著者
大宮 真一 若林 彩乃 日裏 徹也 伊丸岡 亮太
出版者
北翔大学北方圏生涯スポーツ研究センター
雑誌
北翔大学北方圏生涯スポーツ研究センター年報 (ISSN:21852049)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.11-19, 2017

本研究では,100m走を専門とする女子選手1名を対象として,中学3年から大学4年までの8年間のトレーニング経過から記録,ピッチおよびストライドの変化について明らかにし,選手個人の競技力について縦断的に評価することを目的とした。 ビデオカメラにより撮影した映像から100m走のスタートからゴールまでのステップ数を計測し,平均ピッチ,平均ストライドおよびピッチ・ストライド比を算出した.中学校3年から大学4年までの練習日誌を参考に,トレーニングにおいて意識した点および重視したトレーニングなどを調査した。1)競技記録において,大学4年は中学3年および高校1年と比較して有意に高い値を示した。2)ピッチにおいては,中学3年から高校1年へ,大学2年および大学3年から大学4年にかけて有意に増加していた。また,ストライドにおいては中学3年から高校1年へ,大学3年から大学4年へは有意に低下した。ピッチとストライドは,自己記録を更新した学年ではトレードオフの関係にあった。3)ピッチ・ストライド比は,中学3年から高校1年へ,大学3年から大学4年へ有意に向上した。4)競技記録とピッチおよびストライドとの間に有意な負の相関関係が認められた。5)大学3年および4年での自己記録更新した学年では,主にミニハードルドリルおよび体幹強化のトレーニングが充実していた。 以上のことから,本研究の対象者は中学3年から大学4年生までの8年間かけて100m走の競技記録が向上したことが明らかとなり,ピッチとストライドが増減しながら競技記録に影響していたことが明らかとなった。
著者
大宮 真一 木越 清信 尾縣 貢
出版者
社団法人日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.55-66, 2009
被引用文献数
2

本研究では,一般の小学6年生の113名(男子53名,女子60名)および小学生走り幅跳び競技者9名(男子5名,女子4名)を対象にして,走り幅跳びにおける踏切局面の画像分析とRJ能力(RJ-index:RJの跳躍高を接地時間で除した値)の測定を行った.RJ能力の優劣によって一般小学生をExcellent群,Medium群およびPoor群に分類し,また小学生競技者をAthlete群として,これらの4群間における踏切に関する変数を比較することにより,小学校6年生におけるRJ能力が走り幅跳び能力に及ぼす影響について検討した.主な結果は以下の通りである.1)一般小学生において,男子および女子のExcellent群は他の2群と比較して踏込速度および踏切初速度が高く,跳躍距離が大きかった.また,Excellent群は他の2群と比較して踏切時間が短く,その中で大きな鉛直方向の力を発揮し,高い鉛直初速度を獲得していた.一方,水平速度の減少量は,男女とも3群間に有意差は認められなかった.2)男子および女子のAthlete群は,それぞれのExcellent群と比較してRJ-indexおよびRJの跳躍高が優れていた.さらに,Athlete群は踏込速度,踏切初速度および跳躍距離も有意に高い値を示し,より短い踏切時間の中で大きな鉛直力を発揮し,高い鉛直初速度を獲得していた.以上のことから,小学校6年生におけるRJ能力は助走速度,跳躍距離および鉛直初速度に影響を及ぼしていることが明らかとなった.