著者
亀井 淳志 阿部 幹雄 志村 俊昭 柚原 雅樹 大和田 正明 束田 和弘 外田 智千 木下 雅章
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.283-299, 2009-11-30

第50次日本南極地域観測隊(第50次隊)夏隊のセール・ロンダーネ山地地学調査隊は67日間におよぶ野外調査を行い,その間に必要な電力を太陽光発電で賄った.今回使用した太陽光発電システム(出力電圧約12 V)の1日あたりの発電量は6724 Ahであった.そして,この調査によって以下の3つの重要なことが明らかとなった.1)南極での野外調査生活に必要な電力は太陽光発電システムにより得ることが可能である.2)最大出力電流2.3 Aの太陽パネルは1日あたり910 Ahを発電する.3)夏季の南極は白夜のために日照が途絶える事はないが,当山地では0000 LTから0500 LT (昭和基地時刻) の間に太陽光発電ができない.
著者
小山内 康人 豊島 剛志 馬場 壮太郎 外田 智千 中野 伸彦 阿部 幹雄 足立 達朗
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.291-398, 2008-07-30

第49次日本南極地域観測隊(JARE-49)夏隊・セール・ロンダーネ山地地学調査隊は,ドロンイングモードランド航空ネットワークを利用して航空機で日本から直接南極内陸山地に赴き,2007年11月23日〜2008年2月5日の75日間,キャンプ生活を送りながらスノーモービルと徒歩によりセール・ロンダーネ山地中央部地域の地質学的野外調査を実施した.また,ベルギー基地,インド基地等を訪問し,国際交流を実施した.今回の野外調査は,航空機を利用した南極内陸地域野外調査の初の試みであり,2007年度にスタートした国際極年(IPY)とも連動した国立極地研究所の一般プロジェクト研究(課題番号P-5-1:代表・本吉洋一)の初年度調査でもある.本報告では,設営面での計画の立案・準備から実施経過に至る過程について詳しく述べる.
著者
竹原 真美 本吉 洋一 堀江 憲路 外田 智千 馬場 壮太郎 亀井 淳志 北野 一平 Nantasin Prayath Setiawan Nugroho Dashbaatar Davaa-ochir
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.65, 2018

<p>ジルコンは物理化学的に安定な鉱物であるとされる.一方,超高温変成作用(1000℃以上)によって,ジルコン結晶中のPbの二次的な移動が起こり,年代値等に影響を与えるという例も報告されている.そこで,ジルコン結晶中のPb及びその他微量元素の(超)高温環境下における挙動について検証するため,超高温変成作用の痕跡を残す東南極ナピア岩体に着目し,本岩体の露岩であるハーベイヌナタークに産する斜方輝石珪長質片麻岩中のジルコンを対象として,高感度高分解能イオンマイクロプローブ(SHRIMP-IIe)によるU-Pb年代測定及びZrと微量元素(Hf, Ti, P, REE, Ca, Mn, Fe, Al, Mg, K, Li, B, F, Cl)組成分析を行った.</p>
著者
外田 智千
出版者
国立極地研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

1.南極ナピア岩体に産する珪長質の超高温変成岩中の長石微細組織を用いた変成条件の解析とジルコン、モナザイト、アパタイトといった副次鉱物の組織観察をおこない、長石結晶のコアーリムの組成変化が超高温変成作用時に生成したメルトとの相互作用によるものである可能性ならびにアパタイト結晶の分解による二次的なモナザイトの成長等を見いだし、今後の微量元素分析ならびに年代測定のための基礎情報を得た。2.オーストラリア南極観測隊に参加して、南極プリッツ湾地域での超高温変成岩類の地質調査と副次鉱物の年代測定と微量元素分配解析用の岩石試料採取をおこなった。3.研究成果のとりまとめとして、以下の国際学会での研究発表(2件)と学術誌への英文論文の公表(3件)をおこなった:・第19回国際鉱物学会IMA2006(神戸市、2006年7月)において、南極ナピア岩体産超高温変成岩試料中から見いだしたペリエライトの産状・化学的特徴とその意義についての研究発表をおこなった(本科研費による出張)。また、その内容を英文論文として公表した(Hokada,2007)。・第16回ゴールドシュミット会議i(メルボルン、2006年8月)において、ナピア岩体に産する珪長質片麻岩中の長石微細組織から得られた変成プロセスならびに副次鉱物の挙動に関する研究発表1をおこなった(極地研究所プロジェクト研究費による出張)。また、長石微細組織を用いた超高温変成作用の解析結果に関する内容を英文論文として公表した(Hokada&Suzuki,2006)。・電子線マイクロプローブを用いたモナザイトU-Pb年代測定の分析手法ならびに南極産高温〜超高温変成岩試料の年代データを英文論文として公表した(Hokada&Motoyosi,2006)。