著者
増尾 伸一郎
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.47, no.7, pp.33-44, 1998

九州を中心とする西南日本の盲僧が琵琶を弾奏しながら語った『地神経』は、朝鮮の盲覡(読経師、経巫)が読誦した『地心経』と、ほぼ同一の疑偽経典である。日本では土佐のいざなぎ流や奥三河の大土公祭文をはじめ、各地の土公神祭文や五行神楽の詞章にみられるように、その釈文は<五郎王子譚>として広く流布した。本稿では、天文暦数や陰陽五行説、中国の盤古説話などを包摂しながら、重層的な展開をみた、語り物としての軌跡を、中世社会のなかに位置づけることを試みた。
著者
小峯 和明 渡辺 憲司 米井 力也 増尾 伸一郎
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

1国内のキリシタン文学関連の資料調査と収集立教大学海老沢文庫の前近代及び明治期のキリシタン文学関連資料の悉皆調査を行い、書誌データをまとめた。また、上智大学キリシタン文庫の前近代及び中国を中心とする東アジアのキリシタン文学関連の資料調査を行い、書誌データをまとめた。沖縄のキリシタン文学関係の調査及び踏査を行った。2海外のキリシタン文学関連の資料調査と収集パリ国立図書館の中国を主とするキリシタン文学関連の資料調査を行い、目録を整備し、書誌データをまとめ、伝本研究を行った。また、韓国教会史研究所、ソウル大学の朝鮮時代のキリシタン文学関連の資料調査を行い、伝本研究を行った。3海外における国際シンポジウムの開催アルザス日本学研究所で「キリシタン文学と日欧交流」のテーマで国際シンポジウムを行った。また、韓国外国語大学で「東アジアの日本文学研究」のテーマで国際シンポジウムを行った。以上、日本と西洋との一対一対応にとどまらない東アジアにまたがる多面的な次元でのキリシタン文学・文化の様相が解明できた。キリシタン文学を軸にひろく東西交流文学を対象とする新しい領域が開拓でき、海外の研究者との共同研究の体制も確立し、今後の研究推進のおおきな足がかりを得られた。
著者
篠川賢 増尾伸一郎編
出版者
吉川弘文館
巻号頁・発行日
2011
著者
千本 英史 小川 豊生 山口 眞琴 増尾 伸一郎 谷口 洋
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

サンスクリット仏典での「偽書」のあり方、中国漢文文献における「偽書」の取り扱い方について報告を受け、討議・調査した。それらが東アジアの漢字文化圏(朝鮮・韓国、ヴェトナム、日本)においてそれぞれどのように受け継がれて、「偽書」を生み出していったかについて、調査し、個々の事例に則してその実態を考究した。この三国にあっては、ことに中国との関係をめぐって、また近代植民地支配の中での「偽書」の性格に大きな違いが見られた。
著者
小峯 和明 渡辺 憲司 金 文京 増尾 伸一郎
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

日本中世の物語類を中心に、<予言文学>に関わる表現やモチーフの資料集を作成し、さらに予言書、未来記、託宣書、夢記、起請文、遺言、遺訓などの文書類のリストを作成、資料集としてまとめた。東アジアに関しては、北京、ソウル、ハノイ、パリ、ロンドン、ボストンなどで資料調査を行い、貴重な資料を収集した。それらの成果をもとに、北京、ハノイ、パリで<予言文学>をめぐる国際学会や研究会を主催し、論文集としてまとめた。