- 著者
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坂本 要
- 出版者
- 筑波学院大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2003
この研究は平成11年から14年にかけて行った科研「身体表現から見る念仏芸能・民間念仏行事の調査および成立過程の研究」の発展として行った企画である。この科研の目的は本土の盆踊りに関係すると見られる、南島や韓国南部にひろがる輪踊り、巻き踊り等の身体表現の比較、盆に現れる来訪神の研究である。平成15年は沖縄南西諸島の輪踊り、手招きという身体表現のある類似を、16年には韓国南部に残るカンカンスオレーという輪踊り行事の調査を行った。最終年度の17年はこれらの行事以外の豊年祭の巻き踊り、ユークイ(世乞い)奄美諸島の浜下りの踊り、徳島県の盆踊り、神事踊りを調査した。いずれも神迎えとしての輪踊り、手招き等の身体動作がともなってこれらの行事がなりたっていることが分ってきた。これらの踊りを通して、従来風流踊りから盆踊りが成立したという説に対して南西諸島から沖縄にひろがる八月踊り、豊年祭の巻き踊りがアジア的なひろがりを持って、盆踊りに連続していく可能性を証明できた。具体的にいえば豊年祭として神迎えの輪おどり、ユークイの手振り、豊穣を願う男女の掛け歌等が盆踊りのベースにあり、仏教の影響によって供養踊りに転化していくと考えられる。本土の風流踊りと盆踊りが日を別にして同じ踊りを踊る所のあることからもそれは伺える。8月15日の豊年踊りと7月15日の盆踊りは元を同じくするといえる。調査箇所82ヶ所の撮影ビデオのアーカイブ化と平成11年からの科研とあわせ念仏踊り関連調査455箇所の一覧表作製をしている。