著者
小西 舞 小荒田 秀一 山口 健 田代 知子 副島 幸子 末松 梨絵 井上 久子 多田 芳史 大田 明英 長澤 浩平
出版者
The Japan Society for Clinical Immunology
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 = Japanese journal of clinical immunology (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.154-161, 2011-06-30
参考文献数
17
被引用文献数
1 12

症例は67歳女性.主訴は頭痛,四肢の小結節・紅斑.近医にて慢性腎不全・高脂血症を治療中であったが,インフルエンザワクチン接種を行った.接種2週間後,微熱,頭痛が出現し,CRP高値,MPO-ANCA陽性,腎機能障害,側頭部の圧痛,四肢の紅斑を指摘され,紹介受診となった.紅斑の組織像で動脈周囲に炎症細胞浸潤,フィブリノイド壊死を認め,側頭動脈の組織では炎症細胞浸潤と巨細胞を伴う血管炎を認めた.CTで両肺に多発する斑状影を認め,肺胞出血または間質性肺炎と考えられた.顕微鏡的多発血管炎(mPA)と側頭動脈炎(GCA)の合併と診断し,副腎ステロイドによる治療を開始した.CRP, MPO-ANCAの陰性化を認め,腎機能も改善した.その後,日和見感染症を併発し死亡され剖検がなされた.剖検では,半月対形成性糸球体病変が証明された.本例はインフルエンザ・ワクチン接種を契機として2つの血管炎が同時に発症しており,組織学的に巨細胞性血管炎と微小血管炎が証明された世界初の報告である.血管炎症候群に共通する発症機序を示唆する貴重な症例と考えられた.<br>
著者
山内 保生 長沢 浩平 多田 芳史 塚本 浩 吉沢 滋 真弓 武仁 仁保 喜之 草場 公宏
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.65, no.7, pp.851-856, 1991-07-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

全身性エリテマトーデス (systemic lupus erythematosus, SLE) に帯状疱疹 (herpes zoster, HZ) が高頻度に発症する要因を解明するために水痘一帯状疱疹ウイルス (varicella-zoster virus, VZV) に対する免疫能を検討した. 当科のSLE患者119例中56例 (47%) と高率にHZの罹患がみられた. 9例はSLE診断以前にHZに罹患していた. SLE診断後のHZの発症頻度は100 person-yearsあたり5.45であった. HZ罹患と腎障害の関連はみられなかった.VZVに対する中和抗体価, CF抗体価の検討ではSLEでHZの既往のある例は, HZ既往のないSLEや健常者よりも有意に高い抗体価がみられた. VZV抗原に対する皮内反応は, SLE患者ではHZの既往の有無にかかわらず健常者よりも有意に低い陽性率を示した. また, 皮内反応時の副腎皮質ステロイド剤 (ス剤) の使用量が1日10mg以上の群はそれ未満の群に較べて有意に低い皮内反応の陽性率を示したが, ス剤を全く使用していない未治療SLEでも, 皮内反応陽性率は低下していた.SLEにHZが合併する1つの重要な要因として細胞性免疫能の低下が関与していると考えられた. 細胞性免疫能は, SLE自体による低下のほか, ス剤にも強く影響されていることが示唆された.
著者
小西 舞 小荒田 秀一 山口 健 田代 知子 副島 幸子 末松 梨絵 井上 久子 多田 芳史 大田 明英 長澤 浩平
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.154-161, 2011 (Released:2011-06-30)
参考文献数
17
被引用文献数
8 12

症例は67歳女性.主訴は頭痛,四肢の小結節・紅斑.近医にて慢性腎不全・高脂血症を治療中であったが,インフルエンザワクチン接種を行った.接種2週間後,微熱,頭痛が出現し,CRP高値,MPO-ANCA陽性,腎機能障害,側頭部の圧痛,四肢の紅斑を指摘され,紹介受診となった.紅斑の組織像で動脈周囲に炎症細胞浸潤,フィブリノイド壊死を認め,側頭動脈の組織では炎症細胞浸潤と巨細胞を伴う血管炎を認めた.CTで両肺に多発する斑状影を認め,肺胞出血または間質性肺炎と考えられた.顕微鏡的多発血管炎(mPA)と側頭動脈炎(GCA)の合併と診断し,副腎ステロイドによる治療を開始した.CRP, MPO-ANCAの陰性化を認め,腎機能も改善した.その後,日和見感染症を併発し死亡され剖検がなされた.剖検では,半月対形成性糸球体病変が証明された.本例はインフルエンザ・ワクチン接種を契機として2つの血管炎が同時に発症しており,組織学的に巨細胞性血管炎と微小血管炎が証明された世界初の報告である.血管炎症候群に共通する発症機序を示唆する貴重な症例と考えられた.