著者
志村 俊昭 小山内 康人 豊島 剛志 大和田 正明 小松 正幸
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 = THE JOURNAL OF THE GEOLOGICAL SOCIETY OF JAPAN (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.112, no.11, pp.654-665, 2006-11-15
参考文献数
57
被引用文献数
2

日高変成帯は,第三紀の火成弧の地殻断面であると見なされている.シンテクトニックなトーナル岩マグマは地殻規模のデュープレックス構造のフロアースラスト,ランプ,ルーフスラストに沿って迸入している.このトーナル岩マグマは露出していない最下部地殻のアナテクシスによって生じた.<br>日高変成帯北部の新冠川地域には,含輝石トーナル岩類(最下部トーナル岩体)が分布している.このトーナル岩体には,斜方輝石の仮像や,アプライト脈などの様々な冷却過程を示す証拠を見ることが出来る.これらの組織から,このトーナル岩体の冷却過程が明らかになった.シンテクトニックなトーナル岩体と,変成岩層の<i>P</i>-<i>T</i>-<i>t</i>経路は地殻の上昇テクトニクスを示している.一方,デラミネーションを起こした最下部地殻の<i>P</i>-<i>T</i>-<i>t</i>経路も推定することが可能である.<br>
著者
小山内 康人 豊島 剛志 馬場 壮太郎 外田 智千 中野 伸彦 阿部 幹雄 足立 達朗
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.291-398, 2008-07-30

第49次日本南極地域観測隊(JARE-49)夏隊・セール・ロンダーネ山地地学調査隊は,ドロンイングモードランド航空ネットワークを利用して航空機で日本から直接南極内陸山地に赴き,2007年11月23日〜2008年2月5日の75日間,キャンプ生活を送りながらスノーモービルと徒歩によりセール・ロンダーネ山地中央部地域の地質学的野外調査を実施した.また,ベルギー基地,インド基地等を訪問し,国際交流を実施した.今回の野外調査は,航空機を利用した南極内陸地域野外調査の初の試みであり,2007年度にスタートした国際極年(IPY)とも連動した国立極地研究所の一般プロジェクト研究(課題番号P-5-1:代表・本吉洋一)の初年度調査でもある.本報告では,設営面での計画の立案・準備から実施経過に至る過程について詳しく述べる.
著者
岩田 修二 白石 和行 海老名 頼利 松岡 憲知 豊島 剛志 大和田 正明 長谷川 裕彦 Decleir Hugo Pattyn Frank
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.355-401, 1991-11

第32次南極地域観測隊(JARE-32)夏隊のセールロンダーネ山地地学調査隊は, 1990年12月24日あすか観測拠点を出発し, 1991年2月7日に再び「あすか」に帰り着くまでセールロンダーネ山地中央部で, 地形・地質・雪氷調査を行い測地作業も実施した。雪上車とスノーモービルを利用してキャンプを移動しながら調査するという従来と同じ行動様式をとったため, 設営面でもおおかたはこれまでの方式と同じである。地学調査は, 地形では, 野外実験地の撤収, 岩石の風化の調査, モレーン・ティルのマッピング, 地質では, 構成岩石の形成順序の解明, 構造地質学的・構造岩石学的そして地球化学的研究のためのサンプリング, 測地では, 重力測量, 地磁気測量, GPSによる基準点測量が行われた。ベルギーからの交換科学者は氷河流動・氷厚などを測定した。
著者
岩田 修二 白石 和行 海老名 頼利 松岡 憲知 豊島 剛志 大和田 正明 長谷川 裕彦 Decleir Hugo Pattyn Shuji Iwata Kazuyuki Shiraishi Yoritoshi Ebina Norikazu Matsuoka Tsuyoshi Toyoshima Masaaki Owada Hirohiko Hasegawa Hugo Decleir Frank Pattyn
雑誌
南極資料 = Antarctic Record (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.355-401, 1991-11

第32次南極地域観測隊(JARE-32)夏隊のセールロンダーネ山地地学調査隊は, 1990年12月24日あすか観測拠点を出発し, 1991年2月7日に再び「あすか」に帰り着くまでセールロンダーネ山地中央部で, 地形・地質・雪氷調査を行い測地作業も実施した。雪上車とスノーモービルを利用してキャンプを移動しながら調査するという従来と同じ行動様式をとったため, 設営面でもおおかたはこれまでの方式と同じである。地学調査は, 地形では, 野外実験地の撤収, 岩石の風化の調査, モレーン・ティルのマッピング, 地質では, 構成岩石の形成順序の解明, 構造地質学的・構造岩石学的そして地球化学的研究のためのサンプリング, 測地では, 重力測量, 地磁気測量, GPSによる基準点測量が行われた。ベルギーからの交換科学者は氷河流動・氷厚などを測定した。The Sor Rondane field party as part of the summer party of the 32nd Japanese Antarctic Research Expedition (JARE-32) carried out geomorphological, geological, geodetic, and glaciological fieldworks in the central area of the Sor Rondane Mountains for 45 days from December 24,1990 to February 7,1991. The field trip was conducted by two parties, consisting of 9 persons, traveling from mountains to mountains to shift tented camps using 4 snow vehicles towing their equipments on sledges behind. Nine snowmobiles (motor toboggans) were used for their field researches on glaciers. Geomorphologists carried out measurements in the periglacial field experimental sites, observations of rock weathering, and mapping of chronological sequence of tills and moraines. Geologists studied chronological sequence of rock formation and collected rock specimens for structural, petrological, and chemical analyses. A surveyor set up geodetic control stations using GPS satellite positioning system and made gravity surveys on glaciers as well as at some control stations. Two Belgian glaciologists took part in the fieldwork as exchange scientists and studied dynamics of glacier movement and ice thickness.