著者
大木 靖衛 徐 輝竜 渡部 直喜 鈴木 幸治 佐藤 修 河内 一男
出版者
日本第四紀学会
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.153-163, 1996-07-31 (Released:2009-08-21)
参考文献数
31
被引用文献数
1 2

1995年4月1日,新潟市東方18km付近で新潟県北部の地震M6.0が発生し,全壊家屋55戸,被害総額93億円の被害が出たが,幸いにも死者はなかった.この地震は深さ10kmの浅い地震であったため,被害が大きくなった.90ヵ所の墓地の石塔転倒から水平最大加速度を求め,震度分布図を描いた.震央地区に北北東-南南西方向を長軸とする5.2×1kmの地域が震度6域となり,この地震を発生させた平野深部にある伏在活断層を示唆していた.震央地区では,地球重力加速度以上の上下動があったことを示唆する建物の急激な移動があった.本地震前後に地下水・温泉の異常が観察された.新潟市付近の新潟平野は地震の空白域として指摘されていたところである.本地震は指摘されている空白域の東縁部で発生した地震であり,新潟平野の大地震に対する対策が重要になっていることを示唆している.
著者
大木靖衛
雑誌
月刊地球
巻号頁・発行日
vol.7, pp.426-430, 1985
被引用文献数
2
著者
佐藤 修 大木 靖衛
出版者
新潟大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

1、新潟県下の降水の酸性物質の状況:新潟大学積雪地域災害研究センターで行った降水の化学分析結果、新潟県衛生公害研究所の発表した資料を整理し、酸性物質の降下状況を把握した。新潟県の山間部には3〜5g/m^2の硫酸イオンと1〜2gの硝酸イオンが降下している。硫酸イオンは冬の降雪期に多い特徴がある。雪の中の酸性物質は積雪期の温暖な日に流出する。2、沢水・湧水・河川水の変化:沢水・湧水の調査は花崗岩地帯で過去に分析結果のある丹沢湖の周辺で行った。現段階では、沢水・湧水に酸性降下物の影響は見られなかった。新潟県下の沢水の連続観測の機器は現在雪の下で、データ解析は今後のこととなる。河川の水の分析結果を、小林純が行った20年以上前の河川の分析データと比較した。分析誤差範囲内で両者は一致し、新潟県下の河川の流域では平均的な意味では、酸性降下物の影響で化学風化が活発になったとは見えない。3、土壌の酸性化調査:花崗岩地帯の土壌のpHは5〜6の範囲で普通の酸性の褐色森林土壌よりpHが高い。花崗岩地帯の崩壊地の土壌のpHが過去に測定された例は見あたらない。比較の対象がないので、酸性化したかどうかは今回の調査からは結論を出すことができなかった。4、まとめ:チェコ、ポーランド、ドイツでは酸性雨の影響で土壌が荒廃し、崩壊が起こっていると報告されているが、わが国では今回の調査ではその証拠はつかめなかった。おそらくわが国では影響が見られないのは、降水量が多いこと、地形が急峻で水が長時間とどまらないこと等が影響している。
著者
佃 為成 大木 靖衛
出版者
東京大学
雑誌
東京大學地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.19-38, 1994
被引用文献数
4

A small earthquake of M4.5 severely attacked Tsunan Town, Niigata Prefecture on December 27,1992. Unexpectedly destructive damage to school buildings and gymnasiums was mainly attributed to an extremely shallow focal depth of 2-3km within the Tertiary layer, which is as thick as 5-6km. The accuracy of the depth determination is estimated to be within 1km. A high Vp/Vs ratio of 2.0 measured locally also supports the shallow focal depths. We have no seismometric reports of a shallow earthquake with magnitude greater than 4 whose fractured region is entirely within the Tertiary layer other than this paper. The epicentral region is tectonically complicated, where the Shinano River Seismic Zone and the Naoetsu-Choshi Line deduced from Bouguer gravity anomalies cross each other. Probably due to this complexity, the earthquake generating stress of the mainshock indicates NNW-SSE compression, while the major aftershocks are generated by WNW-ESE compresional stresses which are in harmony with the surrounding stress field. This earthquake is followed by a comparatively small number of aftershocks, and preceded by microearthquake activity about 3 months before and during the 12 hours before the mainshock. The aftershock region is separated into three spots, one of which was the source region of the precursory activity 3 months before.新潟県南部の長野県境に近い中魚沼郡津南町にて,1992年12月27日11時17分,M4.5の地震が発生した.小さい地震の割に中学校や小学校の建物などに大きな被害を及ぼした.被害地域は逆巻地区を中心に1km2の範囲に限られている.強い震動の原因は,震源の深さが2~3kmと非常に浅い直下地震であったためである.地震発生滅は花崗岩層の上の第三紀層内である.精密な震源は新潟大学積雪災害研究センターによる余震の臨時観測と東大地震研究所のテレメータ観測網のデータを組み合わせ,媒質の不均質性を補正して得られた.