著者
西岡 泰弘 稲沢 良夫 高田 久 遠藤 純 斎藤 雅之 林 圭 米田 尚史 小西 善彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.231, pp.7-12, 2011-10-06

電気的・物理的に大型な被測定物のレーダ断面積(RCS)を精度良く測定できる計測技術を確立するために、筆者らは、屋外で地面反射波を利用して被測定物の近傍界RCSを測定し、それを遠方界に変換する計測方式の研究開発を行ってきた。しかしながら、これまでの検討における被測定物は平板などの単純な形状に限られていた。本稿では、複雑な形状を有する飛行機簡易モデルを被測定物に選定し、実環境下でのグランドプレーンレンジRCS計測精度検証およびRCS近傍界/遠方界(NF)変換技術の有効性検証結果を報告している。まず、アスファルト舗装道路上においてフレネル領域で測定した飛行機簡易モデルの近傍界RCS測定値とモーメント法による計算値とを比較し、両者が良く対応することを示している。次に、測定した近傍界RCS測定値をNF変換した結果とモーメント法による遠方界RCS計算値とを比較し、両者が良く対応することを示している。本検討により、複雑形状散乱体に対するグランドプレーンレンジRCS計測およびNF変換技術の有効性が実証された。
著者
深沢 徹 西岡 泰弘 大嶺 裕幸 浦崎 修治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.85, no.6, pp.941-952, 2002-06-01
被引用文献数
11

本論文では,携帯端末におけるフリップの内部に平行2線とダイポールアンテナを配置したモデルに対し,フリップを開いた状態では逆相励振,閉じた状態では同相励振を行う方法を提案する.フリップ開時には電力が平行2線を伝達するため,その長さの分だけアンテナの放射部を人体から遠ざけることが可能になり,人体による性能劣化の小さなアンテナが実現できる.また,フリップ閉時には平行2線とダイポールから構成される逆Lアンテナが形成され,該アンテナにより誘起される筐体上の電流からの放射を利用することで帯域を広げることが可能となる.本論文ではまず初めに,上記アンテナのフリップ開時,閉時における放射インピーダンス整合の設計法について述べる.次に,フリップ閉時における帯域幅について検討を行い,逆相励振の場合に比べ,同相励振することで帯域幅が3倍以上広がることを示す.次に,放射特性についてミュレーションを行い,従来のモノポールアンテナより高い利得が得られることを示す.更に測定値と計算値を比較し,計算の妥当性を確認する.