸」は,身体の観察可能性に支えられている.他者の身体の状態や動作の意図を察知し,相手の意図や要求に沿うような反応を返すことで「阿吽のインタラクション」が成立する.なかでも,当事者にすら顕在化していない意図や要求を他者が先回りして汲み取るという身体性に根ざした知的振る舞いの様相を,複数の異なる対面相互行為場面における事例分析から明らかにする.
著者
坂井田 瑠衣 加藤 文俊
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.27, 2013

社会的インタラクションにおける身体の存在は,生起するコミュニケーションの質に影響を与える.身体性を孕むコミュニケーションが観察される好事例として,お好み焼きの協同調理行為を介した食卓を対象とし,発話行為と調理行為の相互作用をマルチモーダルに分析した.会話参与者が協調的に調理する食卓において,身体が調理行為に拘束されることで,異なる座席配置により生起する会話の質が変化することが示唆された.
著者
坂井田 瑠衣 諏訪 正樹
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.26, 2012

コミュニケーションスキルに熟達した状態とは何であろうか.「あの人は会話を盛り上げるのが上手い」など,スキルを主観的に評価することはできても,詳細なメカニズムは暗黙的である.そこで,誰もが会話熟達者として認めるお笑いタレントを採り上げ,スキル熟達度を定量的に示す手法を考案した.「役回り」と「レトリック」という指標を用いて統計処理による会話分析を行い,人気のタレントらが「なぜ面白いのか」を解明した.