著者
小泉 格 坂本 竜彦
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.119, no.3, pp.489-509, 2010-06-25 (Released:2010-08-30)
参考文献数
113
被引用文献数
7 8

Annual sea-surface temperatures (SSTs) (°C) were derived from a regression analysis between the ratio of warm- and cold-water diatoms (Td' ratio) in 123 surface sediment samples around the Japanese Islands and measured mean annual SSTs (°C) at the core sites. The cross spectra between the atmospheric residual 14C (‰), and annual SSTs (°C) of cores DGC-6 (Japan Sea) and MD01-2421 (off Kashima), respectively, consist of five dominant periods: 6000, 2400, 1600, 950, and 700 years. The amplitude of fluctuations of annual SSTs (°C) in the millennial time scale during the Holocene after the Younger Dryas is within 6-10°C. Periodic variations of annual SSTs (°C) can be correlated within error to abrupt climatic events reported from different paleoclimatic proxy records in many regions of the Northern Hemisphere. The cooling time of annual SSTs (°C) also corresponds to the triple events of high 14C values in the atmospheric residual 14C records, as well as the Bond events in the North Atlantic.
著者
近藤 玲介 竹村 貴人 宮入 陽介 坂本 竜彦
出版者
皇學館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

日本列島のリアス海岸周辺における海成段丘は,離水年代が不明な場合が多い.そこで本研究では,リアス海岸などの海成段丘を対象にpIRIR年代測定法を適用し,中期更新世以降に形成された海成段丘の高分解能な地形面編年をおこなうことを目的とする.本研究では,リアス海岸の周辺の海成段丘が発達する複数地域を研究対象地域とした.野外調査と年代測定の結果,調査対象地域においてはMIS 9からMIS 5aまでのpIRIR年代値が得られ,中期更新世以降の海成段丘の離水年代が明らかとなった.
著者
岡田 尚武 西 弘嗣 沢田 健 川幡 穂高 大河内 直彦 坂本 竜彦 鈴木 徳行 北里 洋
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2003

岡田尚武をリーダとする研究グループは,統合深海掘削計画(IODP)の先駆的研究として,平成11〜13年度の科学研究費補助金(課題番号11691113)でフランスプロバンス地方に露出するOAE1b層を研究し,エンジンカッターを用いて大型の柱状試料を採取すると共に,RosansのOAE1b最上部層準において試験的なボーリングを実施した。このボーリング試料に関する遺伝子学的解析の結果,地層中のバクテリア群集に関する興味深い新知見を得た(Inagaki, Okada et al., 2005)。フランスに於ける第2弾の国際学術研究となる本研究では,フランスの専門業者を雇ってOAE1aとOAE1bでの本格的ボーリングを実施し,極めて良質な連続コアを採取した。開封後にコアがバラバラになるのを防ぐため樹脂を用いてコア全体を保存する技術と,1mm間隔での試料採取のためのマイクロドリル法を新たに開発し,非破壊法での成分・構造分析に加えて,各種微古生物学的,有機化学的,無機化学的手法を駆使してOAE層の堆積メカニズムと古環境復元の研究を行ってきた。OAE1b層準全体から採取した地表試料の解析から,無酸素水塊が海洋表層まで達しなかった環境下での黒色頁岩と,表層まで到達して表層生物圏に大きな影響を与えた環境下での黒色頁岩のあることが分かった。また,Paquir層を鏡面研磨した結果,強い葉理が発達する部分,要理が擾乱されて不明瞭な部分,葉理のない部分,のセットが4回繰り返していることが分かった。1cm(約250年)間隔での分析結果では,ラミナの明瞭な部分では各種プランクトン,陸源性砕屑物,有機炭素含有量や黄鉄鉱が増加する一方で,底生有孔虫は多様性と個体数が減少する。これらのデータから,陸起源の栄養塩供給増加によって一次生産が増え,その結果として底層に無酸素環境が広がるという環境が4回発生したと考えられる。