- 著者
-
城所 博之
- 出版者
- 一般社団法人 日本小児神経学会
- 雑誌
- 脳と発達 (ISSN:00290831)
- 巻号頁・発行日
- vol.41, no.2, pp.118-123, 2009 (Released:2016-05-11)
- 参考文献数
- 24
過去20年で新生児医療は超低出生体重児の生存率を80~90%にまで上昇させた. 一方で, 脳性麻痺や精神発達遅滞などの後障害は減少したとはいえない. また, 長期追跡することで, 就学後に学習上の, 行動上の, あるいは心理的な問題も高率に発生することが分かってきた. 最近のMRIを用いた研究により, このような高次脳機能障害はすでに新生児期MRIの微細な画像異常と関連し, 青年期のMRIでは海馬や前頭葉の容量減少と関連することが明らかにされた. 新生児期に受ける低栄養や低酸素, 感染・炎症といったストレスが未熟脳の正常発達を阻害し, 将来の構造的ならびに機能的異常をもたらすことが推察される. この点を具体的に明らかにすることが当面の課題である.