著者
遠藤 宏樹 酒井 英嗣 日暮 琢磨 大久保 秀則 山田 英司 飯田 洋 野中 敬 古出 智子 稲森 正彦 高橋 宏和 中島 淳
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.457-463, 2013-04-25

要旨 カプセル内視鏡によって,NSAIDs起因性小腸粘膜傷害の現状が明らかになってきた.NSAIDsは,小腸にびらん,潰瘍,絨毛欠損や出血など多彩な病変を引き起こし,原因不明の消化管出血の一因となりうる.また,NSAIDs長期服用者においては,小腸に輪状潰瘍・膜様狭窄という特徴的な所見を来すことがあり,カプセル内視鏡検査に注意を要することがある.NSAIDs起因性小腸潰瘍に対しては休薬が確実な治療であるが,治療後の評価もカプセル内視鏡ならば,簡便かつ低侵襲で行うことが可能である.カプセル内視鏡はNSAIDs起因性小腸粘膜傷害の診断や治療評価に有用であると考えられる.
著者
中島 淳 冬木 晶子 大久保 秀則
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.106, no.11, pp.2453-2460, 2017-11-10 (Released:2018-11-10)
参考文献数
4

慢性便秘は未曾有の高齢化を反映し,患者数の増加が著しい疾患である.慢性便秘は薬剤性や症候性等による続発性便秘と原発性である慢性機能性便秘に分類され,さらに,後者は結腸通過時間正常型,結腸通過時間遅延型,便排出障害型の3つに分類され,その診断は最近改定されたROME IVにより規定されている.近年,臨床治験を経たエビデンスレベルの高い新規慢性便秘治療薬として,ルビプロストンやリナクロチド,さらには緩和領域では末梢型オピオイド受容体拮抗薬としてのナルデメジンの登場によって,治療現場が大きく変わりつつある.
著者
中島 淳 大久保 秀則 日暮 琢磨
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.406-413, 2020-10-25 (Released:2020-12-01)

慢性便秘症は高齢者に多い疾患であり近年便秘症があると生命予後が悪いこと,心血管イベントが多いこと,CKD発症が多いことが明らかになってきた.この意味で便秘症は治療すべき病気として認知されるようになった.高齢者では結腸運動能の低下,直腸知覚閾値の鈍麻など高齢者特有の病態異常が明らかになりそのため単なる便秘ではなく直腸に便塊が貯留する糞便塞栓の発症に注意しなければならない.治療は酸化マグネシウムをまず使うが高齢者では特にマグネシウム血症に注意する必要があり,刺激性下剤はレスキュー薬としての使い方がベストな使い方である.最近多くの便秘治療新薬の登場で医療現場が大きく変わりつつある.
著者
中島 淳 冬木 晶子 大久保 秀則
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.113, no.10, pp.1704-1710, 2016-10-05 (Released:2016-10-05)
参考文献数
2

機能性消化管疾患の画像検査では,静止画による間接的所見による画像検査と動画による直接所見による画像検査の2つのアプローチがある.間接的画像検査でCT検査は非常に有用であり,消化管の拡張所見の有無に加え,消化管内容物の鑑別ができるという点で有用な情報を提供してくれる.Gastroparesisや慢性偽性腸閉塞症,巨大結腸症などは上記2点に関して特徴的静止画像を呈するが,実際の消化管運動異常をみているわけではない点に注意を要する.小腸運動に関しては,シネMRIは小腸の運動を直接観察することができる非侵襲的画像検査として非常に有用であり,今後のさらなる改良が期待される.