- 著者
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大形 徹
- 出版者
- 大阪府立大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2002
神仙思想の仙人の起源は、秦・漢時代の死生観の変化に由来すると思われる.仙人は、たんに長生きした人ではなく、むしろ、本来は死者であり、死者の魂の永世という観念が屈折して、肉体も不死であるという仙人が生み出されてきたのであろう。この内容に即して、以下のような考察をおこなった。一、僊の文字と魂・死についての文字学的考察-魂と骨の観点から-・厚葬と薄葬-神仙思想の観点から-・「仙」と「僊」-神仙思想の形成と文字の変化-二、列仙図と列仙傳:・祀られる仙人-列仙図をめぐって-・『列仙傳』の仙人-黄帝・関尹子・涓子-三、蓬莱山と博山炉・博山炉と香-蓬莱山との関わりから-四、崑崙山と渾沌・『荘子』にみえる北と南と中央五 房中術の精気・房中術の精気と鍼灸の精気これらは、いずれも、神仙思想の生み出される基盤を形成していたと考えられる。