- 著者
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坂東 麻衣
山川 宏
- 出版者
- 自動制御連合講演会
- 雑誌
- 自動制御連合講演会講演論文集 第51回自動制御連合講演会
- 巻号頁・発行日
- pp.229, 2008 (Released:2009-04-14)
円軌道上の宇宙機に関する相対運動の方程式は非線形系であるが, 線形化された宇宙機の近傍での運動はClohessy-Whiltshire方程式として知られる時不変系で記述され,円軌道近傍の最適軌道の決定にしばしば用いられる.しかし,大きな軌道面の変化を扱うことができないなど適用範囲には限界があるため,もとの非線形方程式を直接扱う手法を確立することは有用な場面も多いと考えられる.
本研究では,与えられた時間で初期位置から終端位置へインパルス入力により移行する問題を考える.このとき必要な初速度,終端速度は運動方程式の2点境界値問題を解くことにより決定される.初速度,終端速度をHamilton-Jacobi(HJ)方程式の解を用いて表すことが可能なため,この問題はHJ方程式を解く問題に帰着させることができる.しかし,Hamilton-Jacobi方程式の解析解を求める一般的な方法は存在せず,近似解を求めることも容易ではない.
本研究では,HJ方程式は最適制御問題におけるHamilton-Jacobi-Bellman(HJB)方程式と同様の構造をもつことに着目し,扱う力学の問題を最適制御問題と見なし,近似的にHJ方程式の解を求めることを考える.
はじめに,HJB方程式は非線形偏微分方程式であり,直接扱うことは困難であるが,ケプラー運動のハミルトニアンが速度に関して正定関数であるという性質を用いることにより,逐次近似により線形偏微分方程式として扱うことができることを示す.次に,近年提案されたChebyshev多項式を用いたHJB方程式の近似計算法を用いることにより,解を構成する方法について述べる.最後に数値シミュレーションを行い, 提案手法の有効性を確認する.