著者
東田 陽博
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.310-317, 2013-09-25 (Released:2013-12-26)
参考文献数
19
被引用文献数
2 2

オキシトシンは脳内に放出され、扁桃体をはじめとする「社会脳」領域を介して社会性行動、特に信頼を基礎とするあらゆる人間相互間活動に影響を与える。オキシトシン遺伝子や受容体、オキシトシンの脳内分泌を制御するCD38などがそれらの機能を司る。オキシトシンの鼻腔単回投与により健常人、自閉症スペクトラム障害者ともに、目を見るなどの対人関係行動の改善や促進があり、連続投与により、社会性障害症状の改善が報告されている。オキシトシンの末梢投与により、オキシトシンは脳脊髄液中や脳内へ移行すると思われるが、まだ十分な証拠はなく、移行の分子メカニズムを含めて、今後の研究が待たれる。
著者
西森 克彦 東田 陽博 尾仲 達史 坂本 浩隆 黒田 久美 八尾 寛
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

脳内オキシトシン(OXT)と受容体は社会行動の制御機能を持ち、ヒト鼻腔投与OXTが社会性を高める事から自閉症への投与試験も開始された。本研究ではOXTR発現性神経の社会行動制御機構を解析した。まずOXTによる5-HT分泌制御の役割を解析した。そして、社会識別時にMeAのOXTR発現神経の多くでc-Fos活性化を検出した。5-HT神経特異的OXTR遺伝子KOマウスを作製、当該神経の機能解析を行ったが社会記憶の障害は見出せなかった。体温調節能に関わる淡蒼縫線核のOXTR発現性Glutaminergic神経を見出した。一方、OXTR発現性I型味細胞の解析を進め、その性質について新しい情報を得た。
著者
東田 陽博 棟居 俊夫
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.431-435, 2013 (Released:2014-10-11)
参考文献数
14

オキシトシンは, 視床下部神経細胞の細胞体や樹状突起から脳内に放出される. 扁桃体をはじめとする「社会脳」領域を介して社会性行動, 特に信頼を基礎とするあらゆる人間相互間活動にも影響を与える. 愛着形成, 愛情, 信頼や絆の形成に関与している. オキシトシンの遺伝子や受容体, オキシトシンの脳内分泌を制御するCD38などがそれらの機能を司る. それらの欠損や一塩基多型が自閉症スペクトラム障害のよい対人関係を構築できない社会性障害の原因と考えられている. オキシトシンの単回投与により目を見るなどの対人関係行動の改善や促進があり, 連続投与により, 自閉症スペクトラム障害の社会性部分の症状の改善がみられる.
著者
東田 陽博
出版者
日本DDS学会 = Japan Society of Drug Delivery System
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.310-317, 2013
被引用文献数
2

オキシトシンは脳内に放出され、扁桃体をはじめとする「社会脳」領域を介して社会性行動、特に信頼を基礎とするあらゆる人間相互間活動に影響を与える。オキシトシン遺伝子や受容体、オキシトシンの脳内分泌を制御するCD38などがそれらの機能を司る。オキシトシンの鼻腔単回投与により健常人、自閉症スペクトラム障害者ともに、目を見るなどの対人関係行動の改善や促進があり、連続投与により、社会性障害症状の改善が報告されている。オキシトシンの末梢投与により、オキシトシンは脳脊髄液中や脳内へ移行すると思われるが、まだ十分な証拠はなく、移行の分子メカニズムを含めて、今後の研究が待たれる。
著者
橋井 美奈子 樋口 善博 松川 茂 東田 陽博 東田 陽博 松川 茂
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

CD38は細胞内カルシウムイオン(Ca2+)上昇に働くセカンドメッセンジャーであるサイクリックADPリボース合成酵素としての働きを有する。質量分析によりCD38に結合するキナーゼ (PKと略) を見いだしたので、CD38により活性化する生理作用がPKの調節を受けるかを検討した。CD38発現細胞ではCa2+振動などCa2+シグナル増強作用がみられ、PK阻害によりこの効果は抑制された。よってCD38により増強する細胞内Ca2+シグナルにPKが関与していることがわかった。
著者
東田 陽博 星 直人 橋井 美奈子 横山 茂
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

細胞内のCaをセカンドメッセンジャーとするCaシグナリングは、数多くの受容体の下流に存在する重要な信号伝達機構の一つである。最近、リアノジン感受性の細胞内Caプールを開く細胞内リガンドはサイクリックADPリボース(cADPR)であると考えられるようになってきた。この数年、我々はcADPRがIP3のようなセカンドメッセンジャーであるとするこの仮説を検証してきた。そしてNADからcADPRを産生する膜酵素が受容体によりコントロールされていることをムスカリン受容体を大量発現するNG108-15細胞(J.B.C.,1997)とβアドレナリン受容体を持つ心臓心室筋(J.B.C.,1999)を用いて始めて証明することができた。アメフラシのADPリボシルシクラーゼと相同性を持つことで知られるCD38をノックアウトしたマウスで測定したところ、ADPリボシールシウラーゼが全く測定できなかった。この結果は我々の予測と異なり、CD38以外に酵素活性を持つ、タンパク質が存在しないことを示している。そこで研究として、次の仮定を確かめるために研究を転開した。すなわちパーキンソン病脳におけるcADPリボースの役割を明確にするため、ラット脳線状体でのADPリボシルシクラーゼ活性を測定した。ドーパミン添加によりシクラーゼ活性が上昇することをはじめて見出し、現在この活性上昇のメカニズムを追求している。また、脳可塑性に重要な役割を果たす代謝型グルタミン酸受容体のADPリボシルシクラーゼヘのカップリングを研究し、興味あるサブタイプごとに異なる特異的な反応を見出した。