著者
西崎 康 入江 寛 横山 明彦 多田 泰之
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌B(電力・エネルギー部門誌) (ISSN:03854213)
巻号頁・発行日
vol.129, no.1, pp.50-56, 2009-01-01 (Released:2009-01-01)
参考文献数
12
被引用文献数
15 26

Considering interconnection of a large-capacity of wind power generation to the utility grid, it is of great concern that its output power fluctuation has adverse influences, e.g. frequency fluctuation. There have so far been some research works on installation of battery energy storage systems (BESS), as a solution of these problems. However, owing to very high cost of the BESS, its capacity should be as small as possible. In this paper, not only the installation of the BESS as one of measures of suppressing the frequency fluctuation caused by wind power generation, but also blade pitch angle control for blunting the output power of wind turbine generators (WTGs) is also considered. This paper proposes a coordinated control method of the BESS and the blade pitch angle, and evaluates reduction of the capacity of the BESS and the power generation loss caused by blunting the output power which should be originally generated by WTGs.
著者
多田 泰之
出版者
水利科学研究所
雑誌
水利科学 (ISSN:00394858)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.11-28, 2009
被引用文献数
1

2004年は、多くの台風が日本列島を襲い各地に甚大な災害をもたらした。これは2004年6月から10月にかけて、日本列島に台風が接近しやすい太平洋高気圧の配置が続いたことが原因である。図1は、1951〜2008年の台風の発生件数と上陸件数を示したものである。2004年の台風の発生件数は例年と同じ程度の件数であるが、太平洋高気圧の縁に沿って台風が次々と日本列島に上陸し、上陸件数は観測史上最多の10件を記録している。その結果、2004年は近年で最も多い64名の死亡者が生じている。2004年の主要な土砂災害による被害を表1にまとめたが、台風の進路に位置した太平洋岸の地域で多数の被害が生じている。特に台風21号では、三重県・愛媛県を中心に大きな被害が生じた。中でも三重県多気郡宮川村(現大台町)では1時間に100mmを超える豪雨によって多くの崩壊や土石流が発生し、死者・行方不明者7名、全壊家屋14棟と甚大な被害が生じた。砂防学会をはじめ、地すべり学会・土木学会などでは災害調査団を組織し、災害の発生原因について調査・報告がなされている。これらの調査報告では、(1)災害発生位置とその被害状況、(2)降水量などの気象条件、(3)崩壊斜面の地形・地質の特徴についての見解が示され、災害の発生原因を考察している。また、近藤らは住民の避難行動について分析し、山間地域では避難経路となる本川沿いの道路が、土砂・流木等によって通行不能になることを念頭に置いた防災対策の重要性を指摘している。このように宮川村で発生した土砂災害については、災害が発生した(1)誘因、(2)素因、(3)対策についての問題点・留意点が明らかにされている。ところで、このような災害調査の多くは災害発生後に実施されるため、災害発生前や災害発生直後の状況の情報が不足する傾向にある。崩壊発生前あるいは直後の状況には、災害発生場所の特定や警戒・避難に関する有益な情報があると考えられるが、災害の発生する場所を知る術がないため、その情報は極めて少ないのが現状であるといえる。筆者らは土砂災害の実態を知るために様々な調査を実施しているが、偶然にも、宮川村で災害が発生する前に湧水などの調査を実施しており、わずかではあるが災害発生前の宮川流域の状況を知る機会を得た。本稿では、従来不足している災害発生前あるいは直後の状況には資料的な価値があるとの考えから、三重県宮川村の周辺で見られた災害前後の状況について報告する。
著者
久米 昌彦 日置 佳之 多田 泰之
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 = / the Japanese Society of Revegetation Technology (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.15-20, 2007-08-31
被引用文献数
1

緑化樹木の根系の分布や状態は,移植や樹木の治療等,樹木の保護管理を行う上で最も重要かつ基礎的な情報である。しかし,従来現場で個別の樹木の根系を調べるには,掘り起しや水圧利用による根系の洗い出しといった手法以外に有効な方法はなかった。そこで,根系の水平的分布を非破壊かつ簡易に推定する全く新しい方法を開発するために,測定対象木の樹幹に振動を与え,土中及び根系を伝播する振動の伝播速度を,対象木周辺の複数個所で測定した。その結果,伝播速度の測定から樹幹を中心とする半径2.5mの円内における1 ) 主根の横走する方向,2 ) 根系の水平的分布の概要を推定することができた。特に,周囲に他の樹木がなく,地下に測定対象木のみの根系が存在するような土壌では高精度で根系の水平的分布の概要を推定することができた。