著者
程 岩松 堀内 孝次 大場 伸哉
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.153-160, 2002-09-30
参考文献数
14
被引用文献数
1

植物の他感作用を活用して,イネ科強害草のメヒシバの生育を抑制する目的で,42種類のハーブの抽出液を用いた発芽実験を行い,さらに発芽抑制効果の大きかった数種ハーブについて,植物体砕片を土壌に混入し,それをポットに充填してメヒシバを育成し,その生育抑制効果を調査した。その結果,発芽実験ではバルサムギク,ローマンカミツレ,メボウキ,ミドリハッカ,ラベンダーの蒸留水抽出液とバルサムギク,スイカズラ,メボウキ,アマドコロ(地下茎)のメタノール抽出液が発芽を強く抑制した(第1表)。発芽後初期生育は,スイカズラ,ラベンダー,イチョウ(果皮)の蒸留水抽出液とバルサムギク,スイカズラ,キツネノボタン,ウコン,アマドコロ(地下茎)とイチョウのメタノール抽出液によって顕著に抑制された(第1表)。また,スイカズラとラベンダー砕片を土壌に混入したところ,メヒシバの乾物重と分げつ数は対照区に比べて大きく減少した(第3表)。これらの実験結果は,ハーブ類数種がメヒシバの生育を強く抑制し,他感作用を有する可能性を示した。
著者
大場 伸哉 鈴木 祐介 藤本 文弘
出版者
岐阜大学
雑誌
岐阜大学農学部研究報告 (ISSN:00724513)
巻号頁・発行日
vol.62, pp.7-13, 1997-12-26

ソバ属(Fagopyrum spp.)栽培種は収穫時に脱粒しやすい。そこで本研究では,小枝強度を指標にしてソバ属2種の脱粒性を調査した。供試した材料は,日本産,ソ連産およびネパール産の普通ソバ(F. esculentum Moench.)3品種2系統とソ連ならびにネパール産のダッタンソバ(F. tataricum Gaerutner)2系統である。開花・結実後3日毎に小枝の抗張強度と抗曲強度を測定し,登熟に伴う小枝強度の変化を調べた。また,登熟程度の目安とするために,痩果の生鮮重を測定した。結実直後の抗張強度ならびに抗曲強度は,全品種・系統とも10g程度と小さく,登熟するに従い次第に増加した。しかし,登熟が終わると,日本産やソ道産の普通ソバでは抗曲強度が顕著に低下した。登熟後の普通ソバとダッタンソバの小枝強度を比較すると,ダッタンソバの強度は普通ソバの半分程度に過ぎなかった。一方,抗曲強度の最高強度を普通ソバの品種・系続開で比較すると,最も強いネパール産ソバと最も弱いソ連産ソバとの差は11gで,その差は比較的小さかった。また,ダッタンソバの場合は,系統間に有意な差はなかった。抗張強度の測定時に痩果が離脱した部位を調べたところ,痩果の基部付近から小枝の中央部にかけて離脱しやすいことがわかった。これは,イネ科植物で見られるような特定部位での脱粒とは異なっている。
著者
程 岩松 堀内 孝次 大場 伸哉
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.153-160, 2002-09-30 (Released:2009-12-17)
参考文献数
14
被引用文献数
2

植物の他感作用を活用して, イネ科強害草のメヒシバの生育を抑制する目的で, 42種類のハーブの抽出液を用いた発芽実験を行い, さらに発芽抑制効果の大きかった数種ハーブについて, 植物体砕片を土壌に混入し, それをポットに充填してメヒシバを育成し, その生育抑制効果を調査した。その結果, 発芽実験ではバルサムギク, ローマンカミツレ, メボウキ, ミドリハッカ, ラベンダーの蒸留水抽出液とバルサムギク, スイカズラ, メボウキ, アマドコロ (地下茎) のメタノール抽出液が発芽を強く抑制した (第1表)。発芽後初期生育は, スイカズラ, ラベンダー, イチョウ (果皮) の蒸留水抽出液とバルサムギク, スイカズラ, キツネノボタン, ウコン, アマドコロ (地下茎) とイチョウのメタノール抽出液によって顕著に抑制された (第1表)。また, スイカズラとラベンダー砕片を土壌に混入したところ, メヒシバの乾物重と分げつ数は対照区に比べて大きく減少した (第3表)。これらの実験結果は, ハーブ類数種がメヒシバの生育を強く抑制し, 他感作用を有する可能性を示した。
著者
丹羽 智彦 堀内 孝次 大場 伸哉 山本 君二
出版者
日本作物學會
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.105-110, 2001-03-05
参考文献数
12
被引用文献数
1

炭化汚泥は脱水汚泥に比べて,減量化,無臭化の特徴を有しているが,土壌改良資材あるいは肥料素材としての施用効果については研究例が殆どない.本研究では,下水道脱水汚泥を岐阜市と高鷲村から1998年3月と8月に採取した.炭化汚泥は,脱水汚泥を300~700℃で炭化処理して作製し,各汚泥の物理・化学特性を測定した.その結果,炭化汚泥の全窒素濃度,EC,C/N比などは,汚泥採取場所,時期,炭化処理温度によって異なった.例えば,全窒素濃度は3~7%までの幅があった.さらに,炭化汚泥に関しては岐阜炭化汚泥に比べて,高鷲炭化汚泥の硬度は2倍,密度は1.5倍であった.この結果,岐阜炭化汚泥は,高鷲炭化汚泥よりも多孔質であることが推測された.また,炭化汚泥の肥料効果を検討するために,1/5000aワグネルポットに,岐阜炭化汚泥と高鷲炭化汚泥を施用して陸稲を育てた.施用量は,両汚泥とも全窒素量が3g/ポット,6g/ポットとなるよう調節した.その結果,出芽後30日目の地上部乾物重とSPAD値は,炭化汚泥を多施用した区の方が高い値となった.また,高鷲炭化汚泥を施用した区よりも,岐阜炭化汚泥を施用した区の方が,地上部乾物重とSPAD値は高くなった.このように,全窒素量が同量となるように施用したにもかかわらず陸稲の生育が異なったことは,炭化汚泥の空隙率の違いが原因していると考えられた.炭化汚泥は,成分量や密度,硬度に差があり,これらの要因が土壌施用時に肥効に影響することを明らかにした.
著者
祖父江 勇気 堀内 孝次 大場 伸哉 森 健司
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会東海支部会報
巻号頁・発行日
no.129, pp.45-48, 2000-06
被引用文献数
1

本研究は連作障害が最も起こりやすい作物のひとつであるエンドウを用いて, ポット栽培における栽培後土壌の湛水処理が作物の連作障害抑制を可能とするかどうかについて検討した.実験は岐阜大学農学部付属農場のビニールハウス内で行った.具体的には1作終了後に短期間湛水処理【実験1】および長期間湛水処理【実験2】を行い, 2作目のエンドウの生育をそれぞれ無湛水処理区と比較した.