- 著者
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花村 亮
伏見 了
中田 精三
野口 悟司
高階 雅紀
水谷 綾子
門田 守人
川本 武
- 出版者
- 日本医療機器学会
- 雑誌
- 医科器械学 (ISSN:0385440X)
- 巻号頁・発行日
- vol.73, no.4, 2003-04-01
〔目的〕すべての消毒薬には蛋白質変性作用があることから,血液などで汚染された器械は十分に洗浄された後に消毒薬による処理やオートクレーブなどによる滅菌を行うことが公的機関から勧告され,成書にも記載されている.しかし,現実には汚染器械をそのまま,または簡単な洗浄の後に消毒薬に浸漬している施設が非常に多い.そこで,血液および血液成分を塗布した汚染モデルを用いて一次消毒された汚染物がその後の洗浄においていかに障害となるかを明らかにしたので報告する.〔材料〕高,中,低レベル消毒薬として日常広く使用されている8種類を用い,浸漬洗浄用洗剤には1%の酵素洗剤とアルカリ性洗剤を使用した.汚染モデルにはTOSI^【○!R】(Pereg社)を使用して洗浄後の残存蛋白質をニンヒドリン反応で確認した.〔方法および成績〕1mlの血液と4mlの消毒薬を混合すると血液中蛋白質が寒天状または遠心分離によって沈殿物を形成するほどに変性した.消毒薬未処理のTOSI^【○!R】は20分間の酵素およびアルカリ洗剤による浸漬洗浄で付着蛋白質が分解されるのに対して,消毒薬処理(30分間の浸漬)によって変性した蛋白質はほとんど分解されずに残存した.消毒薬処理したTOSI^【○!R】をウォッシャーディスインフェクタで洗浄した結果,グルタールアルデヒドおよびフタラール処理で変性蛋白質は残存していた.また,超音波洗浄した結果グルタールアルデヒド,過酢酸,フタラール,塩化ベンザルコニウムで処理した場合に変性蛋白質が残存した.〔結論〕消毒薬の作用によって血液中蛋白質が変性し,しかもこの変性蛋白質は酵素およびアルカリ性洗剤の分解作用を受けないことから洗浄の大きな障害となる.したがって,一次消毒は禁止すべきと思われる.