著者
杉本 厚子 堀越 政孝 高橋 真紀子 齋藤 やよい
出版者
北関東医学会
雑誌
The KITAKANTO medical journal (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.123-131, 2005-05-01
被引用文献数
2 6

【目的】患者の異常を察知した時に, 看護師が捉えた事象と臨床判断の特徴を明らかにすることである.【方法】外科系病棟に勤務する看護師15名の患者の異常を察知したエピソードを, グループディスカッションを通して抽出し, 内容分析した.【結果】看護師が捉えた事象は, 異常な眠気, 表情の変化, 反応の鈍さ, 活動の低下, 予測外の症状, つじつまの合わない会話, 違和感のある臭気であり, 多くの看護観察にもとづく非言語的サインであった.異常を察知した臨床判断には, 【今までとは違う感覚】, 【通常とは違うという感覚】, 【情報に矛盾があるという感覚】であり, 「その患者」のデータや経験の分析的判断と, 「そのような患者」の看護経験にもとづく非分析的判断の両者を活用していた.【結語】看護師は患者の微妙な非言語的サインにより異常を察知し, 論理的分析と経験によって培われた直観的分析を駆使して臨床判断を行っていた.
著者
牛久保 美津子 近藤 浩子 塚越 徳子 菊地 沙織 上山 真美 恩幣 宏美 堀越 政孝 常盤 洋子
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.67-72, 2017-06-20 (Released:2017-06-21)
参考文献数
10
被引用文献数
3

目的:病院看護職による退院後の暮らしを見据えた看護活動の自己評価の結果をもとに,在宅ケアの視点をもつ病院看護職育成のための課題を明確化すること.方法:9病院,13名の看護師を対象にしたグループインタビューを行い,質的帰納的に分析した.結果・考察:退院後の暮らしを見据えた看護活動の現状として,6カテゴリ:《他職種にまかせきりにしている》,《院内連携ができていない》,《訪問看護師との連携には格差がある》,《社会資源の知識がなく活用ができていない》,《勉強会参加,経験年数,興味関心により在宅ケアの視点をもつことができる》,《在宅ケアの知識があっても実践力がない》が抽出された.社会資源に関する知識不足や多職種連携ができてないことから,実践に結び付いていないことが考えられた.結論:退院後の暮らしを見据えた看護職育成の課題として,社会資源に関する実践的な知識不足を補うこと,かつ他分野他部署を超えた看護経験の積み重ねができるような勤務体制・施設間交流の工夫を行うなど,会得した知識を実践へと結び付けるための個人の資質向上と組織的な教育的取り組みが必要であることが示唆された.
著者
杉本 厚子 堀越 政孝 高橋 真紀子 齋藤 やよい
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.123-131, 2005 (Released:2006-07-07)
参考文献数
22
被引用文献数
7 6

【目的】 患者の異常を察知した時に, 看護師が捉えた事象と臨床判断の特徴を明らかにすることである. 【方法】 外科系病棟に勤務する看護師15名の患者の異常を察知したエピソードを, グループディスカッションを通して抽出し, 内容分析した. 【結果】 看護師が捉えた事象は, 異常な眠気, 表情の変化, 反応の鈍さ, 活動の低下, 予測外の症状, つじつまの合わない会話, 違和感のある臭気であり, 多くの看護観察にもとづく非言語的サインであった. 異常を察知した臨床判断には, 【今までとは違う感覚】, 【通常とは違うという感覚】, 【情報に矛盾があるという感覚】であり, 「その患者」のデータや経験の分析的判断と, 「そのような患者」の看護経験にもとづく非分析的判断の両者を活用していた. 【結語】 看護師は患者の微妙な非言語的サインにより異常を察知し, 論理的分析と経験によって培われた直観的分析を駆使して臨床判断を行っていた.
著者
近藤 浩子 牛久保 美津子 吉田 亨 豊村 暁 佐光 恵子 神田 清子 常盤 洋子 堀越 政孝 松崎 奈々子
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.31-35, 2016-02-01 (Released:2016-04-05)
参考文献数
6
被引用文献数
3

群馬県内病院看護職の「在宅を見据えた看護活動」の実態把握を目的として質問紙調査を行った. 調査内容はA. 退院後の患者の生活をイメージした看護の提供, B. 地域の社会資源の活用, C. 患者・家族の負担軽減のためのケア方法の簡素化, D. 病状変化を予測した対応, E. 多職種との協働に関する25項目であった. 回答は, 県内11病院の看護職から2,136件が得られた. 調査結果によると, 入院前の生活状況の把握, 本人・家族の希望の把握, サマリーの記載に関しては比較的よく実施され, 実施率が5割を超えていた. しかしながら住居環境の把握や社会資源の把握, 障害認定や介護認定の評価・相談, ケア方法の簡素化, 今後を予測した対応, 多職種との連携はあまり実施されておらず, 実施率が4割以下であった. したがって, これらの視点について総合的に育成していく現任教育プログラムの開発が求められていることが示唆された.
著者
堀越 政孝 杉本 厚子 齋藤 やよい
出版者
北関東医学会
雑誌
The KITAKANTO medical journal (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.115-122, 2005-05-01
被引用文献数
1

【背景と目的】電子カルテ導入による看護情報への影響を明らかにするために, 電子カルテ導入前後に用いられた看護記録をもとに, 情報量と内容を評価した.【対象と方法】全面的に電子カルテシステムを導入した病院で調査を行った.分析対象は属性をマッチングさせた術後患者のSOAP形式の看護記録とし, 電子カルテ導入前後それぞれ13名の術後患者のデータを比較した.【結果】電子カルテ導入前後の看護診断・関連因子・看護計画・経時的問題の量的比較において, 有意差はなかった.NANDA13領域の分類では, 導入前のデータは4領域に有意に集中した.関連因子は, 導入前に統一された表現であったが, 導入後では様々な表現が用いられていた.【結語】導入による診断のワンパターン化が懸念されたが, 候補リストの表示や, 判断を伴う選択は, むしろ論理的な思考を広げ, データベースを重視した計画の立案に有用であると考えられた.