著者
多田羅 浩三
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.3-17, 2009 (Released:2014-06-13)
参考文献数
50
被引用文献数
1
著者
多田羅 浩三
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.65, no.6, pp.255-265, 2018 (Released:2018-06-29)
参考文献数
25

公衆衛生の誕生 フランクは,メディカルポリースの体系構築を提言した。チャドウィックは,「全数対応」の体制を公衆衛生法によって発足させた。ラムゼイは,公衆衛生を担う保健医官は,救貧法体制から独立した身分とする必要があると言った。シモンは,「公」の制度を担う「私」の知恵の重要性を強調した。日本の公衆衛生 1871年から1873年まで欧米を訪問し,各地の経験から学んだ長与専斎の起草による「医制」が1874年に発布された。 『医制八十年史』の「公衆衛生」の章の「第一節保健衛生」の「第一項栄養」は,高木兼寛に関する,次の文章で始まっている。 「わが国の栄養改善は脚気対策に始まった。‥高木兼寛は当時海軍の糧食が白米のみを主としていることに注目し,麦と米を等分に混入するという方法で兵食改良の必要性を訴えるに至った。‥これらはいずれも脚気の原因が食事の不完全にあるとして栄養問題の解決を一歩前進させたものである。」 わが国の公衆衛生の扉は,薩摩の医師高木兼寛によって開かれたと理解できる。 農商務省の嘱託医石原修が,1910年に工場衛生調査の結果を報告し,工場法が1911年に制定された。 1937年に,都道府県,大都市による保健所の設立を規定した保健所法が制定された。 1947年,東京大学,新潟大学,大阪大学に公衆衛生学教室が設置され,日本公衆衛生学会が発足した。 1978年,アルマ・アタ宣言が発表され,厚生省は国民健康づくり計画を発表した。1982年,老人保健法が制定され,1994年,保健所法が改正され地域保健法となり,1997年に全面施行された。 アメリカで1990年,Healthy People 2000の発表があり,厚生労働省は2000年,「健康日本21」を発表,2002年健康増進法を制定した。集団医学への道 大阪大学の松澤佑次教授が,1994年に「メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)」が,冠動脈疾患などの上流にある病態であることを報告した。2005年,メタボリックシンドローム診断基準検討委員会が,メタボリックシンドローム評価基準を発表した。厚生労働省は,特定健診・保健指導を2008年から実施した。特定健診の対象集団を「集団医学」の対象とし,集団の構成員の疾病の制圧につながる基本の因子を明らかにすることで,その結果をもとに保健指導を行うことが,公衆衛生には求められている。
著者
中島 和江 平出 敦 高階 雅紀 中田 精三 多田羅 浩三 山本 浩司
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

医学生及び研修医への医療安全に関する教育方法の開発を目的として、講義時期、内容、方法に関する検討を行った。さらに、医療事故防止の実践的な教育ツールとして、患者急変時の対応、チームメンバー間や患者・家族とのコミュニケーション、診療記録の記載、医学や医事法の基礎知識に焦点をあてたシナリオを作成した。医療安全に関連する領域の講義を継続希望する学生は9割を越え、各学年の医学知識に合わせた講義、具体的ケースの提示による思考型講義の実施、多岐にわたるテーマを教育するための講義時間及び講師の確保が必要であることが明らかになった。作成したシナリオの概略とポイントは次のとおりである。【シナリオ1】血管造影中に患者が心肺停止に陥ったが、適切な心肺蘇生ができなかった。ACLS(advanced cardiovascular life support)の実施、CPR(cardiopulmonary resuscitation)コールの活用、患者急変時のチーム医療におけるリーダーシップ、診療記録の記載。【シナリオ2】研修医がインスリン経静脈的持続投与の口頭指示を出したため、ベテラン看護師に注意され医師指示簿に記載するが、単位を省略して書いたために新人看護師が投与量を誤った。薬剤に関する基礎知識、医師指示における注意点。【シナリオ3】大腸内視鏡で大腸穿孔が発生し、家族から強く責められた担当医は、感情面での支援や適確な説明が行えなかった。インフォームドコンセントのあり方、合併症発生時の患者・家族とのコミュニケーション。【シナリオ4】末期患者がベッドからの転落により急性硬膜下血腫を発症後、しばらくして死亡したが、主治医は安易に死亡診断書を作成しようとした。医師法第21条と異状死に該当する事例に関する知識、死亡診断書と死体検案書との違い。今後、これらのシナリオを実際の医学教育に使用し、教育効果を評価する予定である。
著者
多田羅 浩三 高鳥毛 敏雄 中西 範幸 新庄 文明 黒田 研二 西 信雄
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1995

1.目的:本調査は、国民健康保険の実績をもとに大阪府下の基本医療圏別の入院、および入院外医療の実態について分析を行い、今後の医療計画の策定に資する知見を明らかにすることを目的に実施したものである。2.対象・方法:調査対象は大阪府下の44全市町村であり、平成7年5月診療分の国民健康保健の入院診療(74,486件)、および入院外診療(1,860,062件)の実績について診療報酬明細書に記載された内容をもとに分析を行った。調査項目は、医療機関所在地、医療機関経営主体、診療実日数、診療点数、在院日数などである。3.結果:(1)件数の割合:入院件数の割合をみると、基本保健医療圏別には豊能、三島では65歳以上の者がそれぞれ63.2%、62.4%で高率であった。(2)受診率(被保険者百人当たり):入院受診率は大阪市西部が3.2で最も高く、ついで泉州の3.1、堺市の2.9などの順であった。75歳以上の者では、最も高い泉州(12.0)と最も低い豊能(9.1)の差は百人当たり3人であった。(3)長期入院受診率(被保険者千人当たり):6ケ月以上の長期入院受診率は泉州が11.6で最も高く、最も低い北河内(7.0)と泉州との差は4.6であった。75歳以上の者では最も高い泉州(54.5)と最も低い豊能(29.4)の差は25.1であった。(4)診療実日数の割合:入院診療実日数に占める割合をみると豊能、大阪市南部では65歳以上の者が全入院総数のそれぞれ66.1%、66.0%を占め、最も高率であった。(5)診療点数の割合:高齢者が入院診療点数に占める割合は、三島、豊能、南河内では65歳以上の者が全入院総数の65%を占め、高率であった。
著者
多田羅 浩三 高鳥毛 敏雄 高橋 進吾 新庄 文明
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.43, no.9, pp.801-805, 1996-09-15
被引用文献数
2