著者
大川 勝正
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.23-32, 2012-01-30
参考文献数
22
被引用文献数
1

カフェインは,コーヒー,紅茶,緑茶および烏龍茶などの飲料に含まれるよく知られた成分の一つである.それらの成分は加温して飲まれることが多い.われわれのこれまでのin vitroでの試験において,そのような加温されたカフェイン液(HC)が,短時間で,口腔常在細菌種と比較して多くの誤嚥性肺炎起因菌種の生存率を低下させ,口腔細菌叢を改善する可能性が示された.そこで,HCが実際に口腔細菌叢に影響を及ぼすかどうかを調べるため,健常者を被験者として単群のブラインド化されない介入試験を実施した.この結果,水による洗口では,介入前後で嫌気性細菌の割合が増加傾向を示した.このとき,Prevotella属割合も増加しており,増加した嫌気性細菌にはPrevotella属が含まれるものと推察した.なお,HCによる洗口では,そのような増加は認められなかった.HCは介入前後で嫌気性連鎖球菌の数および割合が有意に増加傾向を示し,連鎖球菌以外の嫌気性細菌の減少の可能性が示唆された.しかし,嫌気性細菌のFusobacterium属およびPrevotella属の割合は,増加傾向であった.これらの結果から,HCは洗口直後の口腔内の細菌の状態に変化を及ぼすものと推察された.また,HC洗口後の好気性細菌数では,洗口前と比較して増加する被験者が多くおり,バイオフイルムの剥離を促している可能性が示唆された.
著者
関 みつ子 萩原 芳幸 鈴木 直人 森野 智子 大西 真 高橋 英之 大川 勝正 KILGORE Paul Evan KIM Dong Wook KIM Soon
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

新規検出法であるLoop-mediated isothermal amplification (LAMP)法を用いて呼吸器感染症菌(肺炎球菌、インフルエンザ菌および髄膜炎菌)の検出方法を開発し、過去の疫学調査から得られた臨床データおよび脳脊髄液サンプルを用いてその臨床的有用性を明らかにした。さらに、要介護高齢者のインプラントを含む口腔状況について調査を行い、口腔ケアにおける問題点を明らかにした。